まだ就職が決まっていない学生に対して、支援者はどうサポートすれば良いか?

毎年10月1日には、多くの企業で内定式を迎えます。内定式に参加した学生さんにとっては、いよいよ社会に出る実感が湧いてきた方も多いのではないでしょうか。
一方で、まだ内定取得に至らず、今後どのように社会に出ていくのが良いのか、迷っていたり、焦っていたりする学生さんもおられることと思います。そして、きっとその状況も様々でしょう。
✅ 卒業できるかどうかまだ分からないので、就職活動どころではない
✅ 何から手を付けて良いか分からないまま、時間だけが過ぎてしまい焦っている
✅ 就職活動をしたものの、選考を通過できず、受けたい企業がなくなってしまった
✅ 公務員試験にチャレンジしたものの上手くいかず、民間にシフトしようと思っている
✅ 友人が内定式に参加している様子をみて、漠然と不安になってしまっている
✅ そもそも自分には企業に就職することが向いていないのではないかと迷っている
こうした学生さんに対して、就職をサポートする学校や学外の担当者はどのように関わっていけば良いのでしょうか。学生さんそれぞれの状況があるため、一つの答えを導くことは難しいのですが、今回は大学など就労支援のご担当者向けに、「関わり方のステップ」について考えてみたいと思います。

就職が決まっていない学生に対しての支援者の関わり方

▶ STEP1:現在の状態を確かめる

現状、まだ内定を取得できていない学生さんに対して、内定がないのだから、とにかくエントリーシートを書いて企業に応募しよう、ということだけでは、上手くいかないこともあるでしょう。
まずは、学生さんの現状の状況や気持ちを丁寧に聞きとりすることからスタートします。
特に、学業面の課題(まだ単位を取れていない、卒業論文のテーマが決まっていない/書くことに不安が大きい など)があると、就職活動どころではなくなってしまいますので、学業の状況を確かめることは非常に重要です。
また、例えば、うまくいかないことが続いて自信を無くしてしまっていたり、将来への不安からメンタル面で不安定になっていたりする可能性もあります。そういった学生さんに対しては、まず自信を持ってもらうにはどうするか、不安を取り除くために何が必要か、といったことを考えることも必要になります。
現状をきちんと把握するとともに、学生さんとの信頼関係を築きながら次のアクションを決めていく必要があるでしょう。

▶ STEP2:今後の活動の方向性について、合意形成を行う

周囲から客観的に見ると「まずここから取り組んでみては?」と感じることもあるでしょう。しかし、学生さん自身が望んでいることとは違うかもしれません。したがって、まずは、学生さん本人の意思を確認すると良いでしょう。
学業と並行して就職活動をするのか、就職活動の見通しがついてから就職活動に移るのか、といった大きな方向性を決めることが大切です。
併せて重要なのが、学生さん本人に影響が大きいキーマン(例えば、ご家族や教員など)との合意形成です。本人がいくら学業と就職活動を並行して進めたいと思っても、ゼミの担当教員がまずは学業を優先した方が良いと考えていれば、進め方がちぐはぐになってしまいます。また、ご家族の意見が本人に強く影響する家庭の場合は、最初にご家族と方向性の合意をしておく方が良いでしょう(学校によっては、就職をサポートする立場として、ご家族と直接お話しすることもあるかもしれません)

▶ STEP3:そのうえで、目標を決めて具体的な行動に落とす

今後の方向性が決まれば、目標を決めて、具体的な行動に落としていくことになります。例えば、3月までに内定を得ることを目標にする、といった風に大まかな目標とスケジュール感を確認すると良いでしょう。
そのうえで、まずは、面接を通過しない理由を考えるために模擬面接をしてみる、自分の受けたい企業を見つけるために合同説明会に参加してみるといった風に、学生さんの目の前の課題解決につなげる行動を決めましょう。
学内だけで課題解決することが難しい場合は、学外の機関にも協力を仰ぎ、学生さんが頼れる先を増やすことも必要でしょう。学生さん一人だけでは第一歩を踏み出すことができない場合も多いので、学外機関の担当者に直接連絡しておいて安心して行けるようにしたり、その機関にはどんな方がいて、どんな役割を担ってもらえるのか、事前に学生さんにしっかりと説明することも重要です。なお、学外の機関につないでおくことは、卒業後も継続的に頼れる先を作っておく意味でも有効です。

▶ STEP4:継続的な伴走支援をしたり、見守り続ける

具体的な行動に移っても、それですべてが上手くいくとは限りません。継続して取り組むのが難しかったり、最初は想像できていなかった新たな課題が生まれたりすることもあります。
したがって、定期的に相談に乗りながら、軌道修正を行うことも支援者の大切な役割です。周囲からいつも気にかけておくことが、学生さんにとっての安心につながると思いますし、何かあった時に学生さんからも相談がしやすくなりますので、見守り続ける意識を持っていただけると良いのではないでしょうか。
最後になりますが、大切なのは学生さん一人ひとりを中心とした支援と、課題解決のために学内外の資源を積極的に使う姿勢ではないかと感じています。寄り添ってくれる安心感と、課題に応じた支援の輪があることが、学生さんにとって大きな後押しになるでしょう。そのような支援によって、一人でも多くの学生さんが社会に巣立っていくことを願っています。
社長の独り言
 

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