
職場での飲み会、どうしても苦手と感じる人は少なくありません。
特に、発達障害(ADHD・ASD)の特性を持っている人にとっては、大きなストレスになることがあります。
本記事では、発達障害があるとどうして苦手になるのかというメカニズムと、ちょっとでも楽しめるようになる対策をまとめました。
どうして飲み会が苦手になるか

発達障害の特性は人によってさまざま。一般的な傾向から、課題となりやすいのは以下のポイントとなります。
▶ ADHDの場合
- 多動性・衝動性
- 注意散漫
- 聴覚過敏
ADHD(注意欠陥・多動性障害)の場合には、以下のものが理由になりやすいです。
じっとしているのが苦手で、つい席を立ってしまったり、場にそぐわない発言をしてしまったりすることがあります。
複数の会話が同時に行われる中で、特定の人の話に集中するのが難しく、話を聞き逃してしまうことがあります。
ガヤガヤした騒音やBGMが気になり、会話に集中できなかったり、疲れてしまったりすることがあります。
▶ ASDの場合
- コミュニケーション
- 感覚過敏
- 不測の出来事への対応
ASD(自閉症スペクトラム障害)の特性を持つ人にとっては、次のような理由が考えられます。
場を和ませる雑談、空気を読むことが難しいことがあります。
賑やかな場所の音や照明、料理の匂いなどが過剰に感じられ、気分が悪くなってしまうことがあります。
飲み会のルールや流れが明確でなく、予想外を想像して不安を感じることがあります。
飲み会を乗り切るための7つの対策

「飲み会に慣れる」のではなく、「飲み会を自分にとって楽なものにする」という視点で対策を考えてみましょう。
①行きたくないときは無理をしない
飲み会はお仕事ではありませんので、必ずしも参加する必要はありません。
コミュニケーションが苦手だと感じる方は、話題の提供に疲れるということがあります。行きたくないときは、「体調が優れないので」「先約があって」などと伝えて断りましょう。
②周りの協力を得る
信頼できる同僚や上司に、自分の特性や飲み会で困ってしまうことをあらかじめ伝えておくのも有効です。
「ガヤガヤした場所だと話を聞き取りにくいので、ゆっくり話してもらえると助かります」
「落ち着かないとき、少し席を外させてもらうかもしれません」
「落ち着かないとき、少し席を外させてもらうかもしれません」
のように、具体的に『困りごと・どうしてほしい』について伝えておきましょう。
③一次会で帰る
二次会まで参加するプレッシャーをなくし、一次会が終わったら帰ることをあらかじめ決めておきましょう。
④参加の目的を決める
「今日はAさんとだけ話そう」「30分だけ参加する」など、自分なりの目標を決めておくと、理由なく参加する時の不安は軽減されます。
⑤「聞くこと」に集中する
コミュニケーションが苦手だと感じる方は、話題の提供に疲れるということがあります。
相手の話を丁寧に聞くことに集中し、相づちを打ったり、相手の言葉を繰り返したりするだけでも案外会話はうまくできてしまいます。
⑥アルコールを避ける
アルコールは、衝動性や注意散漫さを増幅させてしまうことがあります。
ADHDの特性を持つ人にとっては、冷静な判断ができなくなる可能性を排除すると気が楽になります。無理にお酒を飲まず、ソフトドリンクを頼んでももちろん大丈夫です。
⑦楽になる飲み会テクニック
飲み会が楽になる自分なりのテクニックを見つけたり、同じ特性をもっている先輩に聞いてみるのも手です。
ここでは、症状について詳しいADHD当事者でもある「かめたーとる」先生に、飲み会の苦手が軽減するテクニックを聞いてきました。
経験者が語る「飲み会テクニック」

専用のテクニックを習得しておくことで、発達障害傾向のある方も飲み会のストレスが軽減します。
✅ 座席は端に座ろう
飲み会では真ん中の座席に座ると、話の展開がはやかったり、前後左右すべての会話が聞こえることで疲れやすいです。
端っこに座ることで、環境が安定しやすくなります。出口近くや壁沿いなど周りにいる人の数が少なくなる場所に狙いを絞ってみましょう。
✅ トイレに行って休もう
飲み会で疲れる方は、こまめに休憩をいれることが有効。飲み会で酒が入っているときには、トイレが近くなる人もいるため、周りは案外気にしないものです。
トイレの個室を使わせてもらい、音や人と物理的に距離をとって休むようにしましょう。
✅ 飲みすぎないようにしよう
これは、ADHD傾向にある方に使いやすいアドバイスかもしれないが、衝動性のためかつい飲みすぎる傾向がないでしょうか。
これは事前に酔わない程度までしかお酒を飲まないというルールを設けておくことで回避できるようになります。
まとめ
今回は、職場の飲み会が苦手な方に向けて、その対策法をお伝えしました。これらの対策は、あなた自身が快適に過ごすための一例になります。
ストレスなく楽に過ごすことが大切なので、無理をしない方向で考えてください。
一人では飲み会不参加と言いにくい場合、支援機関に会社との時間外の付き合い方について調整をしてもらうということも、一つの解決策になると思います。
就職時に就労移行支援を活用しておくことで、就職後の労働環境に関するフォローをしてもらえるます。
発達障害の診断を受けていて、コミュニケーションに不安がある方は、事前に相談するのもいいと思います。