エンカレッジの環境が自分に合っていると感じた。他6事例~発達障害のある大人の就職~

この記事では、エンカレッジから就職されたご利用者の就職ストーリーをシリーズでご紹介しています。
ご利用者本人からは、利用を決めてから就職に至るまでにどんなことがあったか、エンカレッジに通ってみての感想、率直な今の気持ちなどをお聞きしました。
また、ご利用者の就職をサポートしてきた支援者から見たご本人の変化や、就職に至るまでのプロセス、今後に向けてのエールも載せています。
📍この記事はこんな方におすすめ📍
  • 発達障害があり、就労移行支援の利用を検討している
  • 就職が決まった人が、どんな流れで就職できたのか知りたい
  • 就労移行支援事業所で実際にどんなことをするのか知りたい
今回は、2021年3月に就職が決まられたご利用者の就職事例から、6つのストーリーをお届けします!
*「発達障害のある大人の就職事例」はシリーズとして今後も定期的に発信していきます。乞うご期待ください。

就職事例1)エンカレッジの環境が自分に合っていると感じた

エンカレッジ大阪 ご利用者Kさん
  • ▶ エンカレッジ大阪 ご利用者Kさん
  • 【性別】男性
  • 【年代】20代前半
  • 【障害種別】高次脳機能障害
  • 【利用期間】1年
  • 【職種/業務内容】軽作業/清掃、入荷商品の荷捌き、商品整理
 
大学に通っていましたが、卒業が難しく、早く就職したいと思い、デイケアで紹介された就労移行支援事業所を見学しました。 他の就労移行支援事業所にも見学に行きましたが、エンカレッジの環境が自分に合っていると思い、利用してみたいと思いました。
コロナの影響で事業所外でのソーシャルクラブは無くなりましたが、一度だけ万博記念公園に行けて良かったです。また、エンカレッジ内で行うプチソーシャルクラブも盛り上がり、楽しかったです。
実習ではS社に行きました。工場だったので、エアコンもなく、扇風機だけで、しかもほとんど水分を摂っていませんでしたが、エンカレッジのスタッフさんに顔が赤くなっていると教えてもらい、もっと水分を取った方が良いということを学びました。
まさか、実習2社で就職が決まると思っていなかったので、嬉しかったです。就職先では店舗スタッフの方がすぐに商品を取り出せるように、ストック棚の整理をしたり、入荷してきた商品をミスがないように捌けるように頑張りたいです。
就職事例14-1-1
 
🌟 支援者よりひとこと 🌟
Kさんは、周囲の状況を確認し、困っている人がいれば、「手伝いましょうか」と気軽に声をかけて下さる、エンカレッジのムードメーカー的な存在であり、また苦手な作業にも果敢に挑戦し、コツコツ前向きに取り組める方です。
一方で自分が考えていることや困っていることを伝えることができずに泣いてしまうことがあり、感情の整理面で課題がありました。
整理するにあたり、「なぜ自分が今、困っているか」など自己理解を図ることで、少しずつですが、感情を表に出せるようになり、相手に困りごとなどをゆっくりですが伝えることができるようになりました。
今回の就職先は実習でのKさんの前向きな姿勢の頑張りを認めてくださり、雇用前実習につながることができ、2度の実習を経て、無事に就職につながることができました。
Kさんらしく、無理せずに心身ともに健康で、いきいきと活躍していただけるように一緒に応援していきたいです!
(エンカレッジ大阪 スタッフM)

就職事例2)エンカレッジにいたことで明るい人物になれた

エンカレッジ天満橋 ご利用者Hさん
  • ▶ エンカレッジ天満橋 ご利用者Hさん
  • 【性別】男性
  • 【年代】20代前半
  • 【障害種別】ASD
  • 【利用期間】1年10ヶ月間
  • 【職種/業務内容】軽作業/ピッキング
 
エンカレッジに通所するまでは、大学に行く日以外は生活リズムが乱れていましたが、通所させていただくようになったことで、生活スタイルが朝型になりました。

エンカレッジでの日々は、ビジネスマナーやグループワーク講座が印象に残っています。グループで進行役を経験し、話がまとめやすくなりました。最初は不安もありましたが、スタッフさんや他の利用者さんのおかげで楽しみつつ、真剣に取り組むことができました。
また、周りを見る観察眼を鍛えられました。話しやすい空気を作ること、人にされて嬉しかったことを他の方にすることの2つを忘れないように行動しました。
今まで気にしなかった他者の反応を見られるようになったことは、今後に向けて良かったことだと思います。
ひとことコメントは、話をまとめるのが苦手で、おもしろい話ができなかった私を変えてくれた大切な時間でした。 同時に楽しみであり、毎回よく考えて発表をしていました。本来、一人では明るさのない私を明るい人物にして下さったことに感謝いたします。
今後も、エンカレッジの経験を生かして全力で走る気持ちで頑張ります。今までありがとうございました。
就職事例14-2-1  就職事例14-2-2
 
🌟 支援者よりひとこと 🌟
年度初めの4月から担当になり、すぐにコロナで在宅訓練になったり、就職活動がストップするといった状況でした。しかし、就活が再開できたらすぐに動けるように準備を整えるなど、逆境でも前向きに取り組める強みのある方です。
就職活動が再開してからは、自分の理想の働き方を目指して、くじけず就職活動を進めてこられました。
たくさんの企業への見学や実習、説明会に参加するのは本当に大変だったと思いますが、何事にも前向きに取り組める強みと姿勢が今回の就職につながったのだと思います。

明るく、誰とでも分け隔てなくコミュニケーションがとれる方で、天満橋のムードメーカーでした。
卒業されたことは少し寂しいですが、また新たな場所でたくさんの方を明るくしてくださる姿を応援していきたいと思います。
(エンカレッジ天満橋 スタッフM)

就職事例3)たくさん練習を重ね、苦手な面接にも一人で臨めた

エンカレッジ大阪 ご利用者Kさん
  • ▶ エンカレッジ大阪 ご利用者Kさん
  • 【性別】男性
  • 【年代】20代前半
  • 【障害種別】ASD
  • 【利用期間】1年6ヶ月間
  • 【職種/業務内容】事務/データ入力
 
私は、N社に就職することになりました。無事に就職できたのは、スタッフさんがサポートしてくださったおかげです。
私は面接が苦手なので、事前にスタッフさんとたくさん面接練習をしました。また、本番の面接にもスタッフさんが一緒に付き添ってくださいました。おかげで、最終面接には一人で臨むことができました。本当にありがとうございました。

実習では、私の正確性を評価していただきました。また、社員の皆さまが優しそうで、ここなら安心して長く働けそうだと感じました。
このコロナ禍で就職活動を進めるのが大変でしたが、最終的に自分に合った仕事に就くことができました。この約2年間本当にありがとうございました。
就職事例14-3-1  就職事例14-3-2
 
🌟 支援者よりひとこと 🌟
Kさんが利用を開始された当初、不安でいっぱいな様子だったことを今でも覚えています。
3月の面接練習の後、Kさんは「ずっと自分はコミュニケーションが苦手だって思っていたけれど、エンカレッジに来てから慣れたというか、まあまあできるようになったのかもしれないですね」とおっしゃっていました。
自分の気持ちを言葉にして表すことが苦手だけれど、相手の話を優しい眼差しで聴いたり、論理的に整理することはとても得意。
スタッフや一緒に過ごす仲間にそんなポジティブな言葉をもらい続け、きっと、「自分から話すことや表情を作ることだけがコミュニケーションじゃない」と気づかれたのだと思います。
エンカレッジで自分の良さに気づけたKさん。就職してからも好きなことを求め続け、頑張ってくださいね。
(エンカレッジ大阪 スタッフG)

就職事例4)自分を知り、許すこと。与えられる存在から与える存在になれた

エンカレッジ京都三条 ご利用者Nさん
  • ▶ エンカレッジ京都三条 ご利用者Nさん
  • 【性別】男性
  • 【年代】20代
  • 【障害種別】自閉スペクトラム症
  • 【利用期間】3カ月(再々利用)
  • 【職種】事務・会計
 
エンカレッジでの活動を終えて振り返ってみると、私は以下の3点をエンカレッジで学ぶことができたように思います。
①自分を知ること
新卒の時は一般採用で前職に就職しましたが、うまく順応できず8ヶ月で退職しました。その後、エンカレッジの通所を始めましたが、当時私は自分に全く自信が持てずにいました。
しかし、エンカレッジでご利用者の方々と意見交換をし、また面談担当のスタッフの方から日々の自分自身の取り組みに対するフィードバックをいただくことで、自分自身の強みを知ることができ、自分自身の課題や取り組むべきことを明確にすることができました。
②「与えられる存在」から、「与える存在へ」
通常のオフィスワーク以外の「SPOT業務」として、様々なワークを任せてもらえるようになったり、グループワーク等での自分の働きかけに対し、他のご利用者の方々やスタッフの方々から感謝の言葉をいただくことが増えていきました。
これらの経験の積み重ねで、「誰かの役に立つことがしたい」という強い思いが芽生え、障がいのある自分だからこそ、同じように困りごとを抱えている人々の力になれる仕事がしたいと思うようになりました。
③許すこと
「自分のことを知ることができたので、それを社会で活かしたい」と思い、本格的に就職活動を進めましたが、上手くいかないことも多々ありました。そしてその度に私は自分を責めました。
そんな私を見兼ねた面談担当のスタッフの方が提案して下さったことが、「自分の中でのハードルを下げること」と、「できなかった自分を許してあげること」でした。
この2点を常に意識することで、失敗にめげることは減っていったように思います。そして、他の方の失敗や困難にも共感し、共に考えることができるようになりました。
私にとってエンカレッジの通所を始めてから今までの日々は大変充実したもので、沢山の方々と出会い別れ、その方々の優しさに触れることのできた約2年でした。
エンカレッジで出会った全ての方々に感謝しています。ありがとうございました。
 
🌟 支援者よりひとこと 🌟
Nさんの歩んできた軌跡、努力の成果は上記の声に集約されております。周囲の方の声を聴きつつも、自分で話を引っ張ることができる彼は、アサーティブな会話のプロフェッショナルで、支援者も見習うことが多い方でした。
しかし、何でもできてしまうように見える反面、自分自身の課題を他人に理解してもらえないという悩みを持たれていました。特に一度職に就かれたのですが、早期離職されたこともあり、その思いは強いようでした。
Nさんの素晴らしいところは、そこから自己理解に努め自分の強みと配慮事項を視覚的にまとめ、自分の言葉で話すことで対策を立てられたことです。
ご本人は謙遜されるかもしれませんが、本当に努力家で話していて心地よい方です。新たな環境でお仕事されることもあり、きっと壁に当たることもあるかと思います。しかし、周囲を頼り助けられて壁を乗り越えられる方だと思います。
ご就職おめでとうございました!
(エンカレッジ京都三条 スタッフI)

就職事例5)「自分らしく、人のために働ける社会人」に向けてリスタート

エンカレッジ大阪 ご利用者Fさん
  • ▶ エンカレッジ大阪 ご利用者Fさん
  • 【性別】男性
  • 【年代】20代後半
  • 【障害種別】高機能自閉症
  • 【利用期間】1年
  • 【職種/業務内容】学習塾/広報、子供向け提案など
 
前職では自分の特性から働きづらさを覚え、「自分らしく働きたい」という思いから、離職後にエンカレッジを利用するようになりました。それから1年後にこうして再就職を決めることができ今は本当に嬉しいです。

再就職を目指すにあたって1番大変だったことは、自己分析でした。
今までの自分と向き合い、自分の得意・不得意分野を言葉にすることはとても難しい作業でしたが、スタッフの方々がサポートしてくださったお陰で自分の強みをアピールすることができるようになりました。
そして面接練習も納得がいくまで何度もしてくださったことで、最終的に私が希望していた教育関連企業から内定を得ることができました。

私はもともと自分に対して自信を持てないほうでしたが、自分の強みを一緒に見つけて伸ばそうとしてくださったスタッフの方々や、共に日々を過ごした利用者の方々が応援してくださったお陰で1年前の自分より少し成長できたという実感を得ています。
これからが自分にとって本当の意味での「リスタート」でありますが、エンカレッジで過ごした日々を思い出しつつ「自分らしく、そして人のために働ける社会人」になれるように頑張っていきたいと思います。
 
🌟 支援者よりひとこと 🌟
Fさんはとても「頼れるお兄さん」的な位置づけで本当にご利用さんにとって大切な存在だったと思います。
またエンカレッジ大阪で取り組んでいる”つながるCafe”というご利用者さん同士でのお悩み相談の場では、的確なアドバイスを同じ目線でしっかりとしてくださり、私たちスタッフも本当に助かりました。
今までの経験と真面目に取り組む姿勢は本当に見本として、とても周りへの影響を与えてくれました。
一方で深く深く考え込んでしまう、他人のことばかり考えて気にしてしまう面もあり、考え込んでしまうことも多々ありました。
自己理解を進めるためにスタッフとはもちろんですが、講座一つとっても自分の強みは?を知ることで前に前に少しづつですが進むことが出来たかと思います。
決して妥協は許さない、それが時として疲れを生むこともありますが真面目ゆえのFさんらしさだと思います。就職しても数年後にはお兄さん的存在になっている気がしています。これからの成長が本当に楽しみです!
(エンカレッジ大阪 スタッフS)

就職事例6)失敗は成長するチャンス。障がい特性を整理して無事就職へ

エンカレッジ京都 ご利用者Iさん
  • ▶ エンカレッジ京都 ご利用者Iさん
  • 【性別】女性
  • 【年代】40代半ば
  • 【障害種別】ASD、ADHD、難聴
  • 【利用期間】1年6ヶ月間
  • 【職種/業務内容】事務・事務補助
 
私は、以前一般就労で20年くらい働いておりました。正社員で10年間働き、そこから色々な職種に転職し、契約社員で10年間務めたところでうまくいかず体調を崩してしまい、うつと診断されました。
服薬や通院をしても症状が良くならず、おかしいと思い、色々と調べたところ「発達障害」という言葉に辿り着きました。調べれば調べるほど自分と同じだと思い、すぐに発達障害専門の病院へ行き、診断がおりました。
そこからは、すぐに障がい手帳の申請をし、これからは障がい者枠で働こうと決め、自分で就職先を決め、採用されました。
しかし、自己理解や障がい特性をまとめられないままに就職し、うまくいきませんでした。ハローワークの担当者さんから就労移行を進められ、調べてエンカレッジに通うことにしました。
当時、失業保険の給付を受けていたのと、障害年金を申請していたので何とかお金に困ることなく通うことができました。今思えば障害年金申請しておいてよかったと思います。
エンカレッジでは、担当のスタッフさんにいろいろな気付きをいただきました。自分で理解できてないことがわかるようになり、また障がい特性の整理ができたので、実際の実習でも役に立ちました。
自分を振り返り、自分の考え方のクセや捉え方がわかるようになり通ってよかったなと思っています。
早く働きたいという思いでかなり焦りましたが、このエンカレッジで学んだことはいい経験になったと思います。
うまくいかなかったこともたくさんありますが、失敗は成長するためのチャンスと思い、これからは前向きにそしてエンカレッジで学んだことを忘れないように、感謝して働こうと思います。
本当にお世話になりました。ありがとうございました。
 
🌟 支援者よりひとこと 🌟
Iさんは、20年以上の一般での就労経験はあるものの、パソコンの操作やオフィス勤務の経験はほとんどなく、エンカレッジの利用を開始してからPCスクールにご自身で通ったり、PC関連の資格を取得され、晴れてご希望の事務・事務補助の仕事で就職されました。
エンカレッジではPCスキルを培ったのはもちろん、ご自身がどんな時にしんどくなったり感情のコントロールが必要になるのか、面談を通じて何度も何度も振り返ったり、自己理解を深められました。
Iさんには、「やるぞ!こうしたい!」と決めたらやり遂げるパワーがあり、また、「こうしたらいいんだ」と気づいたら自分で行動や習慣を変えていくことの大切さを教わったように思います。
ご就職おめでとうございます!
(エンカレッジ京都 スタッフY)
 
いかがでしたか?「発達障害のある大人の就職事例」はシリーズとして今後も定期的に発信していきます。乞うご期待ください!