【開催レポート】就労支援セミナー~発達障害のある人の支援で大切なこと~

エンカレッジでは2023年2月8日(水)にオンラインによる就労支援セミナー「発達障害のある人の支援で大切なこと~寄り添い、仲間、経験~」を開催いたしました。
ご参加いただいたみなさま、お忙しい中、ご参加いただき誠にありがとうございました。
当日の様子をレポートいたします!
就労支援セミナー~発達障害のある人の支援で大切なこと~
 
🟦 当日のプログラム
時 間 内 容
14:30 エンカレッジの就労支援について
14:45
実践報告
「エンカレッジが大切にしていること」
 
 
~自己効力感を高めていく支援~
 
 
事例(1)「できるかも!」を引き出す経験
事例(2)変化につながる要素とアクション
 
15:15
基調講演
「発達障害とダイアローグ」
 
 
株式会社アソシア 代表取締役 CEO 神谷 牧人 氏
 

エンカレッジの就労支援について

はじめに、エンカレッジ大阪所長 橋本よりエンカレッジの就労支援のプログラムや就職活動のながれ、支援で大切にしていることをお話させていただきました。
特にお伝えしたかったことは、エンカレッジの「バリュー」です。昨年度より、エンカレッジでは自分たちの支援で大切にしていることを改めて振り返り、「バリュー」として言語化しました。
エンカレッジのバリュー
 
「寄り添い」「仲間」「経験」この要素ひとつひとつがご利用者の「自己効力感」を高めると考えています。ご利用者の自己効力感が高まっていくことで、就職活動や社会人生活が充実したものになればと思っています。

実践報告「エンカレッジが大切にしていること」~自己効力感を高めていく支援~

🟧 事例(1)「できるかも!」を引き出す経験

エンカレッジ天満橋より、20代女性 自閉症スペクトラム/ADHDのAさんの支援事例を発表させていただきました。
他者と比べてできていない部分にだけ注目し、失敗のイメージばかり浮かんでくるというAさん。就職活動も就職もまだずっと先だと考えていたようですが、実際は利用開始1年で就職することができました。就職までの過程でAさんは「私にもできるかも!」「失敗しても大丈夫!まずは挑戦しよう」と思えるようになったようです。そう思えるようになったのには3つの経験がありました。
① 初めて挑戦した実習で企業の方から高い評価をもらい、「自分でもできる仕事があるんだ」と思えるようになった。
② 自分で立てた目標に対し、自分で行動でき、さらに企業からも評価いただけた。
③ ①②の経験から自信をつけ、失敗する想像より、チャレンジ精神が上回るようになり、以前より多くのことに挑戦するようになった。
そして、就職活動にも取り組み、2週間の実習で自分にできるか、自分に合った仕事かを確認することができマッチングとなりました。

🟧 事例(2)変化につながる要素とアクション

エンカレッジ大阪より、20代女性 自閉症スペクトラムのBさんの支援事例を発表させていただきました。
大学在学中にエンカレッジの大学生向けサービス「働くチカラPROJECT」に参加、卒業後に就労移行を利用されたBさん。4社の企業で体験実習をした後、現在の就職先企業で2回の実習にチャレンジされました。利用当初は働くことは「辛いこと」だと感じていたようですが、就職先の実習にチャレンジする頃には「働くことは楽しい」「この企業で働きたい!」と思えるようになったようです。
当時のことをご本人に振り返っていただくと
・他のご利用者ができたなら、自分にもできるかもしれないと感じ、実際にやってみて意外と自分もできると知れた。
・実習でいろいろな場所に行くようになり「人生を楽しむこと」を意識するようになった。
・笑顔の多い人の方が一緒に働きやすいと気づき、自分も印象のよい表情や挨拶を意識した。
などおっしゃっていたようです。
どちらの支援事例もエンカレッジが大事にしている「寄り添い」「仲間」「経験」がご利用者が変化する上で大事な要素となったようです。

🟧 基調講演「発達障害とダイアローグ」

株式会社アソシア 代表取締役 CEOの神谷 牧人氏をお招きし、「発達障害とダイアローグ」をテーマにグループワークも交えてご講演いただきました。
まずは今回セミナーに参加した理由や目的をグループでシェアからスタート。ダイアローグとはどのようなものか、ダイアローグにおいて大切なポイントについてご説明いただきました。
とても簡単にまとめると、ダイアローグとは「対話」のこと。「上下をつくらず、答えを求めず、ただ対話をすること」「支援者にとっては、目の前のご利用者、相談者の話を『聴く』こと」「支援者の訊きたいことを訊くのではなく、安心できる環境で、ご本人が話したいことを自分の中で整理したり、振り返ったりしながら話す」ということ。
参加者の方からは「どうしても支援者自身の解釈を交えて訊いてしまう」「信頼関係を構築する場面ではしっかり対話をする、『聴く』時間を設けることが大事だと感じた」という意見が出ました。
講演の後半では、現場でダイアローグを活用するにはどうすればいいのか、実際にエンカレッジのスタッフとロールプレイで見せてくださいました。解釈を入れずに聴くこと、内省の時間を邪魔せずに待つことの見本を見せてくださいました。相談者役となったエンカレッジのスタッフは「話していくうちに、何が自分の悩みだったのか内省が始まっていくのを感じた」と話していました。その後、参加者のみなさんもロールプレイで挑戦していただきました。
まだ続きがあったのですが……内容が盛りだくさんで、開催時間内にはとても収まらず、ここで終了となりました。
参加者のみなさんからは
・今まで持ち合わせていなかった視点で、目から鱗だった。
・普段、自分が面談を行う際、経験や解釈を入れ利用者様に質問をしている場面があったことに気が付いた。
・日々の面談を振り返る貴重な体験だった。普段できていると思っていたら、意外とロールプレイでできなかったため、現状に満足せず精進したい。
などご感想をいただきました。
全然時間が足りない!もっと聞きたい!というお声も本当に多数いただきました。限られた時間での開催となりましたが、みなさまの支援や活動のお役に立ちましたら幸いです。