発達障害とは

発達障害とは、先天的な脳の機能障害であり、中枢神経系の何らかの機能不全で起こると推測されています。 親の育て方や環境によって起こるものではありません。
発達障害者支援法において、「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能障害であってその症状が通常低年齢において発現するもの」と定義されています。

発達障害のそれぞれの特性

図のように、それぞれの障害が重なり合っている場合も多く、一人ひとりの特性理解が求められます。

広汎性発達障害≒自閉症スペクトラムのつの基本的特徴と考え方

発達障害の基本的な特徴として

■ 人とのかかわり(対人社会性)の特徴
■ コミュニケーションの質的な特徴
■ こだわりとイマジネーション(想像力)の特徴

の3つの特徴があります。
この3つの特徴が、典型的に見られる人から軽度な人まで幅があります。
また、知的発達にも幅があり、知的障害をあわせもつタイプから知的障害のないIQの高いタイプの人もいます。
3つの特徴をもったグループを1つの連続体(スペクトラム)と捉えたのが、『自閉症スペクトラム』という考え方です。
症状の強さによって診断名に分類されますが、本質的には1つの障害単位だと考えられています。

自閉症スペクトラムの概念


障害特性の強みを活かす

発達障害のある人が就労を考える時、自分にあった業務と環境を検討することが必要不可欠です。
なぜなら、発達障害のある人は、得意なことと苦手なことの差が著しいため「慣れればできるようになる」といったような一般的な考え方が通りません。
業務や環境のミスマッチは、本人自身にストレスがかかることはもちろん、周囲も対応に疲弊してしまい悪循環を招きます。
そのためには、障害特性の強みと、一人ひとりの得意なことと興味関心を活かすことです。

【強み】

・真面目さ、几帳面さ
・律儀、ルールに厳格
・すぐに行動する
・マイペース
・資格情報に強い
・具体的なことの理解
・感覚の過敏さ
・特定分野での興味関心

【弱み】

・変化への適応、暗黙のルールの理解
・計画的に行動すること
・集団行動
・音声情報の処理、言葉の理解
・抽象的なことの理解
・感覚の過敏さ
・興味関心の偏り

発達障害のある人に適した職場

下記の要素があれば、発達障害のある人の能力が発揮でき、また安定した雇用継続につながります。

【適した職場環境】

・静かな環境、落ち着いた環境
・予測可能であること、定型業務があること
・個別の事情に合わせられる柔軟性があること
- 職場環境、勤務時間、業務内容、支援ツールなどの導入
- 支援者/支援機関との連携、本人との話し合いなど
・職場に理解者、キーパーソンがいること
・適度に休憩ができること
・興味関心や得意な知識、スキルが活かせること

【適した業務例】

・パソコン関係
・事務、オフィス周辺業務
・印刷などの機械操作
・組み立て/修復、分解
・倉庫、バックヤード等での仕分け、陳列等
・研究職
・製造業、流れ作業などのライン業務
・調理関連業務
・清掃作業 など

募集・選考・採用時の注意事項

発達障害の障害特性からコミュニケーションの苦手さがあるため、一般的に行われる面接選考では、その人の能力や適性が見えてきません。

うまく自分の気持ちや意志を言葉で表現することが難しい点や、逆に理路整然とした受け答えができるタイプの人もいますが、本人の発言と実情がかけ離れていることがあります。そのため、発達障害のある人の採用を進める際は、「実際に想定される業務をやってみてもらうこと」つまり、実習を前提とした採用プロセスを踏むことが有効です。

これは、発達障害のある人にとっても「実際にやってみないとわからない」というイマジネーションの問題とも関連し、口頭での説明や書面だけでは業務のイメージが持ちにくいことがあります。また、能力の発揮の仕方にその場の環境も大きく影響するため、実習を一定期間設けた上で判断することが、お互いにとって望ましいといえます。

配慮事項

関わり方・指示の出し方

具体的に明確に、そして肯定的に伝えます。
大きすぎる声、抽象的な言葉の多様、 長すぎる説明は混乱を招きます。
また、本人が何かをしている最中に話しかけても、ほとんど場合、うまく聞くことができません。
いったん区切りのいいタイミングを見計らって、名前を呼ぶなど注目をひいてから伝えます。
また、指摘や注意をする際の感情的な発言は、威圧感や恐怖心のみを植え付け、内容が理解できなくなります。
冷静に伝えることが、正しい意味理解につながります。
 

困った時、SOSへの対応

職場で業務を進める上で、報告・連絡・相談はなくなくてはならないものです。
しかしながら、発達障害のある人の場合、自発的にうまく相談ができないことがあります。
また、暗黙の了解や人の表情などから状況を読み取ることが難しいために、捉え違いや勝手な思い込みをして、不安や悩みを抱えてしまうことがあります。
短時間でも、本人との定期的なミーティング(業務の振り返りや気になることなどを話せる時間)をとることで、早めに不安や悩みを解決することができます。
また、困ったときは、誰に伝えればよいかを明確にしておくことで、本人から相談しやすくなります。
 

支援機関との連携

社内でのサポートに加え、支援機関に協力を仰ぎ、定期的な面談や職場訪問等を要請します。
支援機関とパートナーシップを築くことで、何か問題が起こっても早期に解決しやすくなります。予防的な対応が継続的な雇用の秘訣です。

発達障害・障害者雇用の事例