他者視点や自己理解など、自分の課題に気付けた。他4事例~発達障害のある大人の就職~

この記事では、エンカレッジから就職されたご利用者の就職ストーリーをシリーズでご紹介しています。
ご利用者本人からは、利用を決めてから就職に至るまでにどんなことがあったか、エンカレッジに通ってみての感想、率直な今の気持ちなどをお聞きしました。
また、ご利用者の就職をサポートしてきた支援者から見たご本人の変化や、就職に至るまでのプロセス、今後に向けてのエールも載せています。
📍この記事はこんな方におすすめ📍
  • 発達障害があり、就労移行支援の利用を検討している
  • 就職が決まった人が、どんな流れで就職できたのか知りたい
  • 就労移行支援事業所で実際にどんなことをするのか知りたい
今回は、2022年4月に就職が決まられたご利用者の就職事例から、5つのストーリーをお届けします!
*「発達障害のある大人の就職事例」はシリーズとして今後も定期的に発信していきます。乞うご期待ください。

就職事例1)他者視点や自己理解など、自分の課題に気付けた

エンカレッジ京都 ご利用者Yさん
  • ▶ エンカレッジ京都 ご利用者Yさん
  • 【性別】男性
  • 【年代】20代
  • 【障害種別】広汎性発達障害
  • 【利用期間】2年12カ月
  • 【職種/業務内容】事務職・軽作業
 
エンカレッジがなかったら、他者視点、自己理解が進まなかったと感じています。
姿勢や態度が思っているよりも悪く見えてしまいがち、声が大きすぎる、早口という癖もありました。
また、デマや思い込みに捉われやすい傾向があること、思っていたよりも人に偏見を抱きがちなところなど。
滅多にないですが、ネガティブになるとなかなか抜け出せないといった、自分の多くの課題に気づくことができなかったと思います。

特に、支援担当のNさんやYさん、そしてHさんは問題だらけの私の就活に最後まで付き合ってくれまして、感謝以外の何の感情も抱けません。
また、グループワークやりフレッシュタイム、そしてミーティングを通じて、ある程度ですが、コミュニケーション能力が身に付けられたことも、訓練を通じて助けられた部分だと感じています。
就職活動で不採用となり残念だった企業様もありましたが、是非 来て欲しいと言ってもらえる企業と出会えました。

桜咲く春、これから この会社で持てるだけの力を出し尽くして頑張っていきたいと思います。
またチャンスがあれば、OB会にもたくさん来たいと思っています。3年間本当にありがとうございました。
就職事例25-1-1 就職事例25-1-1
 
🌟 支援者よりひとこと 🌟
働くチカラPROJECT・就活のススメからのご縁となり、大学卒業後、就労移行をご利用になりました。
苦手な事でも、愚直なまでに前向きに取り組む姿勢は、最初の出会いから変わらず、とても印象的です。
エンカレッジから実習に行った企業は計14社と、持ち前のバイタリティを活かされました。
2021年度末からの3カ月で内定を2社からいただき、自信もつき、最終的にこちらの法人を選ばれ、ご就職となりました。
コミュニケーションの 課題はあったものの、この素直さを気に入っていただける職場と出会え、ある種、「現場への行動規範の起爆剤として受け入れたい」と手を挙げていただき、支援者冥利につくお言葉を頂きました。
就職活動は、事務職から作業系に方向修正していたものの、本人の得意とするパソコン業務・事務作業も切り出してもらい、入所当時の希望も叶えることができ、メリハリをつけてお仕事を楽しんでもらえるのではないかと思います。
積み上げてきた経験すべてが、就職先で活かせると思います。今後益々のご活躍をお祈り申し上げます。
(エンカレッジ京都 スタッフY)

就職事例2)ビジネスマナーと職業準備講座が一番役立った

エンカレッジ京都三条 ご利用者Kさん
  • ▶ エンカレッジ京都三条 ご利用者Kさん
  • 【性別】男性
  • 【年代】20代
  • 【障害種別】ASD
  • 【利用期間】1年8ケ月
  • 【職種/業務内容】バックヤードでの商品入荷作業、販売フロアでの商品補充作業、接客など
 
エンカレッジとの最初の関わりとしては、大学生事業の働くチカラPROJECTに参加していました。
数ヶ月就労移行支援事業を利用し、一般雇用にて1年間勤務をしました。
しかし、労働条件や職業内容のミスマッチがあり、続けることが難しかったため、退職となりました。
今後は、自分の特性を知ってもらい、長く働き続けたいという思いがあったため、再びエンカレッジ京都三条を利用することにしました。
職業訓練では、主にビジネスマナーや職業準備講座を学びました。この二つが、一番私の中で役立ったと思います。

今回内定を頂いた、N社で働きたいと思った一番の理由は、社員さん・パートさんの連携が取りやすかったこと、いつでも相談できる環境があったからです。
就職に辿り着くまで苦労したことや課題は、過去の実習先において、業務中に不注意や抜け漏れが相次いで起きていた事です。
課題への対策としては、支援者と相談をおこなった結果、メモと業務報告(ミスも報告)を必ずおこなうことで対策をしました。内定を取るまでは、正直疲れました。
就職事例25-2-1
 
🌟 支援者よりひとこと 🌟
就労移行のご利用を開始してからは、2件連続で実習、内定を頂きました。
当時の担当スタッフより、ご本人にマッチする会社をご紹介したこともあり、順調な滑り出しとなりました。
しかし、2件連続で内定を断られました。理由は後日分かるのですが、その当時は「もっと上を目指せると、天狗になっていた(ご本人談)」とのことです。
その後、2件の実習(雇用前)では、厳しい職業評価とFBを頂きました。
良かった点としては、業務適正を見極めること、苦手なことを避けられる職場環境や、職務内容を選ぶことが仕事をする際には、大切であると整理をすることができたことです。
就職先の実習では、販売フロアにて商品移動を移動する際、「すみません、失礼します」と声をかけてから移動される、仕事を渡された時に、「ありがとうございます」と言葉を添えることが出来ていたことから、経験を積み上げた結果が、就職に繋がったと思います。
(エンカレッジ京都三条 スタッフS)

就職事例3)目まぐるしく変わる状況を乗り越えて

エンカレッジ大阪 ご利用者Oさん
  • ▶ エンカレッジ大阪 ご利用者Oさん
  • 【性別】女性
  • 【年代】30代前半
  • 【障害種別】自閉症スペクトラム障害
  • 【利用期間】7か月間
  • 【職種/業務内容】検診関連事務
 
「この作文を書く時期が思いがけず早く訪れた」というのが率直な気持ちです。同時に、やっと社会復帰し自分の力で収入が得られることに安堵し、喜びを感じています。
利用期間は半年強ですが、実質的に安定して利用できたのは4,5か月程度です。この短期間の中でも、状況が目まぐるしく変わったので、その経過とどう乗り越えたかを整理します。

利用開始したばかりの頃は、義実家の家事手伝いも担っていたため週1回しか通所できず、家庭環境の窮屈さを感じていたので、もどかしい気持ちでいました。
自分より後から利用した方がエンカレッジに慣れている様子を見て焦りも感じていました。
利用から1か月ほどして、家事手伝いから身を引くことになり、やっと利用日数が増やせると思いました。しかし同じ頃、妊娠がわかり、体調が不安定になりました。
それでもなるべく早く収入を得て生活を少しでも安定させようと通所を週2,3日に増やして徐々に慣れながら、A型事業所を中心に就職活動を始めました。
その矢先に大きく体調を崩し、我が子ともお別れになってしまいました。療養のため半月ほど休むことになりました。

復帰後は半日通所にしながら日数を増やすことができました。また、就職後すぐに休む心配がなくなったので、一般企業も含めて就職活動することにしました。
丁度、パン作りをしているA型事業所の求人があり、興味をもったので見学と実習に行きました。
ただ、体調が万全ではなく通院が必要な状態になったので、神経質になることも多く、クリスマスになっても秋の感覚が抜けませんでした。
ソーシャルクラブでは、計画したことは楽しめましたが、そこで出産の話題があり気分が沈んでしまいました。
そんな中、引越しが決まり、書類の準備にも追われました。その準備を巡って夫とトラブルがあり、夫婦間の歯車がこの頃から狂い始めました。

年が明けてから本格的に就職活動をしました。
A型事業所の実習の後は、清掃業者や病院の見学、職場体験マッチング会にも参加しました。
実習では、楽しくパン作りができ、手先を使ってコツコツ行う作業系は得意だという自信を持てました。
病院では実習に進むことになり、体調もようやく落ち着いてきました。
2月末に引越しがあり、その準備のため利用日を減らしました。予定通り引越しでき、しばらくは新居で一人で過ごすことにしました。

3月は病院の実習に集中しました。
就職を視野に入れていたため、頑張りすぎないか不安でした。
しかし、相談しやすい環境でこまめに休憩を取れたので、エンカレッジと同じように作業ができました。
病院からも丁寧さと正確性を評価され、内々定をいただきました。
取り消されないか不安でしたが、その後の面接で具体的に就職後のすり合わせができ、正式に就職が内定したのでとても安心しました。
実習終了後に夫と離婚しました。住居も確保できることがわかり、現在の方が離婚前よりむしろ気持ちが安定しています。

講座はどれも充実していましたが、特に自己理解講座や特別講座がとてもよかったです。
自己理解講座では、障害特性にスポットを当てながら、心身共に楽に過ごせる具体的な方法を、グループワークで他者の意見を聞くことで深めることができました。
特別講座では様々な仕事を「好き」「嫌い」「得意」「苦手」にグループ分けするワークがあり、就活の方向性をどのように絞り込むかの指標にできました。
亀田さんの特別講座では、ウエルビーイングの講座で自分の求める「幸せ」の形が整理できました。
今まで何をしても、環境を変えても、何となく満たされず窮屈に感じることが多かったので、今後は講座で学んだことを思い出してもっとのびのびと過ごせるようになりたいです。
また、卒業が近いときに丁度OBさんの話が聞けて、就職後の生活に希望が持ててよかったです。

縁あって就職が決まりましたので、長く働くためには頑張りすぎを防ぐため敢えて物足りないくらいの勤務時間から始めることにしました。
慣れてきてからも、すぐに仕事を増やすのではなく、様子見しながら、必ず相談しようと考えています。
家庭環境が悲惨だったにも関わらず、就職できたのは、面談日以外でも相談に乗って頂いたスタッフのおかげであり感謝します。
そして、実習など就職活動に専念できる環境づくりがいかに大切だったかを思い知らされました。
 
🌟 支援者よりひとこと 🌟
Oさんは明るく人当たりの良い方で、スタッフや利用者さんと楽しくお話されていました。
ご本人のコメントにあった通り、生活面でも様々なことを抱えながらの就職活動でしたが、時には支援者の力を借りながら、早期に就職を決めることができました。
折れることなく逆境を乗り越えられるOさんの芯の強さを近くで感じ、私も勇気づけられました。今後、益々のご活躍をお祈り申し上げます。
(エンカレッジ大阪 スタッフU)

就職事例4)あきらめずに頑張ってよかった

エンカレッジ京都 ご利用者Nさん
  • ▶ エンカレッジ京都 ご利用者Nさん
  • 【性別】女性
  • 【年代】20代前半
  • 【障害種別】自閉症スペクトラム
  • 【利用期間】2年3ヵ月
  • 【職種/業務内容】事務・事務補助
 
エンカレッジ京都の入所してから約2年半の月日が経ちます。
入所した頃は、すぐに就職が出来ると思っていましたが、新型コロナウイルスが流行し、その不安から途中で休所することもありました。
その時は「もう就職は難しい」と思っていましたが、あきらめずに頑張ってよかったです。
これから就職しますが、大変不安です。また困った事があったら、相談に来ます。
本当に今までありがとうございました。
🌟 支援者よりひとこと 🌟
エンカレッジ京都の実践報告会に来てくださり、ご利用されることになりました。
一見大人しい雰囲気のNさんですが、お笑いや動物(特に犬)が好きで、そのお話をされるときは、嬉しそうにされていました。
過去の経験から、コミュニケーションに苦手さを感じておられましたが、講座・ソーシャルクラブなどを通して、 他者とのコミュニケーションについてのハードルが徐々に下がっていったように思います。
新型コロナウイルスに対する不安から、一時通所が困難となり、何度か休所されることもありました。
「就職への不安」と「外に出る不安」に挟まれ、しんどかった時期もあったかと思います。
緊急事態宣言が落ち着いたタイミングで1ヵ月の雇用前実習に臨み、見事内定を勝ち取ることが出来ました。
まだまだ不安な世の中ではありますが、社会へ1歩踏み出したNさんを今後もサポートしていきたいと思います。
(エンカレッジ京都 スタッフO)

就職事例5)周囲の支えで内定を得ることができた

エンカレッジ大阪 ご利用者Kさん
  • ▶ エンカレッジ大阪 ご利用者Kさん
  • 【性別】男性
  • 【年代】20代前半
  • 【障害種別】高機能自閉症
  • 【利用期間】1年8か月間
  • 【職種/業務内容】シングルパック(梱包作業)
 
四年制大学を卒業して二年、ようやく就職先が決まりました。
周囲の支えがあったからこそ内定を得ることができたと感じています。
しかし私自身、就業経験が一度もなく、アルバイトもほとんどしたことがありません。
また一から人間関係を構築しなければならず、うまくやっていけるかどうか心配ですが、これまでの実習の経験を思い出して気楽にやっていけたらいいなと思います。
🌟 支援者よりひとこと 🌟
Kさんは、大学卒業後にエンカレッジの利用を開始しました。
過去のアルバイトにおいて叱責をされた辛い経験から、報連相に苦手意識がありましたが、プログラムや実習を通して、報連相は大切、むしろ積極的にした方がいいということを学び、克服することができました。
エンカレッジでは多くを語らず真面目にコツコツとプログラムに取り組むところ、字がきれいなところ、一言コメントなどでユーモアあるお話をされるところがスタッフだけでなく利用者さんからも評判でした。
これらの長所はお仕事でも活かせると思います。今後益々のご活躍をお祈り申し上げます。
(エンカレッジ大阪 スタッフU)
 
いかがでしたか?「発達障害のある大人の就職事例」はシリーズとして今後も定期的に発信していきます。乞うご期待ください!