3月1日は就職活動の解禁日ですね。ここ数年コロナ禍によって就活全体が変わってきているといわれますが、障害学生の就活がどう変わったのかを考えてみたいと思います。
学生全体の就活の変化
障害学生に目を向ける前に、まずは学生全体の就職活動の状況をみておきたいと思います。
就職みらい研究所の「就職白書2022」によると、就職活動開始時期はここ数年早まってきているようです。
2021年3月卒業学生はコロナ前からの就活スタートなので、直接的なコロナの影響ではないのですが、時を同じくして就活の早期化傾向が始まっていると言えます。
就職みらい研究所の「就職白書2022」によると、就職活動開始時期はここ数年早まってきているようです。
2021年3月卒業学生はコロナ前からの就活スタートなので、直接的なコロナの影響ではないのですが、時を同じくして就活の早期化傾向が始まっていると言えます。
<学生の就活開始時期>
📍 2020年3月卒業学生:大学3年、大学院1年の6月までに開始:17.9%
📍 2021年3月卒業学生:大学3年、大学院1年の6月までに開始:26.1%
📍 2022年3月卒業学生:大学3年、大学院1年の6月までに開始:27.0%
📍 2021年3月卒業学生:大学3年、大学院1年の6月までに開始:26.1%
📍 2022年3月卒業学生:大学3年、大学院1年の6月までに開始:27.0%
また、大学3年、大学院1年の2月までに就活を開始した割合も高くなっており、6月時点での就活時期の早まりが、そのまま就活開始全体の早期化につながっています。
<大学3年、大学院1年の2月までに就活を開始した割合>
📍 2020年3月卒業学生:大学3年、大学院1年の2月までに開始:65.7%
📍 2021年3月卒業学生:大学3年、大学院1年の2月までに開始:76.2%
📍 2022年3月卒業学生:大学3年、大学院1年の2月までに開始:74.5%
📍 2021年3月卒業学生:大学3年、大学院1年の2月までに開始:76.2%
📍 2022年3月卒業学生:大学3年、大学院1年の2月までに開始:74.5%
次におそらく変化が大きかったであろう、採用プロセスの変化についてみておきたいと思います。
説明会・セミナー、面接全てにおいてWebの活用が進み、90%以上がWebを活用している事が分かります。
ただ、面接に関しては、「Webのみ」が少なく、対面重視の姿勢が見て取れますね。
説明会・セミナー、面接全てにおいてWebの活用が進み、90%以上がWebを活用している事が分かります。
ただ、面接に関しては、「Webのみ」が少なく、対面重視の姿勢が見て取れますね。
<2022年3月卒業学生の就職活動プロセス>
📍 合同説明会・セミナー:Webのみ38.2% Web・対面どちらも実施53.6% 計91.8%
📍 個別企業説明会・セミナー:Webのみ36.1% Web・対面どちらも実施56.5% 計92.6%
📍 面接:Webのみ16.8% Web・対面どちらも実施74.3% 計91.1%
📍 個別企業説明会・セミナー:Webのみ36.1% Web・対面どちらも実施56.5% 計92.6%
📍 面接:Webのみ16.8% Web・対面どちらも実施74.3% 計91.1%
続いて就活にかかるお金です。就職活動プロセスのWeb化に伴い、就活にかかるお金は減少傾向です。
特に地方の学生の金額が下がっているのが特徴で、地方の学生にとってお財布にやさしくなったと言えます。
特に地方の学生の金額が下がっているのが特徴で、地方の学生にとってお財布にやさしくなったと言えます。
<就職活動にかかったお金>
📍 2020年3月卒業学生128,890円
📍 2021年3月卒業学生88,923円
📍 2022年3月卒業学生72,034円
📍 2021年3月卒業学生88,923円
📍 2022年3月卒業学生72,034円
障害学生の就活の変化
さて、ここから障害学生の就活についてみていきたいと思います。
障害学生の就活に特化したデータはありませんので、推測と現場の肌感を交えながらお伝えしていきたいと思います。
障害学生の就活に特化したデータはありませんので、推測と現場の肌感を交えながらお伝えしていきたいと思います。
まず、コロナ禍によって、中途も含む障害者雇用全体の人数がどうなっているか見ておきたいと思います。
厚生労働省のデータによると、障害者雇用人数は伸び続けていますので、継続して企業の採用意欲は高いようです。
厚生労働省のデータによると、障害者雇用人数は伸び続けていますので、継続して企業の採用意欲は高いようです。
<障害者雇用人数の推移>
📍 2019年56.1万人 障害者雇用率2.11%
📍 2020年57.8万人 障害者雇用率2.15%
📍 2021年59.6万人 障害者雇用率2.20%
📍 2020年57.8万人 障害者雇用率2.15%
📍 2021年59.6万人 障害者雇用率2.20%
採用時期や採用プロセスに関しては学生全体と大きな違いはなく、「早期化」、「Web化」は共通の傾向です。
障害学生の就活に関わる現場感としては、新卒障害者雇用を前向きに考える企業が増えている印象があり、精神・発達障害学生の採用事例も増えてきています。ただし、まだ身体障害学生のみを採用対象にしている企業も多く、採用対象については現段階では2極化しています。
今後さらに精神・発達障害学生を対象にする企業が増えてくると思いますが、当面はこの2極化傾向は継続すると思います。
今後さらに精神・発達障害学生を対象にする企業が増えてくると思いますが、当面はこの2極化傾向は継続すると思います。
まとめると、障害学生の就活だからと言って学生全体と傾向は変わりませんし、障害者雇用自体も堅調に推移していますので、採用自体がなくなってしまうようなことはありません。
新卒採用の取り組みを新しく取り組む企業が増えたり、精神・発達障害に焦点が当たりつつあるのは、障害学生就活ならではです。
新卒採用の取り組みを新しく取り組む企業が増えたり、精神・発達障害に焦点が当たりつつあるのは、障害学生就活ならではです。
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ただし、この辺りの傾向は年々変わってくると想定されますし、個別の企業によっても考え方が異なり、外部からなかなか分かりにくいのが現状です。したがって、是非リアルタイムの情報をウォッチしてほしいと思います。
私たちも学生さんの相談に乗ったり、各種イベントを行う中で情報提供していますので、関心がある方は是非ご活用を頂けたらと思います。
ただし、この辺りの傾向は年々変わってくると想定されますし、個別の企業によっても考え方が異なり、外部からなかなか分かりにくいのが現状です。したがって、是非リアルタイムの情報をウォッチしてほしいと思います。
私たちも学生さんの相談に乗ったり、各種イベントを行う中で情報提供していますので、関心がある方は是非ご活用を頂けたらと思います。

🖊 この記事を書いた人・監修
窪 貴志(くぼ たかし)
- 2002年(株)UFJ総合研究所(現三菱UFJリサーチ&コンサルティング)にて、経営戦略立案、事業企画、新事業開発、人事制度構築などの経営コンサルティングに従事
- 2010年から、企業の障害者雇用のコンサルティングや障害者福祉事業所の経営支援を実施
- 2013年(株)エンカレッジを創業し、代表取締役に就任。障害のある求職者・学生の支援、企業の障害者雇用支援に取り組む
- 年以上にわたり、大企業から中小企業まで幅広い企業の障害者雇用コンサルティングに携わり、日本でも有数の実績を保有
- 法定雇用率の達成支援にとどまらず、ダイバーシティや経営的視点を踏まえた中長期的な障害者雇用の推進において高い評価を獲得
- 障害者雇用戦略の立案、職域の開拓、特例子会社の設立支援、採用から定着に至るスキーム構築などの企画領域から、社内啓発や面接対応、実習のコーディネートといった実務支援まで、幅広いサービスを提供
- 管理職や人事担当者向けの研修を中心に、企業、官公庁、自治体、大学などに向けてこれまで300件以上の研修を実施
- 2023年から2025年にかけて、全中央省庁の障害者雇用担当者向け研修を3年連続で担当するなど、公的機関からの信頼を得ている
<著書>
⏩ ちょっとしたコツでうまくいく! 発達障害の人のための就活ハック(翔泳社)
⏩ ちょっとしたコツでうまくいく! 発達障害の人のための就活ハック(翔泳社)