🟩 はじめに
ADHDやASDといった発達障害をお持ちの方が就職活動や職場にいくと、多くの方が直面する悩みがあります。それは、
「人とのコミュニケーションが苦手」「複数の作業を同時に進められない」「変化にストレスを感じやすい」。
こうした悩みやお困りごとは、正しい解決法をとってあげさえすれば克服できるものです。
この記事では、主にADHD・ASDをはじめとする発達障害のある方が「自分らしくイキイキと働く」ためのヒントをご紹介します。職場で起こりがちな状態の解決法を、就労移行支援事業所での具体例と合わせてご確認ください。

【1】発達障害で起こりやすい悩みと解決法

1)コミュニケーションが難しい
- 面接で自分のことをうまく伝えられない
- 職場の人間関係がぎこちなく、誤解を招いてしまう
- 暗黙のルールや空気を読むのが難しい
対人のコミュニケーションについて悩みがある場合の解決法として『自身のコミュニケーション傾向を知る』ことが効果的です。
「どのような状況で」「どんな相手に」「どのような話し方や聞き方をしたときに」問題が生じるのかを理解するのが第一歩。客観的に自分の傾向を把握することで、冷静さを保つことができるようになります。
2)優先順位がつけられない
- 複数の仕事があると混乱する
- 締め切りや段取りが把握できない
複数の業務が苦手な方の場合、「仕事の見える化」と「優先度の判断軸の明確化」が効果的な解決策となります。
何をやるのが良いのかを可視化して明確な基準を持つことで、混乱なく効率的に業務を進められるようになります。
3)環境の変化にストレスを感じる
- 急な予定変更があるとパニックになる
- 騒音や照明などに敏感で集中できない
環境の変化に強いストレスを感じる方にとっては、以下の2つのアプローチが非常に有効です。
解決法1:変化があったときの解消法を持つ
予期せぬ変更やストレスフルな状況に直面した際に、自分を落ち着かせるための具体的な対処法やルーティンを用意しておくことが大切。
例えば、深呼吸をする、特定の音楽を聴く、信頼できる人に相談するなどがあります。事前に準備があればいざという時にパニック状態に陥ることを防ぎ、冷静に戻りやすくなります。
例えば、深呼吸をする、特定の音楽を聴く、信頼できる人に相談するなどがあります。事前に準備があればいざという時にパニック状態に陥ることを防ぎ、冷静に戻りやすくなります。
解決法2:環境をできる限り予測可能にする
変化そのものを減らす、または変化が起きることを事前に把握できるような仕組みを作ることを意味します。
※エンカレッジなど一部の就労移行支援サービスでは職場との調整や連絡をフォローする仕組みがある場合もあります。
※エンカレッジなど一部の就労移行支援サービスでは職場との調整や連絡をフォローする仕組みがある場合もあります。
4)就職活動がうまくいかない
- どのように求人検索をしたらいいか分からない
- 向いている仕事が分からない
- 就職の選考に合格できない
就職活動がうまくいかない場合には、専門家と一緒に進めることも選択肢の一つです。エンカレッジで推奨している解決方法は以下になります。
解決法1:自己分析で「自分を知る」
自分の得意なこと、苦手なこと、ストレスを感じやすい状況などを掘り下げて理解することが第一歩です。
しっかりとした自己理解が、ミスマッチのない求人選びの土台となります。
しっかりとした自己理解が、ミスマッチのない求人選びの土台となります。
解決法2:職業体験でイメージを明確にする
実際に職場環境を体験してみることで、自分に合った働き方への理解が進みます。
ここでの成功体験が自信に繋がり、積極的にやりたいと感じることの貴重なヒントになります。
ここでの成功体験が自信に繋がり、積極的にやりたいと感じることの貴重なヒントになります。
【2】お悩み別:解決法の具体的な手順
就労移行支援事業所を利用している方の中には、相談をしながら自分なりの工夫をみつけることで悩みを解消する方が多くいます。
ここでは、先に挙げたよくある悩みやお困りごとに対して、具体的にどのようにサポートしていったかという過程を具体的に紹介します。
ここでは、先に挙げたよくある悩みやお困りごとに対して、具体的にどのようにサポートしていったかという過程を具体的に紹介します。

▶ 相手の立場に立って言動することへの苦手さがあり、職場に馴染みにくい方
■30代前半・女性(ASD・ADHD)
課題の背景
一般事務として働き始めたものの、言葉選びやちょっとした伝え方から誤解を招くことも。
次第に職場でのチームワークへの影響や勤務態度としてフィードバックを多く受けることがありました。
次第に職場でのチームワークへの影響や勤務態度としてフィードバックを多く受けることがありました。
具体的な解決方法
エンカレッジでは、まず「自分のコミュニケーション傾向を知る」のサポートを実施。
- 表情や言葉の選び方を、ロールプレイを通じて確認
- 配慮事項としての検討や整理をする
結果
ビジネスマナーに沿った言動を意識し、周囲との関係も良好に。
失言をしてしまった時もその場で謝罪をすることで、改善の姿勢が伝わり相手からの理解も得られました。
失言をしてしまった時もその場で謝罪をすることで、改善の姿勢が伝わり相手からの理解も得られました。
▶ 優先順位がわからず、仕事でミスを重ねていた方
■20代後半・男性(ADHD)
課題の背景
頼まれたことは全部やろうとするために無理をしてミスが増加。
仕事が遅い、ミスが多いなどの注意を受け、自信を失っていきました。
仕事が遅い、ミスが多いなどの注意を受け、自信を失っていきました。
具体的な解決方法
エンカレッジでは、「仕事の見える化」と「優先度の判断軸の明確化」をサポートしました。
- 「締め切り」「緊急度」「重要度」に応じて色分けし、優先順位を判断しやすく
- 作業後に指差し確認を取り入れた
- 「3分悩んだら相談に行く」「日報で進捗共有」など、具体的な行動基準を設定
結果
作業の正確性が上がり、上司から「仕事の丁寧さが光る」と評価されるようになりました。
現在は事務職で、自作のタスクリストを活用しながら働かれています。
現在は事務職で、自作のタスクリストを活用しながら働かれています。
▶ 環境の変化に弱く、体調を崩してしまった方
■30代前半・女性(ASD)
課題の背景
バックオフィス業務で事務員として働いていましたが、「納期が急に変わる」「毎回作業場所が違う」といった変化に強いストレスを感じ、ついには体調を崩してしまいました。
具体的な解決方法
「環境調整の方法」と「変化への心構えづくり」を中心に支援を実施。
- 企業に対して「作業場所を決める」「スケジュール変更は事前共有」などの環境配慮の調整
- 急な変更時に落ち着ける方法やストレス解消方法を探して実践
結果
企業の配慮を取り付けることで、安定して勤務。
自分に合った働き方ができることで、安心感にもつながりました。
自分に合った働き方ができることで、安心感にもつながりました。
▶ 自分の得意が分からず、就活に失敗していた方
■20代前半・男性(ASD・軽度知的障害)
課題の背景
自分に向いている仕事分からず、就職活動しても採用されない時期が続いていました。
就職を成功させるためのアドバイスが必要になりました。
就職を成功させるためのアドバイスが必要になりました。
具体的な解決方法
エンカレッジでは、「自己分析」と「体験実習」を実施し、適性と自己理解を深めるサポートを実施。
- 活動を振り返り、ご自身の強みに気づいてもらう
- 実習によって、物流や軽作業、清掃などの業務を体験する
結果
実習での成功体験が自信につながり、荷物の仕分けを行う物流企業に採用。
誠実な働きぶりが評価され、職場の同僚とも良好な関係で安定して働くことができています。
誠実な働きぶりが評価され、職場の同僚とも良好な関係で安定して働くことができています。
発達障害の課題を乗り越えた方の共通点
どADHD・ASDに起こりがちな悩みを乗り越えた方に、まず自分を知ること。そして、ひとりで抱え込まず支援を受けること。この二つが、自分らしい働き方を見つける鍵となります。
苦手なことに直面したときも、周囲の理解とサポートがあることで、自分らしい働き方を見つけるきっかけになります。
苦手なことに直面したときも、周囲の理解とサポートがあることで、自分らしい働き方を見つけるきっかけになります。

【3】就労移行支援の専門家による充実サポート
就労移行支援は、発達障害のある方が「自分らしく長く働く」ための準備期間として、とても重要な役割を果たします。
ここでは、就労移行支援を行うエンカレッジでは、主に下に示す4つの支援を行っています。

▶ 【支援その1】自己理解サポート
「自分の強みが分からない」「何の仕事が向いているか分からない」--そんな不安を抱える方は少なくありません。
自己理解を深めることが職場に適応するための第一歩になります。
自己理解を深めることが職場に適応するための第一歩になります。
支援の例
- 担当者との面談で活動の振り返り
- 実習経験で得意と苦手の整理
- エンカレッジ独自の自己分析「Boosterキャリア」の使用
支援の効果
利用者から「自分の強み、得意な業務が分かり自信が持てるようになった」「面談で話すことで気づいていなかった特性に気付けた」などの声をいただいています。
▶ 【支援その2】コミュニケーション教育
発達障害のある方の多くが「職場の人間関係」に不安を抱えています。エンカレッジでは、実践的なプログラムでコミュニケーションスキルを身につける支援を行っています。
支援の例
- グループワークで多様なご利用者と関わる経験をする
- 報連相の基本を毎日のオフィスワークで実践練習
- 講座では「職場でこんな時どうする?」をテーマごとにロールプレイ
支援の効果
利用者から「クッション言葉を使うことで相手にうまく伝えられた」「実習先から報連相ができていると評価してもらえた」などの声をいただいています。
▶ 【支援その3】企業実習でお仕事体験
頭で考えるだけでは、自分に合った仕事は分かりません。実際の職場での「リアルな体験」を通した環境探しをすることができます。
エンカレッジでは、様々な業種の企業と連携し、会社見学や実習の機会を提供しています。
エンカレッジでは、様々な業種の企業と連携し、会社見学や実習の機会を提供しています。
支援の例
- 多種多様な実習先企業が280社※2024年度実績(事業所間の重複含む)
- 会社説明会、見学会の調整と実施
- 就職までに平均3社の実習経験
支援の効果
利用者から「“できた”という実感が自信になった」「自分に合った業務や環境、働き方が見えてきた」などの声をいただいています。
▶ 【支援その4】 就職活動の伴走支援と定着サポート
エンカレッジでは、求人検索、書類作成から面接対策を支援します。
さらに就職した後にもフォローを行い、企業との環境調整など長く働き続けるための一貫したサポートを提供しています。
さらに就職した後にもフォローを行い、企業との環境調整など長く働き続けるための一貫したサポートを提供しています。
支援の例
- 求人探しの支援
- 書類作成、面接対策・練習のサポート
- 就職後も職場訪問での面談や企業との連携で働き続けるサポート
支援の効果
利用者から「直接職場では言いにくいことを支援員にサポートしてもらえ、ひとりで抱え込まずにすんだ」「相談できる場所があるのは心強い」などの声をいただいています。
エンカレッジの就労移行支援では、発達障害のある方の気持ちに寄り添いながら多面的なサポートを行っています。
【4】ひとりで抱え込まず、まずは相談を
あなたの「不安」や「困りごと」、話してみませんか?

「何から始めればいいのか分からない」「就職がうまくいく自信がない」
発達障害のある方の多くは、分かってもらえないかもしれないと、悩みをひとりで抱え込んでしまいがちです。
お近くの方で、もし悩んでいそうと感じたら、まずはお気軽にご相談ください。エンカレッジは、「自分らしい働き方」を見つけられるよう、丁寧に伴走させていただきます。
お問合せや説明会へは以下のボタンよりご連絡いただけます。
✅エンカレッジの就労移行支援事業所詳細
✅エンカレッジの自立訓練事業所詳細
<大阪エリア>
🖊 本記事の監修者
就労移行支援事業所
エンカレッジ早稲田駅前
所長 渡辺 明日香
ジョブコーチ
