2025年9月2日、ブルームバーグとエンカレッジは共催で「オープンオフィス」を開催いたしました。
本イベントは、障害のある学生のキャリア支援に携わる大学関係者やご家族の皆さまを対象に、卒業後の進路や就労の実態を共有することを目的としております。
本イベントは、障害のある学生のキャリア支援に携わる大学関係者やご家族の皆さまを対象に、卒業後の進路や就労の実態を共有することを目的としております。
今年で4回目の開催となる本イベントでは、企業や特例子会社における就労事例、障害のある方向けインターンシップなど、多様化するキャリアパスを紹介いたしました。加えて、参加者間の知見共有やネットワーク構築の場としても活用いただき、大学や家庭の枠を超えた支援の可能性を広げる機会となりました。
昨年のイベントはこちら↓
今回は「障害のある学生の卒業後の多様なキャリアの在り方について考える」をテーマに情報提供や参加者同士の意見交換を行いました。
オープニング~今日のイベントへの想い~
ブルームバーグアジア太平洋地域の採用部門を統括しているステファン・アギウス氏からのビデオメッセージでは、イベント開催への想いについて大学から「学生だけでなく、周囲の大人への情報共有を希望する声」からこの取り組みがスタートし、当事者だけでなく、共に歩むご家族や支援者の皆さまも、インクルーシブな社会をつくる「主役」であると考えているというお話がありました。

この想いのもと、会場とオンラインあわせて多くの方にご参加いただきました。
ブルームバーグの障害者採用とその考え方
人事部 エンプロイーリレーションチーム 高橋弦也さんより、ブルームバーグの障害者雇用の取り組みについて紹介がありました。
障害理解を深める活動として障害のある社員とそのチャレンジを支援する有志が構成するコミュニティ (Bloomberg Abilities Community)によるボッチャイベントや「企業の成長に資する新たな障がい者雇用モデルの確立」を目指し大手企業約30社が参画する一般社団法人「企業アクセシビリティ・コンソーシアム」(以下、ACE)の会員企業として学生に働く本質的意義を考える機会を提供するインターンシッププログラムの実施など、多岐に渡ります。

ブルームバーグの障害者採用について、高橋さんは次のように説明してくれました。
「まずは、本人とじっくりお話をしてありたい姿を描きます。そして実現できる環境について洗い出し、双方を実現し社内で活躍できるポジションを用意できるかを検討していきます。」
そのため、対面面接や書面でのやり取りだけではなく、オフィス見学、障害理解を相互に深めるためのセッションを社員とも直接行い、実際の業務を体験した上でマッチングしているそうです。
特定部署での採用ではなく幅広い部署での採用実績があり、20代~60代までと多様で、まさに“誰もが活躍できる場所”があることを感じさせてくれました。
また、重度の障害により通勤やオフィス勤務が難しい方に向けたフルリモート勤務の「ブルームバーグ アビリティーズ・プログラム」も2021年から始まっており、現在は3名の社員がこのプログラムを利用して活躍中とのことです。
高橋さんは「今できることに応じた配慮をし、その人が活躍できる環境を整えることを大切にしています」と語ってくれました。
「ブルームバーグの障害者採用は『障害のあるないに関わらない』『他人任せ、人事任せではない採用』、そして社内外の枠を超えて障害者採用を考えている。」
があるから” “制度があるから”という枠にとらわれず、会社全体で障害者採用を考える姿勢が印象的でした。
があるから” “制度があるから”という枠にとらわれず、会社全体で障害者採用を考える姿勢が印象的でした。
ブルームバーグのインクルーシブな人材採用について、さらに詳しくはこちら↓
エンカレッジの視点:本人に合った「働き方」を一緒に見つける
続いて、就労移行支援事業所「エンカレッジ早稲田駅前」でコーディネーターを務める玉井から、現場での支援経験に基づく情報と事例提供がありました。
例えば、障害者雇用で働くといっても個別配置や集合配置といった配置の違いや特例子会社、福祉的就労という大きな枠組みでの選択肢があります。
優劣ではなく、一番はその働き方が本人に合っているかということが重要だと、支援経験から参加者にメッセージを伝えました。
優劣ではなく、一番はその働き方が本人に合っているかということが重要だと、支援経験から参加者にメッセージを伝えました。

これまでの支援の中で、環境が変わることで本人の自己理解が深まり、自信をもって新たな一歩を踏み出す姿をたくさん見てきたそうです。「その人らしさを発揮できる環境は、必ずある」と感じさせるエピソードが印象的でした。
企業就職、特例子会社、福祉的就労など、どの選択肢も“立派なキャリア”です。重要なのは、誰かに決められるのではなく、本人が「自分で選ぶこと」。その自己決定を支えるのが、私たち支援者の役割なのだと改めて感じさせられるお話でした。
株式会社エンカレッジの就労移行支援事業所での就職事例はこちら↓
パネルディスカッション 企業の多様な採用事例から考える ─ 障害学生が活躍できるキャリア選択のヒント
今回は、多様なキャリアをより幅広く伝えるためにACE会員企業である
- 日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBM)人事 採用チーム障がい者採用担当 保科浩子さま
- 株式会社電通グループ コーポレートHRオフィス 濱崎伸洋さま
にもご協力いただき、ブルームバーグを含めた3社にパネリストとしてご登壇いただきました。
各企業での障害者採用への考え方や活動、障害のある方の活躍の場などの実際について教えていただき、障害学生が活躍できるキャリア選択、多様なキャリアについてさらに深めていきました。
日本IBM保科さんより、IBMはITで世の中を変えていく会社であり、人種、性別、宗教、障害の有無などによる差別は禁止することを約束する企業であるとお話がありました。
アメリカのベンチャー企業としてスタートし、採用がうまくいかない中で女性や黒人、障害のある方といった、いわゆるマイノリティの方の採用を進める際に多様性の重要さに気付いた背景について語られました。
アメリカのベンチャー企業としてスタートし、採用がうまくいかない中で女性や黒人、障害のある方といった、いわゆるマイノリティの方の採用を進める際に多様性の重要さに気付いた背景について語られました。

採用に関しては、特例子会社はなく、障害者向けの仕事、選考基準、給与テーブルといった“障害者枠”がない会社であると説明がありました。
2014年から障害のある学生(第二新卒含む)向けの長期インターンシップAccess
Blue Program(ACB)を実施し、ビジネス・ITの基礎、チームで働くこと、自己の障害と向き合うこと、就職のためのさまざまな支援等を実施しているそうです。
そしてACB後の本採用に力を入れ、日本IBMグループの社員としての採用にも至っているそうです。
Blue Program(ACB)を実施し、ビジネス・ITの基礎、チームで働くこと、自己の障害と向き合うこと、就職のためのさまざまな支援等を実施しているそうです。
そしてACB後の本採用に力を入れ、日本IBMグループの社員としての採用にも至っているそうです。
2024年からは学生のみではなく、就労経験のある方向けにも実施されています。
2026年のACBについてはこちら↓
電通グループ濱崎さんからは、“多様性は競争力”という方針のもと、国内グループ約140社の多くで障害者雇用を推進しているとお話がありました。

電通グループでの採用には大きく2パターンあり、1つは自社雇用、2つ目に特例子会社があると紹介いただきました。また、同社ならではのユニークな取組として、グループ会社がコンソーシアムを組成し、農業で障害者を採用しているというご説明がありました。
また、各社の事業環境やカルチャーに応じた雇用として、アスリート採用や在宅勤務に特化した採用、ビルのユニバーサル化などについても紹介いただきました。
そして、採用、雇用だけではなく雇用後のインクルージョンが重要と強調されていました。その取り組みとして、当事者も参加しての勉強会やディスカッション、ERGなどにも力を入れているそうです。
電通グループの障害者雇用の取り組み詳細はこちら↓
ブルームバーグ、日本アイ・ビー・エム、電通グループからの話からも3社3様の方針、取り組みがなされており、リアルな情報として参加者のみなさんも聞き入る様子がありました。
各社紹介の後は、キャリア選択として重要な観点についてディスカッションをしました。

「環境が障壁をつくっていることがあり、どのような環境で障壁が生じるか分析できていないことがある。」と聴覚過敏のある方がブルームバーグのオフィスでは過敏反応が出なかった方を事例に、環境要因を知ることの重要さについて高橋さんが触れました。
続いて、保科さんは各社、障害に対する取り組みが異なるため、キャリア選択の際に色々な会社を見て欲しいと参加者に伝えてくださいました。ACBの取り組み事例から、「自己理解と環境理解を進めるとよりよいキャリア選択に繋がると思う」とお話いただきました。
濱崎さんからは、「自分の障害の話から入るのではなく、自分がどんな仕事がしたくて、どんな強みがあるかをまず話して、そのあとにどんな配慮が必要かをちゃんと整理して伝えることが大切」とお話いただきました。
- 自分と環境要因の関係性について分析すること
- 自分に合った環境を見つけるために色々な会社、環境を見る、知る、インターンシップに参加して体験してみること
- どんな仕事がしたいか、何ができるかの要素を掛け合わせていくこと
がキャリア選択において重要な要素としてトピックに挙がりました。
何よりも支援者、家族から言われてするのではなく、自分はこれがいいと思って選択できるように支援するために、今回の働き方の選択肢やキャリア選択のポイントについて学生さんやお子さんに伝えて欲しいというメッセージとともにパネルディスカッションは締めくくられました。
次回(後半)へつづく!
後半では、ブルームバーグの障害のある社員のキャリア選択プロセス紹介、参加者同士の交流タイム、参加者の声や感想、などをご紹介予定です。
障害のある学生の進路について、もっと深く一緒に考えていきましょう。
障害のある学生の進路について、もっと深く一緒に考えていきましょう。
エンカレッジ早稲田駅前では、開かれた場所であり、企業・大学・支援機関・医療機関のみなさまとの協働で、ひとりひとりの就職活動を応援しています。
実際に、人事の方や一緒に働く方とお会いしてお話をすることで、職場の雰囲気を感じることができます。
どなたでもいつでも見学できますので、ぜひ覗きに来てください。