SLD(限局性学習障害)とは?その特性と学生への対応のポイント

発達障害の障害種別

発達障害の障害種別は、大きくSLD系、ASD系、ADHD系の3つに分類されます。
どれか一つの特性がある方もいますが、重なり合った特性を持っている方も多くいます。

🔽 SLD(限局性学習障害)の特徴

読む、書く、計算などが知的発達に比べて著しく難しい

🔽 ASD(自閉スペクトラム症)の特徴

・社会性・対人関係の障害
・コミュニケーションの障害
・こだわりの障害
(アスペルガー症候群、自閉症など)

🔽 ADHD(注意欠如・多動性障害)の特徴

・集中できない
・不注意・ミスが多い
・衝動的な行動をとる
SLD(限局性学習障害)
 
本ページでは、SLD(限局性学習障害)の特性・特徴や、その学生の対応ついて解説します。
その他の発達障害種別、ASD・ADHDについては、以下をご覧ください。

SLD(限局性学習障害)の人ってどんな人?

SLDは、過去にはLDと呼ばれていましたが、「読み」「書き」「算数(計算)」等の特定の学習に大きな困難がある状態を指します(全体的な理解力には遅れがないところが知的障害とは異なります)。
SLDは、学問としての算数や国語が苦手ということではなく、たとえば「数字の持つ順番を認識することが難しい」「視覚的に文字が逆さに見える」といった認知能力に凸凹がある状態で、それが学問の習得に大きな影響を与えます。
日本の高等教育機関における統計調査では、それほど多く把握されていませんが、初等中等教育では徐々に支援が広がりつつあります。今後、大学をはじめとした高等教育機関でも相談や支援の必要性が増加すると思われます。
学校生活の中では、たとえば、教科書を読むことが人よりも何倍も時間がかかる、板書の際にどの文字をどこに写していたのかわからなくなってしまう等が起こります。
文字を読むというのは一見単純な行為に思えますが、文字を目で追い、文字の区切りを認識し、それを音に変換し、脳に記憶するという複雑なプロセスを経ています。
読み書きに障害のある人は、そのどこかに脳機能の障害が見られ、文字の区切り目を認識することができず、文字が読めないといった苦手さとして表れます。
他にも、文の読み書きは何の問題もなくできる学生が、四則演算の簡単な計算ができない等の困難さに直面することがあります。

SLD特性がある方の特徴

・文字や行を飛ばし読みしてしまう
・文字がぼやけたり、さかさまになって見えたりすることがある
・1文字ずつや単語は読めても、文章になると理解できないことがある
・文字は読めるのに、書けない
・文字をきれいに揃えて書くことができない
・誤字脱字や書き順の間違いが多い
・人の話をよく聞き間違える
・耳で聞いた言葉を文字にするのが苦手である
・話しているうちに話が逸れてしまう
・筋道を立てて話すのが苦手である
・指を使わないと計算できない
・図形、表、グラフなどを理解できない
・数字の大小や数字の記号が理解しにくい
・時計で時間を把握するのが苦手である
・作業を時間内に終わらせるよう取り組むのが苦手である
※このリストは発達特性や障害の有無を正式に判断するものではありません。自己分析の参考としてお使いください。

SLDの学生への対応のポイント

■苦手なところを明確にし、環境的な配慮を整える
・SLD の学生の場合、就学期から気づいている場合が多い。本人、ご家族、主治医などから苦手なことや難しいことなどを聞き取り、明確にすることが重要。
・授業の録音やノートテイク、ピアチューター制の導入など環境的な配慮を整える。
■できる方法を一緒に考える
・コミュニケーション方法を柔軟に取り入れ、重要なことは紙に書いて渡したり、自分でメモを取るように促す。
・授業の最後には、必ず次回までの宿題を一緒に確認し、確実な意思疎通ができるようにする。

SLDのある学生への配慮事例

<苦手さ・困難さ> ➡ <合理的配慮の例>
板書ができない ➡ レジュメや資料を配布する/パソコンやタブレットの持込許可/録音、ノートテイカー・ピアチューターの許可
資料によって理解しにくいときがある ➡ 見やすい字体や大きめのフォントを使用/図やグラフ、イラストなど視覚的にわかりやすい資料にする
計算ができない ➡ 電卓の使用を許可する

▶ 発達障害に特化した就労移行支援事業所エンカレッジ

就労移行支援事業所エンカレッジ
発達障害のある人に特化した就労移行支援事業所エンカレッジは、あなたの「働きたい!」をサポートします。
大阪(本町心斎橋天満橋)・京都(京都駅京都三条)・東京(早稲田駅前)の6拠点で説明会の申込み・相談を随時受け付けておりますので、お気軽にご参加ください。