あっこ先生のお悩み相談室Case.4

あっこ先生のお悩み相談室Case.4
 
『あっこ先生のお悩み相談室』も4回目となりました。エンカレッジの高橋 亜希子です。
うだるような暑さがようやくおさまり、過ごしやすい季節となりました。秋の爽やかな空気は快適ですね。個人的には、そろそろ秋の食欲のスイッチが入ってきました。笑
さて、この夏の間、夏休み期間であったこともあり、複数の学生さん・ご家族からのお悩みをいただいていました。
🤔 進学するか、就活をやっていくのか決着がつかず、悩み続けている…
🤔 医療系専門職の学科にいるが、人間関係に不安…今の状態で就職できるのか…
🤔 就活をしないといけないと頭ではわかっているが、卒論が気になって進められない…
🤔 何社か受け続けているが、面接がネックで内定がもらえない…
など、4年生の方の相談が多くありました。
そんな中、今回は現在大学3年生(2022年卒)の息子さんがいるご家族から、下記のような相談をいただきました。

お悩み相談Case.4

<お悩み>
息子は現在3年生です。発達障害があり、幼少期から療育を受けてきて、大学生活は自分なりに何とか対応できているようですが、就活への意識が全くない状態です。本来であれば3年生の前期~夏休みにキャリアセンターの就活ガイダンスやセミナーに参加すべきだったようですが、本人も私も気づかないまま夏休みに入ってしまいました…。就活のスタートとしてはもう遅いのでしょうか?これから何をどのように親はサポートしたらいいのでしょうか?また、インターンに参加しないと、就活はやっぱり厳しいのでしょうか?
<あっこ先生の回答>
「えっ、そんな状況になってたの…?!知らなかった…」とショックでもあり、就活の波に乗り遅れたように感じてしまい、心配になられますよね。しかし、焦らなくても大丈夫です。今から動いていけば、遅くありません。
秋冬でも大学のキャリアセンターや就職課が学生向けに親切にセミナーを開催していたり、人材紹介のエージェント(いわゆるリクナビ・マイナビのような)が大学へ来て説明をしてくれたりなど、今からでもたくさん就活の情報を得ることはできます。
ただ、今回のご相談のように、「就活に関する情報」は、これまでの大学生活で得てきた情報や得どころとは違うところにアクセスする必要がありますので、発達障害のある学生さんにとっては、気づきにくかったであろうことが理解できます。
このことから、まずは学内のキャリアセンターや就職課に、ご家族と一緒に相談に行かれることをおすすめします。
そして、今後の大まかな就活のプロセスとしては、下記のようになるでしょうか。
1)学内(または学外)の就職の専門機関に相談に行く
2)その方と一緒に、今後の見通し(やるべきことと、そのスケジュール)を立て、視覚化する
3)やるべきことを具体的に進める
  また、やってみたこと(実践したこと)を振り返り、次のステップや短期目標を確認する

1)学内(または学外)の就職の専門機関に相談に行く

ご相談内容から、お子さんは就活に全く意識が向いてない状態とのことですので、おそらく就職活動に関する情報をどうやって得るかに気づいていない、どこにアクセスすればいいかがわからないことが大きいのではないかと思います。発達障害のある学生さんの場合、サークル等に所属していなかったり、友人も少なく限られていたりすることも少なくないので、周囲の動きやインフォーマルな情報が得にくいことも、気づきにくい要因の一つと言えます。
ですので、今の状況を共有し、これから就活をどのように進めていくのかを相談しながら一緒に伴走してくださる方を作っていくことが大切です。
キャリアセンターや障害学生支援部署など、大学内が一番活用しやすいと思いますが、学外の就職支援の専門機関でも、支援を受けられるところはあります。たとえば、新卒対象のハローワーク、若者支援の機関(若者サポートステーションなど)、就労移行支援事業所でも学生向けの支援をしてくれるところもあります。ただし、卒業年度にならないと相談できない場合もありますので、個別に確認をしていただく方が賢明です。

2)その方と一緒に、今後の見通し(やるべきことと、そのスケジュール)を立て、視覚化する

決まった道筋やレールがはっきりとあるわけではない就職活動。未経験な就活に対し、ご本人だけでは何をどう進めていけばいいのかがわからないことも多いので、支援の方と一緒に検討してもらうことが良いでしょう。
次は、『やるべきこと』とその 『スケジュール』を、可能な範囲で具体化していくことです。
<やるべきことと、スケジュールの例>
やるべきことと、スケジュールの例 『やるべきこと』とは、就活への下準備になります。自分の得意や苦手を深めていく自己分析、企業や業界の研究、自己PRやガクチカ(学生時代一番力を入れて頑張ったこと)の作成が重要なところになります。

その中でも、経験がないと作成が難しいのが、ガクチカです。ガクチカは、学業での研究や成果はもちろん、クラブやサークル活動、アルバイト、ボランティアやインターンシップも含まれます。ですので、経験のあることをガクチカや自己PRに積極的に盛り込みましょう。
しかしながら、発達障害のある学生さんの場合、クラブやサークルに所属していなかったり、アルバイトの経験もなかったりする場合もあると思います。

今から着手できることとしては、インターンシップにトライしてみることをおすすめします。その際、どんな業務や企業でならできそうかを、支援者の方に相談に乗ってもらいながら選んでいきましょう。

インターンシップ先の選び方のコツは、自分の得意なことやできること、長所が発揮できそうな内容や環境を探すことです。くれぐれも、苦手で難しいことに取り組むのは避けましょう。
例えば、コミュニケーションが苦手なのに無理して接客やお客様対応のインターンをしてしまうと、仕事ができなくて注意を受けたり、怒られたりすることも考えられます。この場合、自分の強み・弱みと業務がマッチしていないことで上手くいかないだけなのですが、かえって自信を失ってしまい、働くこと自体が怖くなってしまう可能性もあります。

また、コミュニケーション面が不安など、インターンシップに参加するにも支援があった方が良い場合は、エンカレッジで提供しているような発達障害学生向けのインターンシップや1Dayセミナーなど学外のサービスや資源を活用していくのも1つの手です。(ただし、実施しているところが数少ない現状はあります)

ちなみに、私たちエンカレッジが提供しているインターンシップのメリットは、大きく2つです。1つは、実際に働くことのリアルな経験ができるので「働くイメージ」の醸成につながります。この経験が今後、自分が働くうえでの判断軸になっていくでしょう。2つ目は、この経験に加え、企業の担当者から、良かった点や今後に向けての課題点についてフィードバックがもらえることです。実は、私たち支援者にとっても、これまで見えなかったその方の社会性や周囲との関わりの面での気づきが得られたり、新たな強みやスキルの発見にもつながっています。

3)やるべきことを具体的に進める
やってみたこと・実践したことを振り返り、次のステップや短期目標を確認する

前述の就活の全体像を示したスケジュールをもとに、やるべきことのテーマや次に向けた課題設定をして、一緒に進めていきます。ここで大切なことは、行ったことの成果が見えてきたり、何かに挑戦したりした時に、その経験を一緒に『振り返る』ことです。
発達障害のある学生さんの場合、一人では何がどうだったのかを言語化することが難しいケースも多いため、経験を言語化する作業を支援者の方にも手伝ってもらうのが良いでしょう。さらに、その言語化した内容をきちんと『蓄積』していくことが重要です。それらを積み重ねていくことで、ご自分にとって現実的な就職のスタイルや具体的な目標が見えてくるように思います。
最後になりますが、発達障害のある学生さんにとっては、見通しが立てづらい就活を、支援者の方に伴走してもらいながら進めていくことが、安心して就活を進められるポイントになります。その支援者を見つけるところは、ぜひ親御さんも一緒になって探してあげていただけたらと思います。

今回の「あっこ先生のお悩み相談室」はいかがでしたか?
この企画では、読者の皆さまからのお悩み・ご相談を募集します!発達障害のあるお子さんの特性について、就職や転職、障害者雇用のこと、生活スキルや余暇の過ごし方についてなど、何でもOKです。
ご家族の皆さまからいただいたお悩みに、あっこ先生がお答えしていきますので、どしどしお寄せください◎
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