発達障害での辛い経験を経て就職、感謝したい。他4事例~発達障害のある大人の就職~

この記事では、エンカレッジから就職されたご利用者の就職ストーリーをシリーズでご紹介しています。
ご利用者本人からは、利用を決めてから就職に至るまでにどんなことがあったか、エンカレッジに通ってみての感想、率直な今の気持ちなどをお聞きしました。
また、ご利用者の就職をサポートしてきた支援者から見たご本人の変化や、就職に至るまでのプロセス、今後に向けてのエールも載せています。
📍この記事はこんな方におすすめ📍
  • 発達障害があり、就労移行支援の利用を検討している
  • 就職が決まった人が、どんな流れで就職できたのか知りたい
  • 就労移行支援事業所で実際にどんなことをするのか知りたい
今回は、2021年9月に就職が決まられたご利用者の就職事例から、5つのストーリーをお届けします!
*「発達障害のある大人の就職事例」はシリーズとして今後も定期的に発信していきます。乞うご期待ください。

就職事例1)発達障害での辛い経験を経て就職、感謝したい

エンカレッジ京都 ご利用者Sさん
  • ▶ エンカレッジ京都 ご利用者Sさん
  • 【性別】男性
  • 【年代】20代前半
  • 【障害種別】自閉症スペクトラム
  • 【利用期間】28ヶ月間
  • 【職種/業務内容】事務・庶務業務
 
大学を卒業して2年半経ち、やっと就職することが出来ました。
エンカレッジで学んだ事を身に付け、PCスキルを向上させるといった活動を中心に行ってきました。
また、他の利用者やスタッフとの交流も一つの経験になったと思います。
自分自身が発達障害を持っているからこそ今まで辛い経験をしてきましたが、就職にたどり着き、今此処にいるのはエンカレッジのお陰なので、本当に感謝したいです。
就職事例18-1-1  就職事例18-1-2
 
🌟 支援者よりひとこと 🌟
コミュニケーションの場面で意見を求められる際に何が正解か考えあぐね、すぐに応じられず黙り込んだり、 自身の発信した内容が相手に伝わっていないと感じた際には「いいえ!そうでなくて!」大きな声で評価者を否定されたり、 集中力にムラがあり長い話に集中できずに体が揺れたりする傾向や…これまで雇用前実習や面接に多くトライしきましたが、結果を得ることができませんでした。
一方、定型の作業は集中して取り組み、高い業務遂行力がある方です。

その強みを生かすため今回の雇用前の実習では報連相と感謝の言葉を伝えることを大切にいただき、 難しいと思われた面接については「なぜこれらの質問が企業から求められるのか」について課題を設け、確認してきました。
その中で、知らないことから取り組めなかったことが多くあることがわかり、概念や解説を確認するだけで本人は「なるほど」を重ね、 短期間でドンドン自身の力として身に付けることができました。
その変化は、同採用企業の実習担当、面接官でもあった方より「実習振り返り時と面接では別人だった。相当の努力が本人にあったと思う。」と評価いただき採用につながりました。

フィードバックに素直に応え、努力を重ねる強みがあります。
また、私も担当をさせていただき、多くの勉強になりました。
(エンカレッジ京都 スタッフY)

就職事例2)訓練や対策を実習で活用し、企業から高評価をいただけた

エンカレッジ京都三条 ご利用者Iさん
  • ▶ エンカレッジ京都三条 ご利用者Iさん
  • 【性別】男性
  • 【年代】27歳
  • 【障害種別】自閉症スペクトラム障害
  • 【利用期間】11か月
  • 【職種/業務内容】製造補助業務(バリ取りなど)
 
大学院を卒業してから博士課程進学も考えたましが、進学していたら自分のビジネスマナーの問題やメモの問題などにも気付けていなかったと思います。この11か月で急成長できたと思います。
スタッフは会社説明会や面接に同行してくれたり、履歴書の添削、面接練習をしてくれたりといった、一人一人に対してすごく丁寧な支援をしていました。
講座内容も充実しており、講座から得られたものも沢山ありました。以上から、この事業所を選択して本当に良かったと思っています。
過去の仕事では、「口頭指示の内容を忘れている」「指示された内容と違うことを実際にはしている」といったことがあった為、 前者については「指示内容をメモする」、後者については「指示された内容を復唱確認すると共に、一つ目の作業を確認してもらう」といった対策を取り、 それらの訓練をしました。これらの対策を実習で活用したことにより、ミスなく作業をすることができ、企業から高評価をいただくことができました。
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🌟 支援者よりひとこと 🌟
ご利用開始当初は、大学院での学びや資格を活かせる業界で働きたいと、かなり絞った就職活動をされていました。Iさんと一緒に企業をリストアップし、片っ端から当たっていた頃が懐かしいです。
当初は「どうしてもこの業界が良い」とこだわりを持って就活されていましたが、狭き門に阻まれる中でその考え方も変化してきました。
過去を整理することやエンカレッジでの活動を通して自己理解が進み、 企業の選択軸として「自分が居心地がいい会社」「明るい会社」「特性を知って受け入れてくれる会社」「将来的に自分の得意を活かせる会社」 であることを大切にされるようになっていきました。
自己理解が進んだ背景には他のご利用者さんとの積極的な関わり、企業の方との対話、様々なスタッフからのフィードバックがありました。
自分自身と他者の価値観をすり合わせることで気づきを得、それを素直に受け入れて取り入れる姿勢は、本当に凄い!と言うしかありません。

ご自身で求人を見つけてこられ、説明会や実習でしっかりと業務内容や環境を確認し、納得して就職されたことを非常に嬉しく思います。
就職直後から自分の好きな仕事ができるということはあまり無いと思うので、基本的な業務をしっかり身に着けて理解を深め、近い将来専門的な知識を活かしたご活躍を期待しております!
(エンカレッジ京都三条 スタッフS)

就職事例3)就職活動で大切にしていた3つのこと

エンカレッジ大阪 ご利用者Aさん
  • ▶ エンカレッジ大阪 ご利用者Aさん
  • 【性別】女性
  • 【年代】20代前半
  • 【障害種別】ADHD
  • 【利用期間】9ヵ月
  • 【職種/業務内容】事務補助
 
エンカレッジ大阪には2021年2月から通所をしていました。
発達障害の診断を受けてから初めて就職活動に臨んだので、どのように取り組めばいいか色々不安がありました。
講座で印象に残っているのはビジネスマナー講座です。 会社ではビジネスマナーは切り離せない物なので、振り返りにもなり、知らなかった内容もあったので勉強になりました。
オフィスワークではPCワークでWordやExcel、タイピングなどPCスキルの向上などに励みました。

職場体験には2回行かせていただきました。

1回目のJ社は事務補助の仕事でしたが、報連相をしっかりと行い、正確性やスピードを意識して取り組み、企業様から高い評価をいただけました。また、実習がどのような流れなのか、どのような感じだったかを知る機会にもなったので良かったと思います。

2回目は今回の内定先でもあるN社に行きました。
採用選考を兼ねた実習でしたがリラックスして取り組むことが出来ました。
2週間と長い実習でしたが、会社や仕事内容のイメージがついたので入社前に体験に行けて良かったです。

就職活動で大切にしていたことが3つありました。
1つ目は積極的に行動することです。
自分で毎日のように求人検索を行うようにしたり、面接練習会に参加するようにしていました。

2つ目は自己分析をしっかりと行うことです。
面接や履歴書・職務経歴書などの応募書類を書く際に、自己分析をしていないとまとめたり、答えたりすることが難しくなると思うからです。
私は応募書類の作成で困ったことがあったらスタッフの方に相談をするようにしていました。
また、面接対策もスタッフの方にしていただいたので自己分析をスムーズに行うことが出来ました。

3つ目は報連相をしっかりするようにしたことです。
会社に入ったら報連相は当たり前のようにするのでエンカレッジや実習先で積極的にするように意識して取り組んでいました。

障害をオープンにして就職活動をするのは初めてだったので不安もありましたが、N社への就職が決まりました。 前職を退職したのが10ヵ月前だったので早めに就職先が見つかって安心しています。
就職してからがスタートなので、大変なことも色々あると思いますが入社後精一杯頑張りたいと思います。
本当にありがとうございました。
就職事例18-3-1 就職事例18-3-2
 
🌟 支援者よりひとこと 🌟
Aさんはとてもハキハキと受け答えが出来る方で、挨拶や返事も見習うべきところが沢山ありました。
就活に於いては焦りもある中で自分自身の特性をしっかりと理解することも同時に行いながら、 求人検索を積極的に行いエントリーをされました。また実習ではとても高い評価を得ることができ、 それをしっかりと自信につなげての今回のN社での実習に挑まれました。
ここでも高いパフォーマンスを発揮し、企業様のハートをしっかりと掴み取り、 面接や先輩社員との座談会でも緊張しながらもハキハキと自分らしさをしっかりと出すことが出来ていました。
企業見学や説明会などには積極的に参加され、企業が求めるものや企業の特徴を自ら調べて学ぶ姿勢が 今回こうして実を結んだ一つだと思います。就職してからの活躍も本当に楽しみです!
(エンカレッジ大阪 スタッフS)

就職事例4)企業探し、実習・見学同行、悩み相談、ありがとうございました

エンカレッジ京都 ご利用者Mさん
  • ▶ エンカレッジ京都 ご利用者Mさん
  • 【性別】女性
  • 【年代】20代後半
  • 【障害種別】アスペルガー症候群
  • 【利用期間】8か月
  • 【職種】倉庫内作業
 
就職先の企業が見つかるまで一緒に企業を探してくださったり、実習や見学の時は同行してくださったり、個人的な悩みの相談に乗って下さったり、本当に色々なことでお世話になりました。
各講座では、私が忘れたことや初めて教わることなど触れることができてとてもいい経験になりました。
本当にありがとうございました。
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🌟 支援者よりひとこと 🌟
Mさんは2015年度にも利用→就職して、今回が2回目のご利用となりました。
企業見学や職場実習を提案すると「やってみます!!」と、どんなことも前向きに取り組んでくださりました。
作業中、休憩中に関わらず大きな独り言が出てしまうことが多くありましたが、日々お伝えすることで気づくこともできるようになってきていました。
その部分に関して今回の就職先からは、作業環境が大きな音がしたり、個々のブースなので大丈夫とお伝えがあり、ご本人も安心して就職に進められたのかなと思います。
最終日が近づくにつれ、毎日ファイルなどに「寂しい」と記入されており、エンカレッジがご本人にとって楽しい場になっていたことを実感しました。
前職で5年以上も働いていた経験を活かし、持ち前の明るさで今後のご活躍を期待したいと思います。
(エンカレッ京都ジ スタッフT)

就職事例5)どのスタッフにも安心して相談できる雰囲気があった

エンカレッジ京都三条 ご利用者Mさん
  • ▶ エンカレッジ京都三条 ご利用者Mさん
  • 【性別】男性
  • 【年代】25歳
  • 【障害種別】自閉症スペクトラム障害
  • 【利用期間】12ヵ月
  • 【職種/業務内容】事務・庶務業務
 
スタッフは何人か京都時代にもお世話になった方もいました(以前、エンカレッジ京都を利用していました)。
エンカレッジ京都三条は、どのスタッフに対しても、全員安心して相談などができるような雰囲気がありました。
プログラムや講座についても、京都時代とほとんど同じような形であったため、特に迷わずに受けて理解することができました。
就職事例18-5-1
 
🌟 支援者よりひとこと 🌟
Mさんは今回のご利用が2度目で、再利用開始後、約1年で再就職となりました。
前職はコロナの影響で就労初日から突然の在宅勤務となってしまい、在宅の影響もあって、会社からの配慮を頂きづらい状況がありました。
そうした経験から、特性に対する配慮を頂きながら、安心して働ける職場ということで、特例子会社での就職を希望されていました。
今回念願の特例子会社での就職ということで、内定を頂いた時は、飛び跳ねて喜んでおられました。
就職後も、持ち前の明るさと、継続力を生かして、頑張ってお勤め頂ければと思います。

話は変わりますが、上記の鳥の画像は、Mさんが考えたエンカレッジ京都三条のマスコットキャラです。
ご自身で考えたたくさんのマスコットキャラを用意して、他のご利用者さんやスタッフから投票を募り、一番投票率の高かったキャラクターがこちらです。
Mさんのユーモアセンスが職場でも発揮され、受け入れて頂けるといいなと思います・・・。
(エンカレッジ京都三条 スタッフN)
 
いかがでしたか?「発達障害のある大人の就職事例」はシリーズとして今後も定期的に発信していきます。乞うご期待ください!