しんどい経験があるから前向きになれる~自分に、人に、寄り添う中で見えてきたもの~

エンカレッジ京都三条 就労支援スタッフ2
▶ プロフィール
✅ 森 まどか(もり まどか)
✅ エンカレッジ京都三条 就労支援スタッフ
▼ まずは大学時代のことからお伺いしたいと思います。森さんはどんな大学生活を送っていましたか?
大学時代は、4年間続けたアカペラサークルと、発達障害や不登校など学校生活に難しさを抱えた子ども達の学習支援ボランティアを掛け持ちしていました。
アルバイトも色々やっていましたが、一番今の仕事につながるなと思うのは、児童館でのアルバイトですね。ボランティアとアルバイトの経験から、福祉の道もいいなと思い始めました
▼ そもそも福祉系のボランティアやアルバイトをやろうと思ったきっかけは何でしたか?
学校生活にしんどさを抱えて、不登校になりがちな友達が近くにいたことや、祖父に視覚障害があったり、親に持病があって入退院を繰り返していたりしていたことが大きいと思います。小さい頃から、身近な人のしんどい気持ちに触れることが多くて、そういう人たちに関わる活動がしたいなと自然と思うようになっていました。
それに、親がずっと入院していて家にいないことも多かったので、一人で淋しい思いをしたこともたくさんあって…自分自身もしんどい時期があったので、家庭環境が大変であったり、そういった方々のしんどい気持ちにはすごく共感を覚えるんです。
でも、こういった話は一年前の自分だったら言えませんでした。その時はまだ気持ちの整理がついていなかったので…。
▼ 今言えるようになったということは、気持ちの整理がついてきた、ということですか?
そうですね。今までは、身近にいる人たちの中に、自分と同じようなしんどさを抱えている人がいるようには見えなかったんです。それに、自分の過去の経験も、思い出したらしんどいし、ずっと嫌だなと思っていて。
でも、利用者さんと日々関わる中で、自分よりもずっと大変な人もたくさんいるんだと分かって。しんどい思いを抱えているのは自分だけじゃない、と思えるようになりました。 それに、過去は過去だし、その経験があるからこそ今の仕事につながっているんだって、自分で納得することができたのだと思います。
▼ そう思えるようになるまでに、どんなことがあったんですか?
就活の時は福祉の道に進むことに迷いがあったし、「困っている人の助けになりたい」という自分の気持ちに気づくのが遅かったと思います。 ある時、大学の就職支援室の先生から「森さんが本当にやりたいことは、困っている人の助けになりたいということなんじゃないかと思った」と言われて。そこで背中を押されて、やっと自分の気持ちに気づくことができました。
でも、入社してからもはじめはまったく自分に自信がなくて、利用者さんに対しても、スタッフに対しても、これでいいのかなと不安に思うことも多かったんですよ。そんな中、上司や先輩にたくさん助けていただいたおかげで、今は仕事を楽しめるようになってきました。そうやって、自分に少し自信がついたから、これでよかったんだな、と思えるようになったというか。つらい経験があったからこそ、今の仕事に前向きになれるんだと思います。
インタビュー1
▼ 支援をする中で、過去の経験が活きているなと思う瞬間ってありますか?
利用者さんの中には、過去の経験から、頑張ろうと思っていてもそれが難しかったり、努力したいと思ってもどうすればいいか分からなくてできない、という方もいます。そこで、普通は、努力が足りないんじゃないか?と考えてしまうと思うんですね。でも、私は、祖父の視覚障害のことや家族にハンデがある人がいるから、他の人だったら普通に頑張れることでも、どうしても頑張れないことがあるんだと理解ができるので、利用者さんの気持ちにすごく共感できるんです。
▼ 過去の経験を活かすという意味では、対人支援の仕事は他にもあると思うんですが、その中でも就労支援の仕事を選んだのは?
生活介護の仕事と迷った時期がありました。それとの違いで言うと、就労支援の仕事は企業さんやご家族との関わりがより大きいですよね。私は本人の力になるだけではなくて、その周りの人や全然関係のない人にも「伝えること」がしたかったので、こちら(就労支援)の方がいいなと思いました。
(伝えるというのは)たとえば、障害者雇用をしている企業さんが、始めは発達障害のある方への理解が少なかったとしても、(エンカレッジが)そこに関わって、実は企業でこんな風に活躍をしている方がいるとか、こんな風に環境を整えるといいとか、そういったことを伝えていくことで、職場や会社全体で障害のある方への見方が変わるかもしれないですよね。(就労支援という仕事の)そういうところに価値を感じました。
▼ その「伝えること」をやりたいと思ったきっかけは何でしたか?
文章を書いたり、SNSでちょっとした発信をすることが好きで、記者の仕事に興味を持っていた時期もありました。
また、私自身、社会的に弱い立場の人が身近にいる中で、必要な情報が入ってこなくて、どう支えたらいいか分からない、と悩んだこともあります。自分と同じように困っている方がたくさんいるんじゃないかと思いましたし、利用者さんはもちろん、もっとたくさんの人の助けになりたいし、皆が生きやすい社会になったらいいなと思っています。そのためには色んな人に伝えることが大切なんじゃないかと思って、こちらの道を選びました。
▼ その中でエンカレッジを選んだのはどうしてでしたか?
福祉の道に進もうと決めたのが4回生の5~6月くらいで、その後、京都府福祉人材センターに行った時に紹介されたのが、エンカレッジともう一社、同業種の会社でした。ホームページを見た時に、エンカレッジの「働きづらさを抱えた方がイキイキと活躍できる社会を創造します」という企業理念に惹かれて、こっちだなと思いました。
私自身、生きづらさを抱えている方がイキイキと暮らしていくお手伝いがしたいと思っていたので、そんな自分の想いと一致したのがエンカレッジでした。
▼ エンカレッジでは、今具体的にどんな仕事をされていますか?
今は4名の利用者さんを担当していて、毎週面談を行っています。ビジネスマナー講座とPC記録会という講座も担当しています。あとは、去年の12月くらいから、利用者さんの実習にも行き始めました。
▼ 実習行くことで新たに気づいたことはありましたか?
エンカレッジでは見られない利用者さんの新たな一面が見られたことですね。
たとえば、エンカレッジでは通所が安定しない方が、実習では毎日頑張って通っておられたり、いつもはスタッフに対して堅くなっていて、声も小さく自信なく見えていた方が、実習先ではとても明るく挨拶してイキイキとされていたりとか。いつもは見えない良いところが見えたのが実習でした。
そうなると、なんでエンカレッジでは堅くなっているんだろう?と考えたりもしました。こちら側の対応で緊張させてしまったのかなとか、自身の反省にもつながりましたし、実習で頑張っている姿を見て、素直に応援したいなと改めて思いました
▼ 実習といういつもと違った場だからこそ、新しい面が見えてくるんでしょうか?
毎日同じ環境下で作業を行うと、どうしても慣れが出てきて、モチベーションを保ちにくかったり、利用者さんがエンカレッジのスタッフに過去こんなことで指摘された、という経験がすでに何度もあると、身構えてしまったりする面があるのかなと思います。でも、実習は初めて会う人ばかりなので、逆に自分を出しやすいのかもしれません。
また、実習に行くと就職に向けて前進している感じがありますし、自然とモチベーションも上がるのだと思います。実習には、エンカレッジでオフィスワークを繰り返しているだけでは得られないものがあると思いますね。
インタビュー2
▼ そのような経験を経て、森さんが今後やっていきたいことは何ですか?
まず、利用者さんに対して、「自分はどんな支援者になりたいんだろう?」と考えました。私は、利用者さんと同じ目線に立って一緒に悩んだり考えたり、友人のように接することが多いので、”安心感”と”信頼”をテーマに、寄り添う姿勢を大事にしたいと考えています。でも、寄り添うって…難しいですね。
企業の方には、もっと自信を持って関われるようになりたいです。福祉についてももっともっと勉強して、困った時にはこの人に聞いたら情報をくれる、という風に頼ってもらえる存在になりたいです。
スタッフに対しては、周りをしっかり見て、自分から積極的に声をかけて手伝ったり助けたりできるようになりたいです。今は自分のことで精一杯で周りが見えていないのと、もともと臆病で自信がないので、おせっかいかな?とか下手に考えて、声をかけるのも苦手なんですよ(笑)。でも、自分が一年目の時にやっていただいたように、相談しやすい雰囲気をつくりながら、気軽に話しかけてもらえる先輩になりたいですね。
▼ ちなみに、寄り添うのが難しい…っていうのは、たとえばどういうことなんでしょうか?
たとえば、安定して通所することは難しいけれども、お昼休みやソーシャルクラブなど気軽に参加できる場であれば元気に話していたり、スタッフが「こうした方がいいよ」とその人を思って言ったことも、受け入れてもらえなかったりする場面に出くわすと、なんでかな?と思ってしまうこともあります。もちろん、その人なりの背景や理由があると思いますし、それを理解したいという想いはあっても、難しいな…と思う瞬間もあるんですね。そこで上手く気持ちを切り替えられたらいいんですが、私は色々と考えすぎてしまうので、寄り添えていない時間が長いなと思います。利用者さんとの距離感は、今でも難しいなと思いますね。
でも、経験を積む中で、この人にはこう接したらいいのかなということが少しずつ分かるようになってきました。誰に対しても同じように接するのではなく、自分の中の引き出しを増やしたいなと思っています。
▼ 入社から一年経ってみて、自分自身変わったなと思うことはありますか?
あるスタッフから、「おどおどしなくなったね」と言われたんですよ(笑)。この一年で、講座を持たせてもらったり、利用者さんへのフィードバックもできるようになってきて、自信がついてきたことが大きいと思います。
私は何事も「もっと頑張らないといけない!」と思ってしまうタイプなんですが、京都三条のスタッフを始めとして、完璧でない自分を受け入れてくれる人が周りにいてくれることで、気持ちが楽になりました。以前は、人の目を気にして変に遠慮していたけれど、今は自分のやりたいようにやろう、と思えるようにもなりました。
▼ 最後に、森さんは、どんな人と一緒に働きたいですか?
誰かの役に立ちたいという、同じ志や想いを持った人と働けたら嬉しいですね。人に喜んでもらうのが好きな人には向いていると思います。
それと、私自身、就活の時に何がやりたいか最初は分からなかったんですが、「何となく好き」とか「こういうことだったらできそう」ということならイメージしやすいと思います。やりたいことなんて分からない、と思っている中にも、本当は「こうしたい」っていう気持ちが隠れているかもしれないので、そういうほんの小さな気持ちを大事にしてもらえたら、きっと後悔しない選択ができるんじゃないかと思います。でも、自分一人で考えていたらしんどくなってしまうかもしれないですし、私は人と話して初めて気づくことが多かったので、周りをどんどん頼ったらいいと思います。
番外編:プライベートの過ごし方
予定が埋まっているのが好きなので、休みの日はいつも人と会っています。人と会う予定がない時は、外に出るようにしていますね。カメラが趣味なので、カメラを持って出かけては綺麗な風景を撮ったり、終わったらカフェに行ったりしています。あとは、最近ジムに通っていて、体を動かすのが楽しいです。
休みの日にはなるべく仕事のことは考えず、リフレッシュするようにしています。そうやってしっかりリフレッシュして元気にお仕事することが、利用者さんのためにもなるかなと思っています。
 この記事を書いた人
インタビュワー
✅ 喜多 佑衣
✅ エンカレッジ 経営管理部 広報担当
大阪生まれ大阪育ち。新卒入社した人材派遣会社をわずか10ヶ月で退職した後、教育系NPOや大学のキャリアセンター、企業の人事採用担当など、教育・人材に関わる仕事を経験。様々な理由で働きづらさを抱える人が身近にいた経験から、そういった方々に貢献できる仕事をしたいと思い続け、2018年12月よりエンカレッジ入社。”広報”という手段を通して、エンカレッジが掲げるビジョンの実現に向けて奮闘中。