実習体験した上での就職は理想的な就活の形だった。他6事例~発達障害のある大人の就職~

この記事では、エンカレッジから就職されたご利用者の就職ストーリーをシリーズでご紹介しています。
ご利用者本人からは、利用を決めてから就職に至るまでにどんなことがあったか、エンカレッジに通ってみての感想、率直な今の気持ちなどをお聞きしました。
また、ご利用者の就職をサポートしてきた支援者から見たご本人の変化や、就職に至るまでのプロセス、今後に向けてのエールも載せています。
📍この記事はこんな方におすすめ📍
  • 発達障害があり、就労移行支援の利用を検討している
  • 就職が決まった人が、どんな流れで就職できたのか知りたい
  • 就労移行支援事業所で実際にどんなことをするのか知りたい
今回は、2022年5月に就職が決まられたご利用者の就職事例から、7つのストーリーをお届けします!
*「発達障害のある大人の就職事例」はシリーズとして今後も定期的に発信していきます。乞うご期待ください。

就職事例1)実習体験した上での就職は理想的な就活の形だった

エンカレッジ京都 ご利用者Iさん
  • ▶ エンカレッジ京都 ご利用者Iさん
  • 【性別】男性
  • 【年代】30代前半
  • 【障害種別】ADHD
  • 【利用期間】20ヶ月間
  • 【職種/業務内容】事務/ファイリング・PC端末操作・そのほか庶務
 
ハローワークや民営の求人サイト、エージェントなど、多方面からチャンスを掴もうとしましたが、書類選考で落ち続け、エージェントからは紹介を断られ、厳しい現実に直面し苦しみました。
そんな折、実習先から選考のご連絡を頂き、この度、内定を頂くことができました。私は、新卒で入社した会社の業務も勤務形態も合わずに退職した過去があります。
そんな私にとって、実習で業務内容や職場の雰囲気を事前に体験できたうえでの就職は、ミスマッチを起こしにくい理想的な就活の形だったように思います。
スタッフの方々には、相談に乗って頂いたり、添削や面接練習など何度もお世話になりました。エンカレッジ京都の皆様ありがとうございました。
就職事例26-1-1 就職事例26-1-2
 
🌟 支援者よりひとこと 🌟
Iさんは過去に接客業(ホテルスタッフ)として一般雇用で働かれていました。
マルチタスクなどでしんどさから離職され、それを機に東京から京都に移住し、障害者雇用で働くことを選ばれました。

エンカレッジを利用されてからは2か月の勉強でMOSのWord・Excelの資格をいずれも1000点満点で取得するなど、飛びぬけた集中力と正確性の強みがありました。
常に指示やルールをきっちり守り正確に作業できるところ、どうすれば効率よく作業できるのか自身で考え行動できるところ。
また何より常に穏やかで物腰の柔らかい方で、内定が決まって以降などはスタッフかと見まがうほどの視野の広さと提案、発信できる方でした。
服薬調整から落ち着き、強みを多く身に付けた方ですが、自己肯定感が低く、常に不安と我慢で自身を律してきた方です。

私自身、彼の実直さには感嘆しっぱなしでしたが、中でも印象的なのは、最終面接の逆質問で「私が御社にご縁をいただいた場合、皆様に配慮すべきことはありますか?」との言葉でした。
それを聴いた瞬間、「配慮されるべき存在」と当事者を置いていたんだなと頭を打たれた感覚がありました。
本人曰く、「エンカレッジで多くの方と出会い、触れ合う中で自然と必要な視点だと気づいた」とのことでした。

内省力の高い方でもあります。今後も活躍されると思います!
(エンカレッジ京都 スタッフY)

就職事例2)出来た事・出来なかった事を含め様々な経験を積めた

エンカレッジ心斎橋 ご利用者Iさん
  • ▶ エンカレッジ心斎橋 ご利用者Iさん
  • 【性別】男性
  • 【年代】20代後半
  • 【障害種別】ADHD
  • 【利用期間】1年11ヶ月
  • 【職種/業務内容】薬品の仕分け、調剤補助、機器の洗浄、集計等のデータ入力
 
約二年間、多くの改善出来た事や結局あまり改善出来なかった事等ありつつ、様々な経験をつむことが出来ました。
欠点によって途中から講座を受けられないことが増えてしまったものの、最初の頃に受けた講座や受けられた際の講座で多くの学びを得ることが出来、それらが生かされたように思います。
今までも、これからも、何とか欠点の改善をこころざしつつ、さらに成長して行きたいと思っております。
就職事例26-2-1 就職事例26-2-2
 
🌟 支援者よりひとこと 🌟
Iさんは、とても真面目な性格で、穏やかな、人懐っこい人柄の方です。一方、しっかりとご自身の意思をもっておられる方です。
エンカレッジを通所された時からCAD業務を希望されていましたが、専門職のため求人件数は少なく、経験とスキルも求められ、コロナ禍ということも重なり、企業とのご縁がなかなかつながりませんでした。そこで他の職種や得意なパソコン業務など、自分にあった業務を探すために少し視野を広げるため、色々な企業に見学に参加したり、職場実習に前向きに積極的にチャレンジされました。
面接ではIさんの真面目で素直な人柄が認められ、働くイメージがつくようにと実際の職場での実習を提案してくださいました。実習では、真面目に丁寧に責任感をもって作業に取組むことができたこと。得意なパソコンでの入力業務も正確だということなどから、安心して仕事を任せることができる方だとわかっていただけました。
就職に結びついたのは、真面目で愛らしいIさんの人柄はもちろんですが、ご自身が今まで困っていたことや、今も不安や緊張で腹痛があることなどもきちんとお伝えすることができ、理解していただけたことで、企業だけでなく、Iさんも安心して働くことができる職場だと感じたのだと思います。
Iさんらしさを大切に、Iさんのペースで、じっくりと歩んでいっていただきたいです!
(エンカレッジ心斎橋 スタッフA)

就職事例3)不安や辛さもあったが、それ以上に楽しいことがあった

エンカレッジ心斎橋 ご利用者Yさん
  • ▶ エンカレッジ心斎橋 ご利用者Yさん
  • 【性別】男性
  • 【年代】30代前半
  • 【障害種別】自閉症スペクトラム症
  • 【利用期間】2年4カ月
  • 【職種/業務内容】チャレンジ雇用 事務
 
就職活動は、私が電車での長距離通勤が難しいこともあり、エンカレッジスタッフの皆さんには大変苦労をかけ、お世話になりました。
最初は現場実習に行く機会が多かったのですが、コロナが流行り中々実習ができない状態が続いていました。しかし、採用面接の機会を多くいただきました。
私は、話すときは特に緊張せず話すことが出来ますが、振り返るともう少し上手に話すことが出来たと思います。
改めてこの2年と4カ月は色々不安なことや辛いこともありましたが、それ以上に楽しいこと、面白いことが沢山ありました。
就職先でも楽しさや面白さを見つけ、頑張って行こうと思います。
就職事例26-3-1 就職事例26-3-2
 
🌟 支援者よりひとこと 🌟
Yさんはとても穏やかで、誰に対しても優しい方です。周りをよく見られており、「〇〇さんは最近とても挨拶を頑張っている」や「〇〇さんは最近元気がないが大丈夫でしょうか」と、常にご利用者の方を見守っておられました。最初は大人しい印象を受けましたが、様々なことを乗り越え、エンカレッジでは慕われ、頼れる存在になられました。
利用当初は自己理解に難しさや在宅での取り組みが解除されてもなかなか来所が難しいこともありましたが、「まずは体験してみる」を大切に様々なことに挑戦されました。エンカレッジで一つ一つのできごとを振り返り、発見や気づきを得られていました。
特性から通勤範囲の制限があり、就活では苦戦されました。凄いのは何社応募しても折れない気持ちを持たれていることです。「タイミングが合わず、ご縁がなかっただけですね。」と自分のペースを大事にされ、何事も楽しむ気持ちで取り組まれており、諦めずに挑戦され続けました。
Yさんらしさを大事に、お仕事も頑張ってほしいと思います!
(エンカレッジ心斎橋 スタッフK)

就職事例4)隠さず正直に相談したことで希望の会社に就職

エンカレッジ大阪 ご利用者Hさん
  • ▶ エンカレッジ大阪 ご利用者Hさん
  • 【性別】男性
  • 【年代】30代前半
  • 【障害種別】注意欠如多動性障害
  • 【利用期間】1年
  • 【職種/業務内容】事務
 
私は今回、就活の結果はかなり満足しています。
理由としては、将来就きたい職種やお給料等の細かい条件を隠さずに正直にスタッフに相談したからです。
スタッフも細かい条件を聞いてくださったおかげで、自分の将来のしたい事ができる会社に就職できたのだと思います。
これから困ったことがあった際は、職場のジョブコーチやエンカレッジのスタッフに随時相談しようかと思っています。
就職事例26-4-1 就職事例26-4-2
 
🌟 支援者よりひとこと 🌟
Hさんは、発達障害の当事者経験を活かして支援者になりたいという希望をお持ちでした。
一度は就職したものの自分のやりたいことが出来なくなり、退職してエンカレッジで再び就活に挑む道を選択されました。
高い意欲とコミュニケーション力の高さを併せ持つHさんは、グループワークやソーシャルクラブ等で面倒見の良いリーダーシップを発揮されました。
苦手なこともありましたが、持ち前の向上心から諦めることなく就活に励み、スタッフからは支援者としての心構えやあり方を学ばれました。
その結果、支援者として支援機関へ就職する道だけではなく、企業に就職して、職場のリーダーとして受け入れ支援するという道もあるんだということに気付かれました。
夢に向かってブレずに歩み続けることができたHさんだからこそ、今回の就職を実現させることができたのだと思います。
きっと、障害者雇用の最前線で活躍されることでしょう。これからがとても楽しみです。おめでとうございました!
(エンカレッジ大阪 スタッフN)

就職事例5)お世話になりました

エンカレッジ京都 ご利用者Tさん
  • ▶ エンカレッジ京都 ご利用者Tさん
  • 【性別】男性
  • 【年代】20代前半
  • 【障害種別】軽度知的障害/広汎性発達障害
  • 【利用期間】1年2ヶ月
  • 【職種】事務補助
 
頑張って通うことが出来て良かった。
お世話になりました。
就職事例26-5-1 就職事例26-5-2
 
🌟 支援者よりひとこと 🌟
働くチカラからエンカレッジと繋がっていただいていたTさん。
とても真面目で素直な方で、アドバイスされたことは全て吸収しよう!という意欲の持ち主でした。
体験実習の際に苦手とするコミュニケーションの練習をするようにと宿題を出されましたが、面談などで雑談する機会を作り、練習を重ね、雇用前実習ではそれを発揮し、「頑張ってこられたのがよく伝わりました」と仰っていただきました。
苦手なことにでも前向きに取り組み、本当によく頑張っておられました!
これからもご本人の強みを活かしながら働けるようにサポートしたいと思います。
(エンカレッジ京都 スタッフT)

就職事例6)発達障害についての理解が深まったことが一番良かった

エンカレッジ天満橋 ご利用者Sさん
  • ▶ エンカレッジ天満橋 ご利用者Sさん
  • 【性別】男性
  • 【年代】20代後半
  • 【障害種別】ADHD
  • 【利用期間】1年4か月
  • 【職種/業務内容】事務
 
今回、当初の一年以内に就職するという目標は叶いませんでしたが、約1年と4ヶ月でかなり自分の望む環境に近い会社に就職することができました。
これもエンカレッジで自己理解ができたおかげだと思います。
エンカレッジに入って一番良かったと感じたことは、発達障害についての理解が深まったことです。
今まで発達障害の方と深く交流したことがなく、自分自身も障害者手帳をとって間もない状況だったため、そもそもで発達障害というものに対しての理解がほとんどありませんでした。
エンカレッジで他の利用者の方々を観察し、自分も指摘を受けることで、発達障害が原因でどういうデメリットがでてくるものなのか、どういう対策をすれば良いのかなどを知ることができました。
今後、障害者枠で働いていくことを考えると非常に有意義な知識を得られたかと思います。
 
🌟 支援者よりひとこと 🌟
Sさんは誰とでも気さくにお話をされる、みんなのお兄さんのような存在でした。
持病で体調が安定しない中、前職ではなかなかのハードワークだったとのことで、エンカレッジに来られてからも「働きたい気持ち」と「無理をして大きく体調を崩したらどうしようという不安」に挟まれ、悩まれた部分も多かったかと思います。
しかしそこから「自分に合った働き方とは」「どうすれば長く働けそうか」と、一つずつご自身の状況を整理されました。
そして、今回就職が決まったF社の実習や面接では「体調不良の基準(欠勤すべきか、全力ではなくとも仕事はできそうか)」や「自身の工夫」「配慮いただきたい点」をわかりやすく伝えておられ、企業の方からも「そういう状況でしたら、うちで頑張っていただけそうですね」と評価をいただくことができました。
Sさん自身も実習後、「今までで一番働きやすかった」と話しておられ、不安な部分も聞いていただいた上で決まった就職というのは、安心して働きやすい場所になっていくのではと思います。
今後、仕事をする中で、悩まれることもあるかと思いますが、持ち前の親しみやすさを活かして周囲の方と思いや意見を交わしながら、一つずつ乗り越えていってほしいなと思います。
エンカレッジは今後も陰ながら応援していきますので、引き続きよろしくお願いいたします!
(エンカレッジ天満橋 スタッフY)

就職事例7)コミュニケーション面が成長できた

エンカレッジ京都三条 ご利用者Aさん
  • ▶ エンカレッジ京都三条 ご利用者Aさん
  • 【性別】女性
  • 【年代】20代前半
  • 【障害種別】広汎性発達障害
  • 【利用期間】約1年8ヵ月
  • 【職種/業務内容】事務
 
エンカレッジに入る前は毎日通所できるか不安に感じていましたが、通所する中で体力も付き、働く上で自信に繋がりました。
特に成長したと感じたことはコミュニケーション面です。私は、自分から話しかけたりグループワークに苦手意識がありましたが、エンカレッジで練習を重ねる内に、自ら報連相をおこなったり、グループワークで発言できるようになりました。
一方で就活を進める中で、しんどくなることもありました。他の利用者の方と比較して焦りを感じたり、就職先が決まるのか不安になったりしました。
また、実習には6回行かせていただき自身の適性を知ることができた一方で、慣れない環境で人一倍プレッシャーに感じてしまったり、企業の方に時間を取っていただく中で採用に結びつかないのは申し訳なく感じることもありました。
しかしながら、実習や面接のお話をいただき、前向きに検討することで、この会社で働きたいと決心できるようになりました。
スタッフの方々には不安に感じていることなど日々相談にのっていただき、感謝しています。ありがとうございました。
 
🌟 支援者よりひとこと 🌟
どんなことでも丁寧に、正確に取り組むことが強みのAさん。実習でもその強みを遺憾なく発揮され、見事採用を勝ち取られました!
ご利用開始当初はコミュニケーションの自信の無さから、講座での発言や困り事などの発信は少なかったのですが、経験を重ねるごとにスムーズにできるようになられました。
環境に慣れてくるととっても素敵な笑顔が出てくる方なので、ゆっくりと新しい環境になれつつ、職場のみなさまと温かな関係性を築いていかれることを祈っております。
この度はご就職、誠におめでとうございます!
(エンカレッジ京都三条 スタッフS)
 
いかがでしたか?「発達障害のある大人の就職事例」はシリーズとして今後も定期的に発信していきます。乞うご期待ください!