実習・企業見学・講座・訓練で得た経験は無駄になることはない。他1事例~発達障害のある大人の就職~

この記事では、エンカレッジから就職されたご利用者の就職ストーリーをシリーズでご紹介しています。
ご利用者本人からは、利用を決めてから就職に至るまでにどんなことがあったか、エンカレッジに通ってみての感想、率直な今の気持ちなどをお聞きしました。
また、ご利用者の就職をサポートしてきた支援者から見たご本人の変化や、就職に至るまでのプロセス、今後に向けてのエールも載せています。
📍この記事はこんな方におすすめ📍
  • 発達障害があり、就労移行支援の利用を検討している
  • 就職が決まった人が、どんな流れで就職できたのか知りたい
  • 就労移行支援事業所で実際にどんなことをするのか知りたい
今回は、2022年9月に就職が決まられたご利用者の就職事例から、2つのストーリーをお届けします!

就職事例1)実習・企業見学・講座・訓練で得た経験は無駄になることはない

エンカレッジ早稲田駅前 ご利用者Aさん
  • ▶ エンカレッジ早稲田駅前 ご利用者Aさん
  • 【性別】男性
  • 【年代】20代前半
  • 【障害種別】広汎性発達障害
  • 【利用期間】11カ月
  • 【職種/業務内容】メーリングサービス業務、機密書類回収および裁断業務、印刷業務、オフィス支援業務、セキュリティシステム支援業務など
 
エンカレッジの利用するにあたって考えていたのは、「自分に合う環境を見極めた上で、長く安定して働ける企業になるべく早く就職する。」というものでした。
元々、約2年前まで一般企業に一般雇用で就職していました。しかし、特性とのミスマッチ等によるストレスにより、入社して僅か2年弱で退職することになってしまいました。その後、自分の特性を理解した上で合う職場を探すことを目的に障害者としての就活を決断、市内の支援機関からの協力の元で実習などの機会を探り続けていました。が、コロナの影響で思うように進まず、焦りから支援員の方と衝突することもありました。

エンカレッジの紹介を受けたとき、各種講座や訓練プログラムによるスキルアップ及び自己理解の強化、定期的な通所による生活リズムの矯正が期待できるとの声もあり、少し迷いもあったものの、最終的に利用してみることにしました。とは言え、無職期間が長引き過ぎるのを危惧する思いも強かったこともあり、前述の矛盾した考えが生まれてしまっていました。
利用開始から約11ヶ月という早いのか遅いのかよくわからないタイミングでの就職となりましたが、そこまでに受けた雇用前を含め実習3回、オンラインを含め企業見学5社、更に各種講座や訓練プログラムの数々で得られた経験は決して無駄になることはないと信じています。
全ての関係者の方に心より感謝申し上げます。
就職事例30-1-1  就職事例30-1-2
 
🌟 支援者よりひとこと 🌟
Aさんはエンカレッジ早稲田駅前のムードメーカーで、いつも明るくみんなを笑顔にしてくれる存在でした。
面談では、「就職活動は自分の居場所探し」とお話されていたことが、今でも印象的です。
エンカレッジに来た当初は、環境の変化や初めて行く実習について、戸惑うことがあったようですが、4月にR社での実習を通じて、働く自信をつけておられました。
自信をつけた後は、何事にも前向きにまずは「やってみます!」と意気込んで応募や面接に挑戦していきました。
就職活動では、うまくいかないことへのストレスを感じながらも、心折れることなく、失敗をしても立ち上がって最後まで就職活動をやり切りました。
今回、実習の時には採用の枠がなかったのですが、ご縁があって採用のご連絡をいただき、自分に合った職場だと確信をして、様々なハプニングや失敗を乗り越えてたどり着いた就職・自分の居場所でした。
今後も、Aさんの明るいキャラクターと責任感を持ってやり抜き、前に進む力強さで活躍されることを応援しています。
ご就職、おめでとうございます!
(エンカレッジ早稲田駅前 スタッフU)

就職事例2)安心感のある中で自分と向き合うことができて良かった

エンカレッジ京都 ご利用者Sさん
  • ▶ エンカレッジ京都 ご利用者Sさん
  • 【性別】男性
  • 【年代】20代前半
  • 【障害種別】広汎性発達障害
  • 【利用期間】15ヶ月間
  • 【職種/業務内容】農作業
 
安心感のある中で自分と向き合うことができたのが一番良かったことです。
講座では、普段教えてもらえない、でも自分は一番知りたかったことが学べるので、毎回楽しみに受講していました。特に、考え方や伝え方のコツ、印象の大切さなど、自分視点ではなく相手視点で物事を考える大切さに気づくことができたのは大きな変化です。
面談では、時間をかけて丁寧に向き合い、課題や困りごとについての対策や目標を一緒に考えてくださったり、的確なアドバイスをいただいたりしました。
実習では、顔合わせ、実習中のフォロー、振り返りを通じて、密接にサポートいただき、自分一人では気づけない多くの学びがありました。
これらを通じて、利用して一年三か月経った今、変化を実感できています。自己理解と認知トレーニングに力を入れて取り組みましたが、自分の傾向について理解できたことで困りごとに対処できるようになったり、物事のとらえ方が変化したことで生きるのが楽になったりした部分も多くあります。エンカレッジでの日々は、自分の根本の課題に向き合う期間でしたが、じっくりと時間をかけて真剣に取り組んでよかったと思います。
こうした充実した学びが得られたのは、スタッフの皆様が丁寧に向き合ってくださったおかげです。本当にありがとうございます。今後の人生でも活かせる多くの学びがあったので、行動に移していきたいです。
就職事例30-2-2 
 
🌟 支援者よりひとこと 🌟
いつも笑顔で柔らかい態度が魅力の方で、利用初日から人が集まってくるほどの力がありました。
ただ、過剰適応が背景にあることがわかり、常に「他人はどう思うのか?」と「自分はどうしたいのか?」の狭間に揺れ、エネルギーを大きく費やす傾向のある方です。

「自身を尊重する」ことをテーマに、意思を伝えることを大切にエンカレッジを利用されました。自己開示については一朝一夕にできるものではありませんが、自宅でもそれにかかるテーマを勉強し、エンカレッジや実習の場での実践を通じて学んでこられました。

就職活動では大学時代より興味の強い農業を希望され(学部は法学部ですが)、自身でみつけたK社での4週間に及ぶ体験実習にもチャレンジされました。経験の中から自身の特性を知り、受け入れ、就職企業のY社での実習では、苦手だった自らの発信を大切にし、安心感、居場所を得ることができる自分を知ることできました。
(エンカレッジ京都 スタッフY)
 
いかがでしたか?「発達障害のある大人の就職事例」はシリーズとして今後も定期的に発信していきます。乞うご期待ください!