いつの間にか2019年も年の瀬に差し掛かってきました。
まだまだやり残していることばかりで、色んなことが整理できていない状況ではありますが、障害者就労支援、大学生支援に関わっていて、自分なりに変化を感じたことについて、次年度以降の論点も含め、3つほど挙げてみることにします。
まだまだやり残していることばかりで、色んなことが整理できていない状況ではありますが、障害者就労支援、大学生支援に関わっていて、自分なりに変化を感じたことについて、次年度以降の論点も含め、3つほど挙げてみることにします。
1)法定雇用率のアップが、企業の障害者雇用の方向性に与えた影響
ご存知の通り2018年4月に障害者雇用率は2%から2.2%になり、来年度末には、2.3%まで引き上げられる予定です。
こうした変化に対し、企業として、2つの方向性が増えてきたなという印象を持っています。
こうした変化に対し、企業として、2つの方向性が増えてきたなという印象を持っています。
🔽 1つ目
今までは本社の間接部門だけで採用していたが、工場や営業所などの拠点での雇用や職域開拓を進めたり、グループ会社での雇用を推進する取組を行ったりと、障害者の活躍の場を広げて考えている企業
🔽 2つ目
社内に障害者の活躍の場を作るのが難しいと判断し、遠隔地の農園等で障害者を雇用し、雇用率達成を目指す企業(土地の取得、採用、現場管理は外部事業者に委託)
1つ目は、この分野に関わる人にとって望ましい方向で、成果を上げている企業もありますし、個人的にも是非企業さんと一緒に考えていきたいことです。
ただし、職域開拓や雇用管理に悩みを抱える企業も多く、理想論だけではうまくいかない面もあるな、と感じます。
ただし、職域開拓や雇用管理に悩みを抱える企業も多く、理想論だけではうまくいかない面もあるな、と感じます。
2つ目について、現在、農園を運営する雇用支援事業者が急成長しており、農園型での雇用が確実に広がっています。
さらに、さいたま市のように、行政単位で農園ビジネスを推進している自治体もあります。
これらの農園では、「障害者の働く場づくり」の視点が優先されており、作られた農作物はスーパーなどの一般市場には流通しておらず、雇用主企業の社員の福利厚生などに活用されています。
さらに、さいたま市のように、行政単位で農園ビジネスを推進している自治体もあります。
これらの農園では、「障害者の働く場づくり」の視点が優先されており、作られた農作物はスーパーなどの一般市場には流通しておらず、雇用主企業の社員の福利厚生などに活用されています。
障害者雇用の理念としては、もちろん1つ目の社内型が望ましいですが、その方向性を取るのが難しく、農園型を選ぶ企業も多くあるのが現実です。
社内で雇用を進めようとする企業にとって、どのような進め方やサポートがあれば良いのかについても、議論が進むのではないかと考えています。
一方で、農園型がさらに拡大するのはほぼ確実だと見ています。次年度以降、本当にその方向が広がって良いのかについて議論が活発に行われるようになるのではないかと思います。
社内で雇用を進めようとする企業にとって、どのような進め方やサポートがあれば良いのかについても、議論が進むのではないかと考えています。
一方で、農園型がさらに拡大するのはほぼ確実だと見ています。次年度以降、本当にその方向が広がって良いのかについて議論が活発に行われるようになるのではないかと思います。
2)就労支援事業の質的な変化が求められる時代
一方で、企業に障害者を送り出す側の就労移行支援事業所なども環境が変化しつつあります。端的に言えば、
✅ 事業所が増えすぎて利用者が集まらない
✅ 企業が求める人材育成や支援に対応できていない
✅ 企業が求める人材育成や支援に対応できていない
ことから、今後淘汰の波が押し寄せるのではないかと見ています(すでに一部始まっています)。
こういった現状に対して、
✅ 会計やITなど、より専門性を高めるトレーニングの機会を設けたり
✅ VR等の技術等を活用して、支援の付加価値を高めたり
✅ 専門学校や大学、医療機関と連携し、支援機関を越えて一気通貫の支援の枠組みを作ったり
✅ VR等の技術等を活用して、支援の付加価値を高めたり
✅ 専門学校や大学、医療機関と連携し、支援機関を越えて一気通貫の支援の枠組みを作ったり
と、就労支援にも工夫がなされてきています。
就労支援を行う事業所が少なく、事業所があるだけでご利用者が通ってきた量の時代から、ご利用者に選ばれ、かつ社会でイキイキと活躍し続けるためにどのような支援を行うか、といった質の時代へと転換点なのではないかと考えています。
ここでいう、質とは、専門性の高さやご利用者への寄り添いという側面以外にも、社会や企業の多様なニーズにどう応えるのか、テクノロジーをどう活用するのか、といった側面がより重要度を増してくるように思います。
このような議論によって、就労支援の在り方自体も進化するきっかけになるのではないでしょうか。
このような議論によって、就労支援の在り方自体も進化するきっかけになるのではないでしょうか。
3)障害者支援から就職、在職中に困りごとを抱えた方への支援へ
障害者雇用は、制度面の後押しもあり、企業の取り組み、就労支援事業ともに拡大を続けてきました。
一方で、障害者手帳を持たない人の支援は、企業への後押し、社会資源ともにまだまだ不足しているのが現状です。
一方で、障害者手帳を持たない人の支援は、企業への後押し、社会資源ともにまだまだ不足しているのが現状です。
2013年に生活困窮者自立支援法が出来るなど、一定の取り組みはなされていますが、全体として見ればまだまだ取り組みが進んでいるとは言えません。
私たちが関わる大学生においても、障害者手帳を持つ学生という枠ではなく、障害者手帳を持たない学生も含めて、社会に出るのが難しい人をどう包括的に支えながら社会に送り出していくのか、といった視点が強まりつつあります。
私たちが関わる大学生においても、障害者手帳を持つ学生という枠ではなく、障害者手帳を持たない学生も含めて、社会に出るのが難しい人をどう包括的に支えながら社会に送り出していくのか、といった視点が強まりつつあります。
また、企業内においても、同じく障害者手帳はないものの、本人または周囲の人が困っている事例をたくさん耳にします。
障害者手帳を持たない方の支援については、従来の障害者就労支援事業では、社会制度面では対応が出来ませんが、培われたノウハウが活用できる範囲が多くありますし、今後、ひょっとしたら、制度の拡大解釈や制度改定により、社会資源として活用できる時代が来るかもしれません。
障害者手帳を持たない方の支援については、従来の障害者就労支援事業では、社会制度面では対応が出来ませんが、培われたノウハウが活用できる範囲が多くありますし、今後、ひょっとしたら、制度の拡大解釈や制度改定により、社会資源として活用できる時代が来るかもしれません。
さらに、雇用率の概念も見直される時代が来るかもしれない、とも感じています。
障害者支援にとどまらず、その周辺にいる困りごとを抱えた方々に対して、何が出来るのかを真剣に考える時代がすぐそこまで来ているのではないかと感じています。
障害者支援にとどまらず、その周辺にいる困りごとを抱えた方々に対して、何が出来るのかを真剣に考える時代がすぐそこまで来ているのではないかと感じています。
以上、極めて個人的な視点からですが、今年の業界におけるニュースや変化を見ていて感じた点を挙げてみました。
人によって感じていることや視点も違うと思いますので、今後どのような変化が起こり得るのか、是非色々と意見交換してみたいですね。
人によって感じていることや視点も違うと思いますので、今後どのような変化が起こり得るのか、是非色々と意見交換してみたいですね。