【開催レポート】大学支援者様向け:第1回勉強会「企業を知る:障害者雇用企業の多様なバリエーション」

エンカレッジでは2023年6月より障害のある学生のためのキャリア教育プラットフォーム事業「家でも就活オンライン カレッジ」を開始しました。
10月26日(木)にオンラインにて、【大学支援者様向け】第1回勉強会「企業を知る:障害者雇用企業の多様なバリエーション」を開催しました。本記事では、当日の様子をレポートいたします。
「家でも就活オンライン カレッジ」とは?
「家でも就活オンライン カレッジ」は「全国の障害のある学生のためのキャリア教育プラットフォーム」です。全国の大学および企業が横断的に参画、協働することで、十分なキャリア教育を受けられていない障害のある学生に、機会を提供していく日本で初めての試みで、京都大学など約40大学参画しています。株式会社マイナビパートナーズ、社会福祉法人すいせいをパートナーとして、トヨタ自動車など6企業にご協賛、ご協力をいただいています。

大学支援者様向け企画実施の背景

発足以来、大学支援者の皆様と複数回にわたって意見交換を行っていくなかで、
✅ 障害者雇用をしている企業を知る機会が少ない
✅ 障害者雇用企業もそれぞれ違いがあり、正直整理・理解が追いついていない
といった意見が出ました。
そこで、この度株式会社堀場製作所で人事を担当されている島津氏に登壇を依頼したところ快諾いただき、大学支援者の方向けに人事の目線で障害者雇用についてお話いただく勉強会を開催する運びとなりました。

プログラム

16:00 開会の挨拶
16:05
「障害者雇用企業の多様性について」
株式会社堀場製作所 島津氏
株式会社エンカレッジ 窪
16:45 質疑応答
16:55 事務連絡/第一部終了
17:00 意見交換会(任意参加)

障害者雇用企業の多様性について

(株式会社堀場製作所 島津氏/ 株式会社エンカレッジ 窪)
まず、株式会社エンカレッジ 代表取締役 窪より、
(1)障害者雇用のバリエーションを考える
(2)採用プロセスを考える
をテーマに障害者雇用の情報提供。その後、島津氏が各テーマについて、企業人事としてのリアルなエピソードを交えて解説されました。
島津氏は、株式会社堀場製作所にて人事として障害者採用に従事しながら、一般社団法人ACEにおいても活動されています。企業と大学とのやりとりにおいて、「企業の障害者雇用のわかりにくさを解決していきたい」「大学職員様向けのコンテンツを実施することで、適切な情報が伝わり、学生がより良い進路選択ができるようになったら」という思いから今回の企画に登壇してくださいました。以下、窪と島津氏の話の要約について、当日使用されたスライドを一部抜粋しながらお届けします。

🔶 (1)障害者雇用のバリエーションを考える

学生と企業の採用マッチング要素
 
障害者雇用を体系的に語れるコンテンツはまだ世の中になく、情報が溢れているのが現状である。その一員として、障害学生と企業の採用マッチングにおいては、多くの要素が複雑に絡み合っているという事情がある。
1)企業から見た障害者雇用の考え方
同じ障害者雇用でも多様な視点でそれぞれ考え方が異なる
2)業務の広がりや配慮の受けやすさ
同一企業グループでも、部署や特例子会社によって、障害者雇用への考え方が異なる
3)雇用形態や採用基準が決まるロジック
業務内容が変われば、雇用形態、採用基準が異なり、昨今の同一労働同一賃金の視点からも、この関係は崩れにくい
なぜ障害者雇用は複雑なのか?
 
障害者雇用は、そもそも職種マッチングになりやすい上、各職場・部署で配慮できるか否かも採用のポイントになる。したがって、障害者雇用の一部は新卒採用ではない領域≒キャリア採用やポジションごとの随時募集の感覚に近いと感じている。
「新卒総合職」のルートに障害のある学生が応募し、採用されることは勿論可能だが、この場合、「新卒総合職」に準拠した条件で判断し、採用することになる。具体的には、職種適性への広がりや、転勤・管理職への登用の可能性、幹部候補としての要件などを見ながら採用している。職務や勤務形態を限定した採用となると、「新卒総合職」とは別の募集区分になるため、企業は新たに雇用形態を作るか、既にある雇用形態や人事制度を活用することになる。これは、障害のあるなしに関わらず、他の社員の待遇や要件との整合性をとって調整しているものになる。
時折、特例子会社は単純作業のみを業務としているというイメージを持っている人もいるが、実際は企業によって全く異なっている。また、就職=総合職のみであると考えていると、学生自身が苦しい思いをしたり、企業もそもそも総合職の人材を求めておらずにミスマッチが起きる場合もある。学生の特性や働き方の希望によっては企業ごとの総合職以外の多様な採用形態や、社会移行のステップを刻むのであれば特例子会社や福祉的就労から社会に出ていく働き方も有力だと考えている。

🔶 (2)採用プロセスを考える

採用プロセスの具体例
 
採用プロセスには、固定型と調整型の両方がある。固定型は既存の職種や部署の切り分けに人材を当て込む採用のため、「障害理解がない」と思われやすい。逆に、調整型は特性に応じて業務を柔軟に変更するため、人材に合った環境を構築しやすいが、応募者からすると分かりづらく、魅力的に映らないことがある。どちらのスタンスが良いということではなく、ここにも人材によって合う、合わないがある。
実習を活用した採用プロセスでは、学生の見極めと同時に配属部署との配属調整が同時に行われる。もちろん、学生の本分は学業であり、学業で手一杯な学生もいる。また、学生の目線からすると1社の選考に長期の時間をかけていられないということも企業は理解している。長いと思われるかもしれないが、実習の期間は2週間〜1ヶ月が多い。なぜなら、例えば1週間終えた後の翌週の月曜日に出社ができるかどうかというのはかなり見極めのポイントになるからである。学生が無理をしている場合、そのタイミングで不調をきたすことが多い。長期就労を考えた時に、1週間気合いで耐えられたから採用するという判断を企業はしない。更に補足すると、支援機関が関わる採用(&定着支援)プロセスでは、1年後の定着率に18ポイントほどの差がある。学生/大学と企業とでは、見ている視点が異なること、および、学生を送り出す側と受け入れる側の立場の違いがあることから、どうしてもすれ違いが発生しやすい。

🔶 まとめ

障害者雇用のバリエーションには、マッチング要素、障害者雇用の種類、雇用形態や処遇、配慮の受けやすさなどの多様さがあり、それぞれには企業側の目線での合理性がある。また、採用のプロセスについても、職種固定型、調整型の採用プロセスがある。また、実習の活用や支援機関の関与などによっても異なる。大学と企業では、それぞれ学生を見ている視点やポイントが異なることから、どうしてもすれ違いが生まれやすい。こうした状況を踏まえた上でどうしていくかを継続的に考えていく必要があると思われる。

🔶 アフタートーク

終了後のアフタートークでは、実習を実施するか否かの基準は?企業はどのような視点で判断しているのか?大学と企業それぞれの基本となる考え方、といったよりリアルな意見交換が行われました。

参加者の声(一部抜粋)

・障害者雇用の複雑さや、大学と企業の違いについての考え方をわかりやすく教えてもらえた
・障害学生と企業の採用マッチングの現状について知ることができた
・自己理解と職場(内容・人・生活)がマッチしていることが重要だと再認識できた
・企業側の視点を聞くことの大切さを改めて感じた
・リアルな話を聞くことができて、大変刺激になった

いかがでしたでしょうか?企業の人事目線によるリアルな障害者雇用について、少しでも皆様にお届けできましたら幸いです。
家カレでは今後も、様々なイベントを実施してまいります。
次回の大学支援者様向け勉強会は、11/17(金)13時〜15時にて開催いたします。
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また、12月には第3回の企画も予定しております。おって告知させていただきます。 引き続きご注目ください。
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