様々な考えの人達と出会えた濃密な9ヶ月だった。他2事例~発達障害のある大人の就職~

この記事では、エンカレッジから就職されたご利用者の就職ストーリーをシリーズでご紹介しています。
ご利用者本人からは、利用を決めてから就職に至るまでにどんなことがあったか、エンカレッジに通ってみての感想、率直な今の気持ちなどをお聞きしました。
また、ご利用者の就職をサポートしてきた支援者から見たご本人の変化や、就職に至るまでのプロセス、今後に向けてのエールも載せています。
📍この記事はこんな方におすすめ📍
  • 発達障害があり、就労移行支援の利用を検討している
  • 就職が決まった人が、どんな流れで就職できたのか知りたい
  • 就労移行支援事業所で実際にどんなことをするのか知りたい
今回は、2022年6月に就職が決まられたご利用者の就職事例から、3つのストーリーをお届けします!
*「発達障害のある大人の就職事例」はシリーズとして今後も定期的に発信していきます。乞うご期待ください。

就職事例1)様々な考えの人達と出会えた濃密な9ヶ月だった

エンカレッジ早稲田駅前 ご利用者Oさん
  • ▶ エンカレッジ早稲田駅前 ご利用者Oさん
  • 【性別】女性
  • 【年代】20代前半
  • 【障害種別】ASD・ADHD
  • 【利用期間】9ヶ月間
  • 【職種/業務内容】一般事務・軽作業
 
エンカレッジからの卒業。
これは、私自身がいずれ出来たら良いなと思っていたものでもありますが、まさか内定をいただき、卒業が決まった途端、嬉しさよりも寂しさが勝ってくるとは思ってもいませんでした。

私は、去年の6月に初めて見学に来ました。
その時はカウンセラーさんから紹介され、とりあえず行ってみなと言われて見学に来たのですが、お先真っ暗で、2年以内に就職している自分が想像出来ませんでした。

7月から通い始めましたが、当時の利用者は3名しかおらず、私自身先行きがよく分からない状態。
その時の事を考えると、利用者も増え、様々な人が就職に動いている今現在はとても感慨深いです。
辛かった事もありますが、私はここでは書きません、エンカレッジでの出来事は楽しい思い出の方が勝っているから。

思えば様々な事をエンカレッジで体験しました。
中でも私が特に記憶に残っているのは、様々な考えの人達と出会えた事かもしれません。

私は今迄個性を出したら馴染めないと考えており、本当に親しい人にしか本性を見せないようにしていました。

それが、続々と個性だらけの人達が入ってきて、その方達は余すところなく、自分を覆い隠さず、自分を出している姿を見て、世の中にはこんなにも個性を全開にして生きている人がいるんだと思ったと同時に、個性を出して生きて良いんだと思った事でもありました。

エンカレッジにいた9ヵ月は、人生の中で最も濃密な9ヶ月でした。

まだまだエンカレッジに通いたいのはやまやまですが、そうもいきません。
今後は定着支援で、エンカレッジにお世話になる事になります。

社会の荒波に揉まれながらも、自分がどう成長していけるのか楽しみもありますが、果たしてやっていけるのか不安もあります。
しかし、私の後ろにはエンカレッジがいる。
何かあればいつでもお世話になれる事を自信とし、社会に出て行こうと思います。
9ヶ月間、ありがとうございました。そしてこれからも宜しくお願い致します。
就職事例27-1-1 就職事例27-1-2
 
🌟 支援者よりひとこと 🌟
本当に、Oさんが初めて早稲田駅前事業所に来てくれた日のことを鮮明に覚えています。
ハキハキとこれまでのことをお話してくれ、カウンセラーの方の情報を手掛かりに勇気をもって、よく来てくれた(涙)。。と思った記憶が蘇ります。

就職に向けて「やってみます!」と色んなことを前向きに取り組んできたOさん。
頑張り過ぎてしまうことが課題で、頑張りすぎないための工夫をコツコツと継続してきました。
早稲田駅前事業所から初の就職者となり、他の利用者からも「Oさんみたいになりたい!」と憧れの存在です。

社会に出ても、色んな人がいるし、難しい困った状況もあるでしょう。
そんな時、信頼できる人にちゃんと相談して、自分を大切する選択をして、歩んでいってほしいなと願っています。
(エンカレッジ早稲田駅前 スタッフT)

就職事例2)希望とは全く違う仕事に夢中に、高評価を得て内定へ

エンカレッジ天満橋 ご利用者Iさん
  • ▶ エンカレッジ天満橋 ご利用者Iさん
  • 【性別】男性
  • 【年代】20代後半
  • 【障害種別】自閉症スペクトラム
  • 【利用期間】1年7ヶ月
  • 【職種/業務内容】ピッキング
 
この度、A社へ就職することになりました。
元々は事務職を希望しており、3度の事務の実習を受けましたが、作業処理で体力を使い切ってしまい、体力面になかなか自信が持てずにいました。
そんな中、当時の担当スタッフの勧めで、職業評価を受検してみたところ、「簡易事務作業・バックヤード業務が検討可能」との評価をいただきました。
そこで思い切って方針転換し、4社目で軽作業の実習を受けてみたところ、職場環境が合致しました。
エアコンの効きが強い、あるいは報連相の回数が多い環境は私に合いませんでした。一方、その逆の環境では十分にチカラを発揮できたのです。
その結果、振り返りでは生産性の高さなどで高評価を得て、内定を頂くことができました。
当初は事務職で就職することを考えていた自分が、このような全く違う仕事に夢中になれるとは思ってもいませんでした。
就職事例27-2-1 就職事例27-2-2
 
🌟 支援者よりひとこと 🌟
Iさんは、優しくて穏やかなみんなのお兄さん的存在です。
グイグイ引っ張っていくタイプではないですが、皆を見守っていて困ったときにはさっと駆けつけて手を差し伸べてくれるような、そういう頼もしさのある方です。
いつの間にかそんな積極的な自分になっていた…Iさんは自分で自分に驚いているとおっしゃっていました。

Iさんは、ご自身の考えや思いがなかなか言葉の形にまとまりにくい特性をお持ちです。
また、人に対してどうしても緊張しやすく、自分から人に声をかけたり、報連相をしたりといったことは、なかなか躊躇してしまう方でした。

そんなIさんが目に見えて変わり始めたのは、先代担当スタッフと挑んだある実習がきっかけでした。
元々は事務職志望でしたが、事務系の実習を重ねるうちに「自分には合わないかも?」との気づきを得て、デスクワークとは正反対の、物流系の体験実習に挑戦されたのです。
約1ヶ月にわたる長丁場でしたが、楽しみながら完走できたことで、Iさんはご自身の適性と体力への確かな自信を手にされました。
これがターニングポイントでした。

その後しばらくして挑まれた同じ物流系での実習では、早々に「トレーナーの監督なしで業務を任せられる」と判断されるような高評価で、最終的に見事内定を頂きました。
エンカレッジ内でも、日々のタスクを通してコツコツと報連相を実践されたり、新規利用者へのオリエンテーションを何度も引き受けてくださったり、苦手なことに粘り強く挑戦し続けられる姿がありました。

全てはあの時挑戦を決めたから。だから「まずはとにかくやってみる」。
「これから就職していく仲間たちにそう伝えたい」と語ったIさんの言葉からは、ご自身で掴み取った確固たる信念が感じられました。
ぜひ、新しい職場でもIさんらしく積極的にチャレンジして、ご自分の世界を切り拓いていってください!
(エンカレッジ天満橋 スタッフM)

就職事例3)学んだことは就職後も今後の生活にも活きていく

エンカレッジ心斎橋 ご利用者Sさん
  • ▶ エンカレッジ心斎橋 ご利用者Sさん
  • 【性別】男性
  • 【年代】20代前半
  • 【障害種別】自閉症スペクトラム障害
  • 【利用期間】9ヵ月
  • 【職種/業務内容】事務補助
 
エンカレッジ心斎橋に約1年間所属しました。
最初は右も左も分からなかったので出来るか不安がありましたが、利用者やスタッフの皆さんがとても優しく、丁寧に教えていただいたのですごく助かりました。
そのおかげでエンカレッジでの活動が少しずつ慣れていきました。エンカレッジでの活動で一番楽しかったことは、ソーシャルクラブです。
梅田スカイビルや神戸、ラウンドワン、VSパーク、ひらかたパーク、USJに行きました。その中でも特に一番印象に残った場所は梅田スカイビルです。
初めてのソーシャルクラブと初めてのリーダーを務めさせていただきました。ビルに上ったり、観覧車に乗ったりなど凄く楽しむことが出来ました。
またソーシャルクラブのリーダーとしての役割を知り、すごく勉強になった一日でした。

エンカレッジでもう一つ思い出に残ったことは、3社の実習です。
1社目ではタイピングやデータ入力などPC作業をメインで行い、PC作業のスキルを身に付けることができたのはとてもよかったです。
2社目の作業内容は鳩よけ対策やPC作業など軽作業を行いました。
最後に雇用前としていった実習先では、郵便物仕分けや発送業務、社内便仕分けなど作業内容が沢山ありました。
人間関係や社会人としてのマナーなどとてもいい勉強になり、その時にここで働きたいと強く思いました。
実習が終わって二週間後に面接があり、緊張からあまり考えた内容を話すことができませんでしたが、企業の方から採用と言われたときはとても良かったです。

エンカレッジでは楽しかったこと、辛かったことなどいっぱいありましたが、学んだことは就職しても役に立つこと今後の生活にも活きていくと私は思っています。
就職の内定をとるまでにここまでたどり着けたのは親や友人、エンカレッジの利用者、スタッフの方達があってのおかげなので本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
これから働き始めて苦労することがいっぱいありますが、それでも腐らずに前を向いて元気に突き進んでいこうと思います。今まで本当にありがとうございました。
就職事例27-3-1 就職事例27-3-2
 
🌟 支援者よりひとこと 🌟
常に前向きに挑戦されるSさん。
実習では知らないことにも選り好みせずに果敢に挑戦され、企業からの厳しい振り返りでも落ち込むのではなく、次の目標として捉えて、エンカレッジの活動や次の実習に活かす姿勢はSさんの魅力であり、強みだと思います。
今回の就職を実現させることができたのもSさんの前向きに相手の話を素直に聞き、受け入れる姿勢があったからだと思います。
就職後も困ったときは周囲に相談を行い、いろいろな方のアドバイスを参考にしていきましょう。ぜひSさんの魅力を発揮していただければと思っています。
エンカレッジも引き続き、Sさんの今後の活躍を応援していきます!
(エンカレッジ心斎橋 スタッフM)
 
いかがでしたか?「発達障害のある大人の就職事例」はシリーズとして今後も定期的に発信していきます。乞うご期待ください!