あっこ先生のお悩み相談室Case.5

あっこ先生のお悩み相談室Case.5
 
5回目となりました『あっこ先生のお悩み相談室』。担当の高橋です。
寒さが身に沁みる季節となりました。そして、再びコロナの感染者が増えてきていることも気になるところです。。。こればかりは抗えませんので、感染予防を徹底するしかありませんね。
コロナ禍での就活を余儀なくされている学生さんや当事者の方も、就職がより一層厳しくなるのではとご不安に思われているかもしれません。昨年までとは違い、コロナによって変化しつつある社会情勢も見ながらの就活になる中、少しでも前向な気持ちになれるような情報をご提供できたらと思います。
さて、今回は、障害者手帳を取得することについてこんなご相談をいただきました。

お悩み相談Case.5

<お悩み>
子どもがこれから就活を考えていかなくてはならない時期なのですが、もともとコミュニケーションが苦手で就活には不安があります。また、無理をしたり、過度にストレスがかかると精神的なダメージも想定されるので、親としてはちゃんと働けるのだろうかと心配しています。
障害者手帳を取得して、障害者雇用で就活をする道もあると聞いていますが、手帳を取ると一般の就職ができなくなったり、さらに就活で苦労することになったりするのではと懸念しています。やはり、障害者手帳を取得すると、就活では不利になるのでしょうか?
<あっこ先生の回答>
ご質問、ありがとうございます。そうですよね、障害者雇用の実態や障害者手帳を取ることの実情は、なかなか分からないものですよね。例えば、障害者雇用の求人情報は探そうと思えば見つかりますが、その裏側というのか、企業がどのようなスタンスや考え方で対応しているかは、見えにくいと思います。また、障害者手帳を取得することでどういう影響があるのか、どんな風に活用するのかなど、表面上は見えにくいところをここで解説できたらと思います。

◆手帳を取るとどういう影響があるのか?リスクは?

パッと聞くだけでは、どうしてもネガティブな印象のある障害者手帳。障害者として不当な差別を受けるのではないか、レッテルを貼られるのではないかと、心配の方が先だってしまうかと思います。
しかし、障害者手帳を取得すること自体にリスクや悪影響はないと考えます。その理由は、障害者手帳を取得する「目的は何か」を明確にして、どう取り扱うか、によります。私たちエンカレッジのサービスを活用されているご利用者や学生さんの中でも、障害者手帳を取得された方の大きな目的は、「発達障害特性による苦手なところを理解してもらい働きたい」」と希望されていることです。「苦手なところを理解してもらい働きたい」ことを企業側に知ってもらい、自分なりに工夫や努力をし、配慮も受けながら働くのが障害者雇用になります。
もし一般枠で就職したいとお考えであれば、わざわざ取得する必要はありませんし、また、手帳を取得したからといって、障害者雇用でしか就活ができなくなるわけではありません。 手帳を持っていても、一般の採用枠で就活することもできます。ですので、極論、手帳を取得しても目的外に使用したくなければ、タンスや引き出しにしまっておけばいいのです。
会社に障害を理解してもらって働く以外にも、市内の公共交通機関が無料で乗車できたり、割引があったりもします(お住まいの自治体によって違いはありますが)。このような場合も、使いたくなければ障害者手帳を提示する必要はなく、通常料金で乗車したらいいわけです。つまり、手帳を取得することと、それによって活用できるサービスの選択は、自分次第であるということです。
一方で、一般雇用で内定をもらった後や、働き始めてから障害者手帳を取得した場合はどうなるの?ということも気になりますね…。その場合も上記同様、障害者手帳を取得したからといって、会社に自動的にばれることも、申告しなければならないこともありません(障害があることをオープンにせず働くことをクローズ就労と言います)。
ただ、働き始めてから、特性上の困りごとや難しさが出て、うまく業務が進められない状況になる可能性はあるかもしれません。そうなると、自分自身もしんどくなってしまいますし、周りや上司もうまく仕事が進められないために、異動や配置換えを検討されるかもしれません。そうなってから、発達障害特性があることや障害者手帳を持っていることを伝え、働き方や業務を変更していただくことも一つです。しかしながら、そのような場合は、職場の直属の上司だけではなく、人事部や産業医、支援機関につながっているのなら支援者など、ご本人のことを理解してくれる関係者と相談しながら進める方がよいでしょう。

◆障害者手帳をどう取り扱うのか=「どういう働き方をしたいか」がキーポイント 💡

上記で述べたように、「苦手なところを理解してもらい働きたい」=つまり、障害者雇用を希望する場合は、応募や入社の際に、障害者手帳の提示が必要になり、いわばこの「障害者手帳」が証明書となります。
そして、障害者雇用のメリットにもなりますが、就職に向けての準備段階や職場への定着においても、人的支援(ジョブコーチや専門の支援者が付いてのサポート)を受けることができます。第三者のサポートを受けながら、安心して就活し、働きたい方には向いていると思います。 一方で、配慮のある中での働き方は、一般枠に比べて賃金がやや下回ることや、昇格や昇進など人を指導・管理するような責任のある業務は避けて考えらえることも多いため、キャリアアップの機会が一般に比べて少ないことも実情です。しかし、この辺りは企業の考え方によって異なります。障害者雇用であっても、どのようなキャリアの可能性があるのかについては、事前に調べてみることや、人事担当者に質問してみることをお勧めします。
障害者雇用のメリット・デメリット
 

今回の「あっこ先生のお悩み相談室」はいかがでしたか?
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