発達障害のある大人のライフスキルについて

エンカレッジでは年に数回、スタッフが外部研修で学んできたことを全社員の前で発表する機会があります。その研修レポートです。

大人の発達障害の方に対しての3つの理解

講師は早稲田大学教授 梅永雄二先生でした。
今回の研修では主に

「発達障害の方を取り巻く社会的背景」
「子ども時代~大人時代の困り感」
「就労・雇用してから生じた課題」

についてお話が進みました。
その中で挙げられた「離職の理由」として、発達障害の方のライフスキルが大きく影響していることに、私たちは特に注目しました。

仕事で必要なスキルとして、私たちは【仕事の能力(ハードスキル)】に注目してしまいがちです。
しかし、離職の理由に目を向けると、実は

「対人関係の問題」
「障害を理解してもらえない」
「感情のコントロールが難しい」
「体調管理」

など、【業務外での理由(ソフトスキル)】9割を占めると梅永先生は説明されていました。

研修では「ライフスキル」はハードスキル・ソフトスキルを支えるもので、「人が日常生活を送るために必要なスキル」とお話にありました。
「決まった時間に自分で起きる」「身だしなみを整える」「ゴミを出す」「医者に行ける」など、ライフスキルは多々ありますが、
発達障害の方はライフスキルでつまづくことも多いようです。
そこをサポートし、生活面の土台があってこそ、仕事上のハードスキル・ソフトスキルも安定し、ご本人の様々な活躍に繋がるようです。

就労移行の現場や就職先の会社においても、「うまくいかない」ことに注目するだけでなく、理由や背景、
ご本人のライフスキルを意識したサポートが私たち支援員に求められる専門性だと感じました。

・個別の支援(できること、サポートが必要なことの見極め)
・長期的なサポートを大切に(必要な時に、必要なサポートをする)
・サポート体制をつくる(制度・人・モノをつなぐために専門的な知識が必要)

ご本人の豊かな人生を実現するために、これらのサポートを充実させていきたいと思いました。


発達障害の方におけるライフスキル例

【日々のライフスキル】
・決まった時間に自分で起きる
・身だしなみを整える
・家にカギをかける
・乗り物に乗る
・ATMを使う etc…

【一週間のライフスキル】
・土日に余暇を楽しむ
・爪を切る
・必要なものをまとめ買いできる
・ゴミを出す
・洗濯ができる etc…

【一ヶ月のライフスキル】
・散髪に行くことができる
・部屋代など必要な固定費を支払うことができる etc…

【一年間のライフスキル】
・歯医者に行くことができる
・健康診断を受けることができる
・履修登録ができる etc…

【その他のライフスキル】
・貯金ができる
・高額なものを計画的に買うことができる
・近所の人に挨拶ができる
・ストレス対策ができる etc…

環境・社会の変化によって常に必要なスキルは変わっていく