1)企画趣旨
昨今の若手人材の採用難や障害者の法定雇用率引き上げなどを背景に、障害のある学生の新卒採用の機会は増加しています。
しかし、従来の障害者雇用は、一定の配慮が受けられ働きやすさは整っているものの、専門性が評価される形の雇用は多くありません。専門性を生かして働きたい障害学生にとっては、働きがいやキャリアアップの面で物足りなさを感じることがあります。
しかし、従来の障害者雇用は、一定の配慮が受けられ働きやすさは整っているものの、専門性が評価される形の雇用は多くありません。専門性を生かして働きたい障害学生にとっては、働きがいやキャリアアップの面で物足りなさを感じることがあります。
一方で、一般雇用での就職を目指そうとすると、発達障害のある学生などは社会性やコミュニケーションの観点から採用されにくく、採用されても職場で配慮を受けにくいという課題があります。そんな中、企業側も、従来の枠組みにとらわれず、学生の専門性を生かした障害者雇用の形を模索するところが少しずつ出てきています。
このような兆しをチャンスと捉え、エンカレッジでは、障害のある学生が、適切な配慮を受けながら専門性を生かして働ける新しい雇用の形を実現することを目指し、「ダイバーシティ就活」という取り組みを始めました。
このような兆しをチャンスと捉え、エンカレッジでは、障害のある学生が、適切な配慮を受けながら専門性を生かして働ける新しい雇用の形を実現することを目指し、「ダイバーシティ就活」という取り組みを始めました。
その第一弾の実践として、2019年8月30日(金)に、IT技術など専門性を生かして働きたい障害学生9名とIT・技術系職種の障害者雇用を行う企業5社との就職マッチング交流会を開催しました(会場:立命館大学大阪いばらきキャンパス)。
今回は、エンカレッジと立命館大学が共催、京都大学など関西圏7大学のご協力をいただいて実施しました。通常の就職活動で行われるマッチング会は、本人が自分で自己PRや配慮事項などを準備し、当日も本人が一人で参加することがほとんどです。しかし、精神・発達障害のある学生などは、自分の強みが分からない、企業にどこまで配慮をお願いしていいか迷うなど、準備自体を一人で行うことに難しさがあったり、それにより参加へのハードルを高く感じたりするなどの課題が発生することがあります。
この「ダイバーシティ就活」では、学生は大学等の支援者(キャリアセンターや障害学生支援の担当者など)のサポートを受けながら参加に向けた準備を行うとともに、その学生のことを分かっている支援者の方から第三者紹介文を用意していただきました。それにより、学生側の参加へのハードルを下げ、適切に準備ができるようになり、また、企業側も本人の強みや配慮事項を客観的な視点を含めて知ることができ、本人に合う仕事や勤務時の配慮を検討しやすくなります。また、イベント当日も、希望があれば支援者の方が見学できるようにしました。
この「ダイバーシティ就活」では、学生は大学等の支援者(キャリアセンターや障害学生支援の担当者など)のサポートを受けながら参加に向けた準備を行うとともに、その学生のことを分かっている支援者の方から第三者紹介文を用意していただきました。それにより、学生側の参加へのハードルを下げ、適切に準備ができるようになり、また、企業側も本人の強みや配慮事項を客観的な視点を含めて知ることができ、本人に合う仕事や勤務時の配慮を検討しやすくなります。また、イベント当日も、希望があれば支援者の方が見学できるようにしました。
ちなみに、ダイバーシティ就活の取り組みに至る前段階として、2019年2月に、精神・発達障害のある学生や(障害のあるなしに関わらず)就職に困難さを抱える学生を主な対象とした就職マッチングイベント「みんなでサポート就活」を実施しました。
このマッチング会で、卒業間際に就職が決まっていなかった参加学生34名のうち11名が内定したのですが、そのうち専門職(主にプログラマー職)で採用された学生が数名いました。このことから、社会性やコミュニケーション力には苦手さがあるが大学でITや技術を専門的に学んできた学生と、一定のスキルがあれば社会性やコミュニケーション力はそれほど重視しないと考える企業とはマッチングしやすいのではないか、という仮説が生まれました。
ダイバーシティ就活に取り組む上で、まずはこの層のマッチングを実現しようと考え、今回のイベントに至りました。
ダイバーシティ就活に取り組む上で、まずはこの層のマッチングを実現しようと考え、今回のイベントに至りました。
2)イベント当日の様子
今回のイベントは、関西の6大学から9名の学生が参加。企業は、オムロングループ、株式会社カスタメディア、パナソニック株式会社、株式会社ヘッドジャパン、ヤマト運輸株式会社の5社が参加しました。いずれもIT系職種での障害者雇用を実施・検討している企業です。
イベントは、以下のスケジュールで実施しました。
✅ 13:00~
本日の流れの説明
開会あいさつ
アイスブレイク
開会あいさつ
アイスブレイク
✅ 13:30~ 企業PRタイム(1社3分×5社)
✅ 13:50~
ブース別交流会 5クール(1クール20分)
フリータイム
フリータイム
✅ 16:15~ 希望アンケート記入
✅ 16:25~ 閉会挨拶
✅ ~16:30 終了
イベントのメインは、学生と企業とのブース別交流会。全企業と話ができるよう、学生が各企業のブースを順番に回る形で、5クール分実施しました。交流会といっても、フリートークだと何を話せばいいか分からず戸惑ってしまう学生もいるため、今回は「サイコロトーク」という、サイコロを振って出たお題について話をする形式にしました。サイコロトークのお題には、セールスポイントや大学で学んだことなど面接でよく聞かれる内容もあれば、休みの日の過ごし方や時間を忘れて没頭してしまうことなど、普段の姿を垣間見ることができる内容も入っています。
サイコロトークテーマ
企業側には学生が事前に準備したプロフィール(自己PRや配慮事項など)を見ながら、学生は1dayセミナー(※)で準備した1分間自己紹介を話すところからスタート。前段のアイスブレイクで緊張がほぐれていたおかげか、企業・学生ともに最初から和んだ様子でざっくばらんにお話ししている姿が印象的でした。
今回は、参加学生の大学の支援者の方も数名見学にお越しになりました。これは通常の就職マッチングイベントではなかなか無いことだと思います。学生本人の自主性を大切にするためにも、支援者の方には休憩時間やフリートークの時間のみ学生に話しかけられるという形にしましたが、普段関わりのある支援者の方がその場にいらっしゃることで、学生にとっては安心感があったのではないかと思います。
(※このマッチング交流会の前に、参加学生を集めた1dayセミナーを実施しました。セミナーでは、交流会本番を想定したサイコロトークの練習や、1分間自己紹介の準備を行いました)
3)参加者の声
今回参加された学生、企業の声をご紹介します(アンケートより一部抜粋)。
■学生
- 面接という場ではなく、サイコロトークという形で楽しく企業の方と話ができたのでよかったです。
- 自分と同じように苦労したりしながらも頑張っている人々に会えてとても励みになりました。
- 障害者枠というのにとても不安があったが、企業ごとにどのような扱いをしているのか詳しく知ることができてよかった。また、普段の面接よりもリラックスして話すことができ、困っていることがある前提なので正直に色々話したり、質問したりできてよかった。
- 配慮事項の具体的な内容がそれぞれの企業でより明確になり、有り難かったです。
■企業
- 学生さんがリラックスして参加できる環境であったと思います。精神・発達障がいの当事者の方々とフランクに接する事ができる機会はあまりありませんので、私としては大変勉強させて頂く事ができました。
- どういう職種を学生が希望しているのか、どんな学生がいるのかなど様々なことを知ることができました。大学の方とも交流できたのはとても良かったです。
- データ(学生のプロフィール)の確認だけでなく、実際に会ってみると印象も変わりますので、是非次の機会も参加させて頂きたいです。
4)今回の成果、得られた気づき
マッチング交流会を経て、企業・学生双方に希望があった場合に選考へと進むことになっています。今回は、参加学生9名中6名が次のステップに進むことができました。
今回のイベントを通じての気づきは、面接ではないリラックスして話せる場だからこそ、お互いに聞ける/話せることがあるということです。たとえば、趣味の話から学生の持つ強みやスキルが見えてきたり、企業の中で具体的にどのような配慮がなされているのかを聞くことができたり、といったことがありました。
通常の面接のように、学生が“選考されている”と感じる場になると、普段の姿や本音が見えなくなってしまったり、本当に聞きたいことが聞けなかったりすることもあります。そういった枠組みにとらわれず、お互いにリラックスして話ができる場であれば、学生が本当にやりたいことや、実はこんな強みや専門性を持っている、といったことも見えてくるのではないでしょうか。
また、エンカレッジ単体ではなく、関西圏の大学の方々にもご支援・ご協力をいただき、大学横断型で実施できたことも大きな成果であったと思います。このダイバーシティ就活の取り組みについて大学関係者の方々にお話しする中で、まさにそういった機会を求めていた、うちの学生もぜひ参加させたい、などと言っていただけることも多く、ニーズの高さが伺えました。
今回のイベントを通じての気づきは、面接ではないリラックスして話せる場だからこそ、お互いに聞ける/話せることがあるということです。たとえば、趣味の話から学生の持つ強みやスキルが見えてきたり、企業の中で具体的にどのような配慮がなされているのかを聞くことができたり、といったことがありました。
通常の面接のように、学生が“選考されている”と感じる場になると、普段の姿や本音が見えなくなってしまったり、本当に聞きたいことが聞けなかったりすることもあります。そういった枠組みにとらわれず、お互いにリラックスして話ができる場であれば、学生が本当にやりたいことや、実はこんな強みや専門性を持っている、といったことも見えてくるのではないでしょうか。
また、エンカレッジ単体ではなく、関西圏の大学の方々にもご支援・ご協力をいただき、大学横断型で実施できたことも大きな成果であったと思います。このダイバーシティ就活の取り組みについて大学関係者の方々にお話しする中で、まさにそういった機会を求めていた、うちの学生もぜひ参加させたい、などと言っていただけることも多く、ニーズの高さが伺えました。
5)今後の予定と展望
「ダイバーシティ就活」は、今回を皮切りに今後様々なマッチングの機会をつくっていきます。直近では、障害者手帳は持っていないが、コミュニケーションの苦手さなどから就職活動に困りごとを抱えている学生も参加できるイベントを企画しています。また、エリアも関西の枠を超えて、関東や東海にも広がっており、今年度中に東名阪でダイバーシティ就活のイベントを実施する予定です。
【今後の予定】
✅ 関西
2019年11月 一般雇用でのIT・技術系職種のマッチング会(障害の有無問わず)
2020年2~3月 障害学生のマッチング会(職種問わず)
✅ 関東
2020年2~3月 障害学生のマッチング会(職種問わず)
2020年2~3月 一般雇用でのIT・技術系職種のマッチング会(障害の有無問わず)
✅ 東海
2020年2~3月 障害学生のマッチング会(職種問わず)
上記のようなリアルなマッチングの機会に加え、Boosterキャリアを活用したICTツール上での個別のマッチングも生まれるように取り組んでいきます。
このように複数のマッチングの機会を用意しておくことで、残念ながら一度のイベントではマッチングできなかった学生にとっても、次につながるチャンスを得られると考えています。
さらに、将来的には、IT以外のクリエイティブ職などの専門分野・職種への展開や、LGBTの学生、留学生、留年・休学経験のある学生など、様々な働きづらさを抱えた学生にも支援の裾野を広げていきます。ダイバーシティ就活の取り組みはまだまだ始まったばかり。今後の展開に是非ご期待ください。
さらに、将来的には、IT以外のクリエイティブ職などの専門分野・職種への展開や、LGBTの学生、留学生、留年・休学経験のある学生など、様々な働きづらさを抱えた学生にも支援の裾野を広げていきます。ダイバーシティ就活の取り組みはまだまだ始まったばかり。今後の展開に是非ご期待ください。
【ダイバーシティ就活に関するお問い合わせ先】
▶ 株式会社エンカレッジ [担当:窪、山本、喜多]
▶ 住所:大阪市西区新町1-4-26ニッケ四ツ橋ビル2階
▶ 電話:06-6535-8584 FAX:06-6535-8516
▶ mail:encourage@en-c.jp
▶ 住所:大阪市西区新町1-4-26ニッケ四ツ橋ビル2階
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