あっこ先生のお悩み相談室Case.3

あっこ先生のお悩み相談室Case.3
 
『あっこ先生のお悩み相談室』、番外編を除くと今回で3回目となりました!エンカレッジの高橋 亜希子です。
コロナの影響により、大学の授業がほぼオンラインになったことで、お家で授業を受けたり、就活でもオンラインで面接を受けたりすることが当たり前になってきています。ご家族からすると、お家にお子さんがいることで必然的に子どもの様子が見えてしまい、ついつい口を出したくなる環境が整ってしまっていることは否めません。一方で、学生さんからは、親の干渉がきつくて困っている、親が口を挟んできてしんどい…という相談を受けることもあります。
そんな中、就活に悩む息子さんのいるご家族より、お悩みをいただきました。

お悩み相談Case.3

<お悩み>就活に悩む息子とのかかわり方について
就活に悩む息子とのかかわり方に悩んでいます。なかなか自分から動けていないようで、親の方が焦り、あれこれ口を挟んでしまいます。あまり干渉しすぎるのもどうかとは思うのですが、コミュニケーションが苦手で消極的な息子を見ていると、どうしても気になってしまいます。親としてはどのように接するべきなのでしょうか?
<あっこ先生の回答>
ご相談ありがとうございます。親として、子どもがちゃんと就活ができているのか気になるところですよね。親は子のためを想い心配してのことですが、子は子で過度に心配されると苦しくなってしまうものです。
今回は、就活の間、ご家族がどういうスタンスで関わるといいのかをお伝えできたらと思います。
■□■ 就活中の家族 3つの心得 ■□■

<心得その1 ☝>そっと見守り、否定せず受け入れて

お子さんにとって一番辛く感じることは、「今の自分を否定された、拒絶された」ということです。「親の期待は、一見すると愛情のような形をしていますが、その期待を子どもが受け取った時、子どもにとって愛情に感じられないことの方が多く『今のあなたではダメだ』というメッセージになる」という、私が尊敬する佐々木正美先生の言葉もあります。
就活は、自分と向き合いながら、企業や他者からも評価されるしんどい活動です。一般の学生さんであっても、決して楽な活動ではありません。ましてやコミュニケーションが苦手な学生さんにとっては、面接に対して大きなストレスや不安がかかりやすいのは当然です。その上さらに家族からもプレッシャーをかけられると、必然的に追い込まれてしまいます。そうして強くストレスがかかると、例えば会社説明会にも行きたくない…行けない…と、現実から逃れたくなり、精神的に落ち込みます。そうなると、治療が必要になるなど、そもそも就活を前向きに進めること自体が難しくなってしまいます。
ですので、追い込まず、そっと見守ってあげてください。そっと見守り、お子さんの意思や考えを頭ごなしに否定せず、理由を聞いて受け入れてあげてください。これは、決して意見を言うなということではなく、お子さんの話を聞いた上での助言や選択肢の提案はもちろん大丈夫です。

<心得その2 ☝>相談先をつくる・活用する

家族が理解し認めれば、就活が万事うまくいくかというとそういうわけではありません。しかし、色々と起こりうる事柄に対応していくための土台になることは確かです。
例えば、ご家族が上記の姿勢でどんと構えて、肯定的に応援してくださっていれば、お子さんはもし面接でうまくいかなかったり、不採用続きで一時的に落ち込んだとしても、その経験から次の一手を考えたり、別の方策を見つけることにつながりやすくなります。
また、お子さんからご家族へしんどいことの共有やヘルプの要請があれば、共感し、専門の機関へ相談に行くことを促してあげてください。先回りして親御さん自らが動くのではなく、所属の大学の就職課やキャリアセンター、学生相談室など、まずは一番身近なところにお子さんと一緒に相談に行くことをお勧めします。そこから専門の相談機関を紹介してもらうこともできます。
また、大学のキャリアセンターは、就職に関しての専門的な機関ですから、さまざまな学生の対応経験や就職先との接点を持ち合わせておられます。ご家族が全てやろうとせず、客観的に状況を把握し、しかるべきステップでやるべきことを、相談先の方(支援者)と一緒に検討しながら進めていただける状況をつくることが大切です。
お子さんにとっても、自分の状況を理解してもらえる第三者に相談していくことは、来たるべき社会人生活に向けて重要なことであり、そのこと自体が自ら社会的なかかわりを持つことにつながります。たとえコミュニケーションが苦手であっても、安心できる人には「相談してみよう、聞いてみよう」と思えるものです。

<心得その3 ☝>自己選択・自己決定を尊重して

上記にも述べましたが、就活の先には、社会人生活が待っています。社会人になれば、自分から上司や先輩に相談して、困りごとや課題を解決していかなくてはなりません。だからこそ、就活の期間を通して、ご家族で悩みや課題を抱え込むのではなく、第三者に委ねていくことを実践するのが社会人として自立していく第一歩になります。
関連して、親が「選択を押し付けること」は避け、ご本人の意向を尊重して、決めていくのが鉄則です。なぜなら、親の意向で応募した企業に仮に面接に行ったとしても、志望動機がつくれない、うまく伝えられないということが起こります。そして、その反応はもろに面接官に伝わってしまいます。
加えて、その後しんどい状況に陥った際、「あの時親の言う通りにしなければ…」というような反感を抱かせることにもなりかねません。お子さんの意思を尊重し、選択を認めると、自分の選んだ決断ですから、お子さんも前向きに考え責任を持って行動しようという姿勢につながります。
3つの心得、いかがでしたでしょうか?
就活の中では、家族が一番の理解者であり応援団です。心配のあまり、あれこれ口を出してしまいそうになりますが、ぜひこの3つの心得を心に留め、おおらかな気持ちでお子さんに接してあげてください。そうすることがお子さんの自立を促すキーになり、ご家族への信頼感にもつながるはずです。

今回の「あっこ先生のお悩み相談室」はいかがでしたか?
この企画では、読者の皆さまからのお悩み・ご相談を募集します!発達障害のあるお子さんの特性について、就職や転職、障害者雇用のこと、生活スキルや余暇の過ごし方についてなど、何でもOKです。
ご家族の皆さまからいただいたお悩みに、あっこ先生がお答えしていきますので、どしどしお寄せください◎
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