【開催レポート】「コロナ時代の障害者雇用3.0」変化する新卒採用市場〜4万人の障害学生の進路を探る〜

障害者雇用を行う企業の人事担当者、現場管理者、経営者の方向けに企画した連続ウェビナー「コロナ時代の障害者雇用3.0」
7月8日(水)に「DAY4 新卒採用3.0 4万人の障害学生の進路を探る」を開催しました!今回も全国から約80名の障害者雇用に携わる皆様にご参加いただきました。
大学など高等教育機関における障害学生数は増え続けており、2019年度には37,647人に上ります。この人数は今後さらに増加すると見られています。
しかし、新卒採用の対象となる障害学生はまだまだ少なく、就職活動に困難さを抱える学生も少なくないのが現状です。加えて、昨今のコロナの影響により、彼らの就職活動はさらに厳しくなるかもしれません。
そこで今回、京都大学で障害学生支援に携わられている村田准教授、ソニー株式会社で障害者雇用も含めたダイバーシティ推進を担当されている森様にご登壇いただき、高等教育機関における障害学生数の推移や就職状況、障害者雇用における新卒採用市場の変化や今後の可能性、変化に対応するために大事な考え方などを、大学・企業両方の視点からお話を伺いました。
当日参加できなかった方はもちろん、参加された方も振り返りとしてご活用いただければ幸いです。 また、ウェビナー当日の動画も配信しております。視聴をご希望の方は、以下よりお申し込みください!
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【目 次】
1-1)障害のある学生の増加推移
1-2)2019年度の障害種別内訳
1-3)発達障害のある学生の増加推移
1-4)障害学生の就職活動における課題
1-5)まとめ
2-1)創業当時から大切にしてきた「ダイバーシティ」
2-2)障がい者雇用の考え方
2-3)ソニーの特例子会社
2-4)最近の障がい者雇用の課題

1)話題提供①:大学における障害のある学生への支援-修学支援と社会移行支援-

京都大学 学生総合支援センター 准教授/障害学生支援ルーム・チーフコーディネーター 村田淳様

▶ 1-1)障害のある学生の増加推移

障害のある学生の増加推移
 
🔶2019年の調査によると、障害のある学生は全国で約4万人、ざっくり計算すると1学年1万人程度の障害学生がいることになる。
🔶日本の高等教育機関に在籍する全学生数のうち、障害のある学生の割合は1.17%(2019年)だが、諸外国と比較して割合が著しく少ない。例えば、米では10~11%、英でも7~8%になる。
→把握されている障害学生の数に大きな違いがあることが見て取れる。
🔶日本の高等教育機関でも障害のある学生の把握は進んでいるが、一方でまだまだニーズが把握されていない層も存在する。
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障害学生数は今後も増加し続けることが予想される。

▶1-2)2019年度の障害種別内訳

2019年度の障害種内訳
 
🔶精神、発達障害、病弱虚弱が全体の75%。一般的に障害のある学生と言うと、聴覚、視覚・言語障害、肢体不自由を思い浮かべる人が多いと思うが、実はそれらは全体の1/7程度。
→10年前の調査では、聴覚、視覚・言語障害、肢体不自由で概ね2/3を占めていたが、この数年間で割合が大きく変わってきている。
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これら3つの障害学生の人数が減っているわけではないが、それ以外の障害種別の把握が進み、ニーズが顕在化してきている。

▶ 1-3)発達障害のある学生の増加推移

発達障害のある学生の増加推移
 
🔶昨今、発達障害のある学生の増加がクローズアップされるようになった。例えば、2010年には約1,000人だったが、2019年には約7,000人と7倍になっている。
🔶大学側の実感値としても、発達障害のある学生からの支援ニーズが増加していると感じているが、統計上でも十分に裏付けができる。

■発達障害のある学生数(2019年度)

2019年度の発達障害のある学生数
 
🔶ASDの学生が半数を占めているが、ADHDやSLDの学生も把握が進んでいる。
→この割合を諸外国と比較すると、日本は特徴的である。例えば、ADHDが全体の半分を占め、約40%がSLDで、ASDは10%を切っている国もある。
このような違いが生まれる背景として、日本ではSLDのある生徒が初中等教育で十分に支援がなされておらず、高等教育に辿り着く選択肢が取りにくいなどが考えられる。

🔶以前であれば、発達障害といえば、アスペルガー(現在はASD)と呼ばれるような、コミュニケーションや社会性に苦手さのある層がイメージされていた。実際に統計上でも8年前はASDの割合が約75%だったため、発達障害といえばASDという認識で概ね合っていた。
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今後は、ASD以外の発達障害の把握が進み、ニーズが顕在化することで、この割合は変化してくる可能性も考えられる。

▶ 1-4)障害学生の就職活動における課題

① 就職活動の複雑さ
・【一般雇用】と【障害者雇用】など諸制度の存在
・就労支援機関や障害福祉サービスの利用
→障害学生が就職活動をする際に、多くの学生が「一般雇用か障害者雇用か」という分かれ道に直面する。企業からすれば白か黒かという問題ではないと捉えられるかもしれないが、学生からはそう見えているということ。また、障害者枠の場合、キャリアアップや給与などの処遇面で心配する学生や保護者も少なくない。
→画一的な捉え方ではなく、企業や地域の支援機関とも連携し、大学として学生に様々な選択肢を見せていくことが必要だと考えている。
② モデルケースを周辺に見つけづらい
・就職後のイメージを確立するのが難しい
・自分に合った就職活動を円滑に行うことが難しい
→大学内で、様々なケースや情報が十分に蓄積されていないため、就職活動や就職後にどう動けばいいか、自分に合ったやり方をイメージしづらくなっている。
③ 支援関係者が多岐にわたる
・学内支援者も多様
・学外支援機関や企業との連携が必要になる場合もある
→大学や部署、担当者によって障害学生の支援に対する温度感や、情報量、ノウハウの蓄積などに差があるのが現状。
→学内だけではなく、学外のリソースの活用や企業との連携を通して、学生が様々な機会や情報に触れる中で就職活動に入っていくことができれば、学生・企業双方にメリットがあるのではないか。

▶ 1-5)まとめ

🔶これらの課題は何か特定の仕組みで解決できるというものではない。個別性が高いことなので、学生一人ひとりがどのような状況にあって、一つひとつの会社がどういうことを目指していて、どういった雇用が可能なのか、ということをすり合わせていく”マッチング”が重要であると考えている。

🔶大学としては、いかに就職支援するか?というよりは、大学の中で適切な形での修学支援をどれだけやれるか?ということに尽きると思っている。

2)話題提供②:ソニーグループの障がい者雇用について

ソニー株式会社 ダイバーシティ&エンゲージメント推進部 森慎吾様

▶ 2-1)創業当時から大切にしてきた「ダイバーシティ」

■Sony's Purpose & Values
・Purpose(存在意義)
クリエイティビティとテクノロジーの力で世界を感動で満たす
・Values(価値観)
多様性~多様な人、異なる視点がより良いものをつくる。~
→大切にしている価値観の2つ目に「多様性」が入っている。多様性が大事とはよく言われているが、どれだけ具体的に実践できているか、(障害のある社員も含めて)社員一人ひとりを生かして活躍してもらうか、ということを考え実践している。
※詳細 ▶ https://www.sony.co.jp/SonyInfo/CorporateInfo/purpose_and_values/
■創業当時からのDNA
🔷“真面目なる技術者の技能を、最高度に発揮せしむべき自由闊達にして愉快なる理想工場の建設”(設立趣意書より)
🔷井深大氏の言葉「企業もお城と同じもの。強い石垣はいろいろな形の石をうまくかみ合わせることによってできる。」「常識と非常識がぶつかった時にイノベーションが産まれる。」
🔷田昭夫氏の言葉「同僚や上司と同じ意見しか持たないことは、あなた自身の存在意義がないことだと思って下さい。」
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創業当時から、「多様性」を大切にして経営している。
■ダイバーシティステートメント
2013年に制定。ソニーが創業当時から大事にしてきた考え方を表現したもの。
※詳細→https://www.sony.co.jp/SonyInfo/diversity/concept/
■ダイバーシティ推進の歩み
障がいのある社員への配慮だけでなく、例えば1980年に女性の海外赴任を当たり前にするなど、時代に先駆けてダイバーシティの実現を推進してきた。

▶ 2-2)障がい者雇用の考え方

■井深氏が目指したもの
「仕事を通した自立の追求」
障害者といえども、福祉ではなく、ソニーの社員・一事業所として自立できることを目指す。
・仕事を通じて自立していきたいという気持ちを持ってもらう
・高品質なものづくりに関わる責任感、やりがい、喜びを感じられる働き方ができるかどうか
・その人が会社で活躍してくれるなら、障害のあるなしは関係ない。その人が持っている個性や価値観を遺憾なく発揮してもらえる環境が会社にあるかどうか
を大事にしてきた。
■障がい者雇用理念
「障がい者だからという特権なしの厳しさで、健丈者の仕事よりも優れたものを、という信念をもって」(井深氏,1978年)
→当時は障害のある方が働く機会が今よりずっと少なかった時代。その時代背景を踏まえると、この言葉は、障害であってもなくても一緒に頑張っていこうという温かい言葉だった。
■理念の追求に向けて
🔷障がいが故に本人が努力してもできない部分を会社ができる範囲で配慮・工夫するのは当たり前。
🔷しかし、本人が甘えることなく、自分でできることは自分でやる努力をすることを大切にした。
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平等配分と公平配分の考え方(社員一人ひとりに平等にしなければいけないではなく、個々人に合わせてどうすればうまく仕事ができるかを考え、メリハリを付けた配慮を行う)
■障がいのある社員への想い
必要な配慮のもとで持っている力を発揮してほしい
そのために・・・
🔷職場環境の整備(トップの理解、ファシリティ、周囲の理解、制度、業務内容など)
🔷本人の意思(自己理解、就職意識、働き方、目標など)
 →社員全員が全ての障害のことを完璧に理解しているわけではないので、自分で自分の障害のことをしっかり理解して、開示してくれることが大切になってくる
🔷企業間連携
 →障害学生向けのキャリアを考えるイベントをパナソニックと合同で開催

▶ 2-3)ソニーの特例子会社

ソニー・太陽株式会社(1978年設立)/ソニー希望・光株式会社(2002年設立)
障がいがあり、一般企業では働きづらいという方のために設立されたソニーの特例子会社。

<一般的な特例子会社>
・雇用カウント中心
・働きやすい環境づくり
・一部業務を委託する
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<ソニーの特例子会社>
・新たな雇用ノウハウを創造する場
 →特例子会社でうまくいった雇用ノウハウをグループ全体に共有し、広げている
・働きがいのある環境づくり
・一事業所としての業務を担う
※ソニー株式会社(本体)で働く障がいのある社員は約350人いるが、その半分は特例子会社以外で活躍してくれている。

▶ 2-4)最近の障がい者雇用の課題

✅ 数字を追う雇用⇔社員としての雇用
数を追ってしまうとミスマッチが起こりやすい。目指すべきは社員としての雇用だが、一方で会社の求める基準にマッチしている人を見つけていくことが大変である。
✅ 母集団の変化
障害学生のうち、半分が精神・発達障害のある学生だと考えると企業側が何をすべきかしっかりと考えていかないといけない。
✅ 企業間連携、官民医療連携
グループ間の連携だけでなく、例えばパナソニック㈱と合同で開催している障害学生向けのイベントなど企業間での連携や、大学、行政などとも連携して、学生にアプローチしていきたい。また、精神・発達障害などは目に見えない障害なので、医療機関ともしっかりと連携をとっていくことが大事だと考えている
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個をみながら全体のバランスを取っていかないといけない

3)パネルディスカッション

お二人の話題提供を踏まえて、村田様、森様両名にそれぞれご質問させていただきました(エンカレッジ代表の窪がモデレータを務めました)。
 
  • 障害のある学生が就職につながる割合や、一般雇用と障害者雇用など学生はどういった進路を選ぶのかといった大学の状況についてお聞かせいただけますか?

  • (村田様)
    一般雇用か障害者雇用かどちらを希望するかについては、学生にどれだけの情報量が入っているかが影響してきますが、実際のところ、障害者雇用にネガティブな印象だけを持っている学生も少なくないと思います。
    よく言われるのは、セーフティーネットとして用意されている障害者枠であれば、そこに入りたいとはあまり思わないということですね。学生は、それであればクローズでいこうとか、一般雇用の中でどのように工夫ができるかを考える、という発想になりがちです。

    というのは、障害のある学生も、他の多くの学生と同じで、自己実現をしたいとか、会社の役に立ちたいとか、そういった思いを持って就職活動をするので、企業にとって戦力になりうるのかどうか、多様性の一つとして障害者雇用を考えるのかどうか、といったことが学生たちの希望する自己実現とつながってくるんですね。

    なので、ある程度その人個人が評価されて、その人のできる能力をうちの会社でこのように発揮してほしいとなっている場合は、障害者枠でのメリット・デメリットがどうか、という発想にはならないのかなと思います。
    要するに、障害者雇用がセーフティーネットとして見えているかどうかによって、学生たちの捉え方も随分変わるということを知っておいていただければと思います。

  • 障害学生の母集団が変化してきていることについて、企業側の実感値としてはいかがでしょうか?また、その変化に対して企業としてはどのように対応されていますか?

  • (森様)
    採用母集団を見れば一目瞭然で、ほとんどの方が精神・発達障害をお持ちの方のエントリーが増えています。また、最近はあまり行っていませんが、大学回りをしていても、精神・発達障害の学生を紹介されることが増えました。

    ソニーの採用に関して言えば、会社に多様な価値をもたらしてくれる人を採用するにはどうすればいいかを常に考えていますが、しっかり人を見ていくしかない、というのが率直な意見です。
    障害があるから多様な価値を持っているとは限らないので、その人が持っている価値がどのようなもので、それが何なのかを見極めるための質問などは実際の採用の現場では行っています。

    ただ、精神・発達障害の人が面接の場でそれを全部言えるかと言うと、なかなか言えない人も多いので、採用の前段階のイベントで「面接ではこういうことを言う必要があるよ」とか「あなたは何を考えてるの」といったことを聞いています。
    学生からは、一般枠と障害者枠どちらが良いのか、といったことを聞かれるのですが、私は「そんなことは気にすんな」と言っています。それよりも、あなたがどう働きたいかが大事で、あなたに合った会社に入るのが一番いい、と。そして、会社としてはそれに応えられるような環境を作っていきたいと考えています。

  • 先ほど、障害者雇用がセーフティーネットとして見えている場合、学生はあまり行きたがらないといったお話がありましたが、学生はそれをどうやって判断しているのでしょうか?

  • (村田様)
    障害者雇用の情報をどういう形で出しているかを見れば、学生も感覚的に掴めるものがあるのだと思います。
    例えば、一般の求人と障害者雇用の求人を見比べてみたら条件が違うとか、障害者雇用の職務内容が限定されているとか、そういう所を見れば何となくわかります。自分が勉強してきたことを生かして働きたいという発想を持っている学生たちが、そういった仕事を選ぶわけではない、ということですね。

    障害者雇用にも色んな層がいますので、社会の中では様々な障害者雇用のあり方を用意することは賛成なんですが、大学を卒業する学生に焦点を絞ると、今申し上げたような求人には学生たちはネガティブな印象を持ちますし、そこを最初から選択しようという発想になりにくい現状があります。

  • 大学の立場としては、採用段階からその前の段階において、企業にどのように関わってもらいたいとお考えですか?

  • (村田様)
    2年ほど前から、毎月本学で企業の人事の方と障害のある学生が直接会って話をする機会をつくっています。これはマッチングを目的とした場ではなくて、学生が就活や企業で働くことについて率直に質問できる機会なんですね。

    企業側にとっては、今の学生は何を考えているのか、どんなことで悩んでいるのかなどを見て頂く機会になりますし、学生からするとそもそも企業で働くってどういうことなのか、その中で障害のある自分はどうなるのか、といったことをダイレクトに聞ける機会になります。

    例えば、学生が、選考のどのタイミングで障害を開示すればいいか聞くとします。学生たちは、最初からオープンにしたら落とされるのでは…と不安に感じているのですが、人事の方は「うちで働いてもらえるかを判断するためには、あなたがどんな人なのか知ることが大事だから、できれば最初から言ってほしい」と仰ったりする。こういう話があるだけで全然違います。
    我々もセミナーを開いたり、アセスメントを行ったり、支援らしい支援も行っていますし、それが有効に作用している部分もあると思いますが、そういったコツコツと積み重ねる支援を凌駕していくのが、企業さんと学生の直接的な対話なんです。

    こういった機会を経て、働く自分のイメージができてきますし、障害をオープンにするかクローズにするかといった問題も、本人たちが勝手に解決してくる印象を持っています。ほんの30分程度の企業さんとの会話で、学生たちがガラッと変わることもよくありますし、これは低学年次でも効果があると認識しています。
    少し手間がかかるように見えると思いますが、このような企業さんと学生が個別に話をする機会を作っていくことが、障害のある学生がスムーズに社会に移行していくきっかけになるのではと考えています。

  • 今年は新型コロナの影響で、大学生の就職活動や障害者雇用にも不透明感が出てきていると感じていますが、実際どんな影響が出てきているか、また、今後どんな影響が出てきそうと思われているか教えて下さい。

  • (村田様)
    不透明感はもちろんあると言えばあります。ただ、障害者雇用の量(採用数)がどうなるかということ自体はあまり本質ではないと考えています。我々が目指すのは、学生が自己実現できて、企業としてもそれを評価できるような障害者雇用の領域を広げていくことですので、むしろコロナの影響で働き方というのが見直される段階に来たとも言えると思います。

    日本では多くの企業がパートナーシップ型の雇用を採用しているので、5段階評価でオール4が取れるようなジェネラリスト人材が求められます。そこが、障害があるとどうしても不利になってしまいがちですが、例えばテレワーク、リモートワークが普及することで、出社しなくても仕事を任せられるとか、特定の能力や専門性を切り出して働くジョブ型雇用が増えるといった傾向は、障害者雇用とシンパシーがあることだと思っています。
    コロナをきっかけに、今後そういった働き方が創出されていくとしたら、むしろ期待を感じている面もあります。

    (森様)
    この変化の中で、精神発達障害のある方に合った仕事や働き方とはどういうものなのかについて、もっと勉強していかなければいけないと思います。
    そこで今、ソニーの特例子会社の中で、ソニーの本業の仕事で精神・発達障害の方が活躍できる仕事は何なのか?ということを追求している最中です。そういった方々に合う仕事ができてくれば、精神発達障害の方が働きがいを持って働ける環境を作っていけるのではないかと考えています。

  • 障害学生数の増加や、障害種別の割合の変化なども踏まえて、今後5年〜10年単位で予測される変化やそこに対して企業の方に期待することなどあれば教えて下さい。

  • (村田様)
    ある程度断言できるのは、今増加傾向にある精神・発達障害、病弱虚弱という学生層の把握と顕在化は今後しばらく進むということです。これは大学の入試段階でもはっきりと表れていて、例えばオープンキャンパスで寄せられる個別相談のうち8割以上は発達障害に関するものになっています。さらに今後は、コミュニケーションや社会性への苦手さがある学生だけではなく、読み書きに苦手さのある層なども高等教育に相当数入ってくるはずです。

    そうなってくると、当然、出口となる障害者雇用においてもそういった困難さのある学生が増えてきます。そのように、障害者雇用のトレンドや母集団も時代とともに変化する前提を持ち、その変化にどう対応するかが重要になると考えています。

    大学としては、学生の自己実現を訴えたくはなりますが、どこまで行っても追い求めてほしいのは企業と学生のパフォーマンスだと思います。障害者雇用でも、通常の雇用と同じように、その人の働くパフォーマンスを向上させることが企業の利益につながる、という構図をつくっていくことが、結果的に学生が自己実現できる雇用を生み出していくことになると思います。

    (森様)
    会社の経営者層と現場の担当者では、温度感や認識が異なることも多いので、障害者雇用のご担当者は日々苦労されているかと思います。

    トップ層の方はダメとは言わないですが、実際には「この人(精神発達障害の方など)を採用してほしい」と言うと「ちょっとその人は…」という風によく分からない理由でNGになってしまうこともあるんです。そんな時は「言っていることとやっていることが違うじゃないか」という気持ちになることもありますが、まずは言行が一致していないという認識を、企業の経営層や現場の管理者にしっかり伝えていかなければいけない、と強く思っています。

    今日はソニーの様々な取り組みをご説明しましたが、もともとこうしましょうというものがあったわけではないんです。ソニーの中にある様々な文献や資料を読み込むと、創業者の人たちも色んなことを考えてやってきていることが分かります。その時の言葉や思いを私たちが今の状況に沿う形でしっかりと噛み砕いて、社内で認識を持ってもらえるように伝える必要があると考えています。

    今、障害者雇用では身体障害の方の方が就職しやすい傾向にありますが、一昔前であれば身体障害の方も就職が難しかった時代がありました。それと同じように、今なかなか難しいと言われている精神発達障害の方も、これから時代が変化する中で、おそらく企業は採用する方向に向かうと思います。それを受け入れられるだけの職場環境や会社の意識というものを作っていくことが大事になると思っています。

3)ご参加者の感想(アンケートより一部抜粋)

「カウントとしての雇用」ではなく、「社員としての雇用」という言葉にはっとさせられました。数字ばかり追っていたことに気づかされました。学生1人ひとりをしっかりと話せるような機会が作れたら良いと思います。
10年単位で統計的に見ることの重要性。就職母集団の構成は変化し続けていて、今後どうなっていくのか、予測を立てつつ対策を考えることが必要と実感しました。
現場の人事と、経営層あるいは職場との意識ギャップは、この仕事を進める上で最大の悩みです。時には外圧も必要ですし、社内の認識レベルは社会全体の空気感の反映でもあります。関係者が連携して理解を深め、広げる活動が更に進むことを期待します。
「障がい者採用と一般採用」「障がいのオープンとクローズ」など、企業と学生の間で、そのとらえ方が違う。学生と企業の早いうちからの触れ合いが大切と感じた。
企業サイドは、障害をオープンに!と言いたいところだが、障がい学生の視点、気持ちで考えるべきポイントがいくつもあることがわかった。
京大の村田さんの客観的な視点からの現状共有は、今後のインターンシップのプログラム作成に非常に役立つ情報で有難いです。
特にセーフティネットとしての障がい者雇用という概念です。確かに学生にもいろいろと階層があり、それぞれの限界があるのは感じていますが、雇用側の採用の基準について、下げるという考え方では採用の行き詰まりが見えていると思いました
現在、精神・発達の方の中途採用を担当しております。内容は新卒採用についてでしたが、中途採用に共通する部分も多くあり「オープン=クローズ」「障がいの有無」といった枠組み以外、自身の領域以外からの学びが多いことを改めて認識しました。
特に、企業の人事担当者や現場担当者との面談で学生が一つ成長する様子が見られるというお話は印象に残っております。

5)次回の「コロナ時代の障害者雇用3.0」ご案内

新型コロナウイルス感染拡大の影響が長期化する中、障害者雇用においても様々な変化や課題が発生しています。テレワークの普及など働き方の変化により、従来通りの採用活動ができない、環境整備や雇用管理が難しくなった、メンタルケアの必要性が増したなど、正解が見えない中で、障害者雇用のあり方や働き方を大幅に見直す必要に迫られている企業も増えています。
一方で、今だからこそ過去のやり方に囚われず、障害者雇用のあり方を刷新できるタイミングであると捉えることもできます。

そこで今回は、基調講演に慶應義塾大学の中島隆信教授をお招きし、障害者を取り巻く現在の環境や制度、コロナ時代の社会や経済の変化を踏まえ、障害者雇用の目指すべき姿についてご講演いただきます。

さらに、パネルディスカッションでは、NPO法人ディーセント・ワークラボ代表理事の中尾文香氏、株式会社エンカレッジ代表取締役の窪貴志も交えて、コロナ時代の障害者雇用で変わること、変わらないことは何なのか、障害者雇用に携わる担当者や管理者は今後何をどう対応すべきかについて、情報提供・意見交換を行います。
日程:7/20(月)13:30~15:00
形式:オンラインウェビナー(Zoom)
参加費:無料
定員:300名
(NPO法人ディーセント・ワークラボとの共催になるため、お申込み情報はNPO法人ディーセント・ワークラボにも共有されます)
対象:障害者雇用に関わる企業や支援機関の担当者、管理者、経営者など
内容:
1.開会挨拶
2.第一部:基調講演
「新時代、障害者雇用はどうなるのか~経済的観点から障害者雇用を考える~」
<講師>慶応義塾大学商学部教授 中島隆信 先生
「働くを考える~変化の時代に障害者雇用の本質を見つめ直す~」
<講師>NPO法人ディーセント・ワークラボ 中尾文香 氏
3.第二部:パネルディスカッション
「コロナ時代に変わること、変わらないこと~障害者雇用に起こる変化を捉え直す~」
<パネリスト>
慶応義塾大学 商学部教授 中島隆信 先生
NPO法人ディーセント・ワークラボ 中尾文香 氏
株式会社エンカレッジ 代表取締役 窪貴志
<モデレータ>
株式会社エンカレッジ 小川健
4.総括と閉会挨拶
主催:NPO法人ディーセント・ワークラボ、株式会社エンカレッジ
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また、障害者雇用3.0DAY 1~3の開催レポートもぜひご覧ください。